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day * day

日々是々

金神110話の感想 ゴールデンカムイ

ゴールデンカムイ ヤングジャンプ ネタバレ 感想

今回は、谷垣が皆にいたぶられる回なんですかね。

さあ尾形と谷垣、当人達には2ヶ月ぶり、読者には一年半ぶりの再会ですよっと。
この二人が再会した時になにが起きるのか、ごく一部から非常に熱い期待がもたれてたわけですが。

尾形がチンピラっぽい。なのに弱点は婆ちゃんなんて田舎のヤンキーっすか。
80話からこっち、尾形がまるでクールでスマートなナイスガイだったのが、ヤンチャな彼が戻ってきたぞお。
谷垣からは、まだ尾形上等兵なんだなあ。

尾形、やっぱ皆殺しにする気だったん。なら威嚇発砲なんかしないでいきなり狙撃しそうなものだけど。
いや、その前に、谷垣に鶴見のこと訊きたかったのか。
問答無用で射殺せずに、いちおう相手の言い分訊いてるあたり、尾形、独断は危険だって学習したようだ。谷垣の返答次第で、どっちを撃つか、決めかねてたのかな。
尾形「鶴見中尉の命令で」って台詞、尾形と鶴見の因縁(103話の)があるとないとではかなり意味合いが違ってくる。
鶴見はなんとしてでも尾形殺して口封じしたいはずだし、尾形もそれ知ってるから、谷垣がもし鶴見の手先だったら殺す気だよね。でも、谷垣が嘘がつけない性格だとも知ってるから、谷垣の言葉聞いて助けることにした。婆ちゃんとか言われたら弱いねえ。
尾形「頼めよ」(谷垣にはできないとわかってる) 谷垣「あんたの助ける方法なんて」――このへん、お互いの性格知り尽くしてるよなあ……ほんの2ヶ月前までは共に死線をくぐり抜けた戦友だったんだし。なにげにこの二人、従前、他よりは親しいほうなのか――え、谷尾cpって公式だったの?
尾形、親しくない相手には返事もしないし知り合いには嗜虐的だし、親しい相手でも躊躇なく殺そうとするって、ホントにイヤな奴だ――大好きだけどね、そういう冷血っぷりが。
このへんの尾形と谷垣のやりとりが緊張感溢れてて、好いわあ。谷垣は殺気立ってるアイヌ達より、親しいはずの尾形のほうを恐れてる。アイヌは話せばわかってくれるかも知れないが、尾形はわかった上で手が出る。
尾形が笑ってるよう。彼が笑ってたり饒舌になってたりするのは大概、ロクな場面じゃない。こういうサディストっぷりも堪らんわっ。
「殺すぞ?」って凄んでるのも珍しい。本気だったら言う前に殺してるよね。そもそもいままさに彼等に対して銃向けようとしてるんだから。
威嚇で1発撃ってるから装填は残弾4発のはず。1対4でしかも相手もみな銃持ってるのに、なんだろうこの余裕。
どうせ相手が戦闘のプロじゃないからって踏んでるのかな。満州の戦場からすればヌルいんだろう……
まさか、谷垣と阿吽の呼吸で示し合わせて、アイヌ達を威嚇したわけじゃないよね? 双方無傷で収めるために。
とすると、谷垣がわざわざ「皆殺し」て口にしたのも、アイヌ達を牽制したのかもって気がしてきた。尾形はマジでやりかねないヤベーやつだからここは退いてくれ、と。

谷垣も、結局は、脱走兵になるの……二瓶との邂逅以降のはずだから、5巻で尾形達とやりあったときにはすでに離脱する腹積もりだった、けどそのときは尾形の目的が不明だから帰隊するふりをしてたのか。
鶴見は谷垣は泳がせてるつもり?
鶴見は谷垣の居所を常に把握してるんじゃないかって気がしてきた。インカラマッはどこまで鶴見とつながってるんだろ。

コタン。

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ヤングジャンプvol.1816)

あ、この倉庫で座ってる尾形、ナニゲに「みんなで百ちゃん」(たまには絵を描くよ - day * day 参照のこと)だ。*1
作者氏が描くとこうなるのね(笑)
人体に比して銃の大きさがいまいちわからなかったけどこの絵で納得した。

あれ? そういや尾形、一緒にコタンまでついてきたのに、なにやってるんだ? いっさい弁護も救出もしてないんだよね。姉畑を狩りに行くでもないし。
谷垣がはり付けにされるの、ずっと高みの見物してただけ?
杉元達待つにしても、いつやってくるかわかんないよね? コタンの人達が谷垣の処遇決めるまでに杉元達来なかったらどうするつもりよ?

アイヌの刑罰について。
たまたま最近、このへんの本読んだばかりだったのだ。
宮武外骨『刑罰奇談』*2によれば、アイヌでは、鼻削ぎのことはイトラスケ(イト=鼻、ラスケ=切る)というそうな。
清水克之『耳鼻削ぎの日本史』*3にもこのアイヌの刑罰のことが書かれてて、写真まで載っててちょっとビックリだ。鼻梁はまるまる残して小鼻を切り落とすって形式らしい。出血多量で死ぬと困る(アイヌは人を殺すことが大きなタブーなのだね)*4ので、最低限で済ますようだ。ケースバイケースかも知れないけど。
耳鼻削ぎ、和人では江戸時代中期までには廃れた刑罰*5だけど、アイヌでは明治以降、写真のある時代もまだ残ってた。
写真は金田一京助が撮ったものらしい。金田一は1906年から北海道でアイヌ研究のフィールドワーク始めたというので、ちょうど金神のリアルタイムなんだよなあ。
宮武外骨の本にはアイヌの刑罰がいくつか挙げられてる(髪切り、鬚剃りなど)けど、うーん、なんとなく“地方の奇習”の一つとして面白半分の気がしないでもない(なんかこの人の書き方、リプリーの『信じようと信じまいと』思わせるんだよな……)。
ところで、谷垣、サイモニ(探湯。熱湯に手を突っ込んで火傷しなければ無罪って神明裁判の一つ)に処されなくてよかったね。*6

杉元が今回は大人しいのは、アシリパさんが無事だから。
この喧嘩のシーンも、すごーくオヤクソクだ。
デカブツに先に数発殴らせて、一撃でノックアウトなんてもーハリウッド映画でお馴染み。
杉元、見た目以上にタフだよなあ。VIT18とかですかね。
尾形、高みの見物すか。*7

谷垣、いつのまに、こんな、エロキャラにされてるの……
拘束されて、服脱がされて、言葉責めされて、毛毟られて、喘いでるとか……むちむちマッチョがいたぶられるなんて、まるで田亀源五郎氏の世界だ。
杉元の脱がせ方がまたエロい。というかワザとそう描いてるよね!? 一気にボタン引きちぎるんじゃなくて2コマもかけてジックリととか……
(ありきたりな青年漫画ならこれ巨乳ヒロインが演じるようなシーンなのに、あえて巨乳マッチョなにーちゃんにやらせるあたりが、金神、大好きだよもお)

姉畑……クマと言えば、そーいや、ムツゴロウもいたわ……

*1:Twitter上でそういう企画があって、そのときのお題のポーズが、たまたまこのコマに似てるのだ。

*2:刑罰・賭博奇談 (河出文庫)……ただしこれは吉野孝雄による抜粋編纂。

*3:耳鼻削ぎの日本史 (歴史新書y)

*4:とはいえ、追放された者にはいっさい関わってはいけないんで、実質、死罪に等しいんじゃね。

*5:主として女性や僧侶への死刑の代わりの刑罰だったのが近代化につれて男性と同じに死罪にする方向になった、ということ。平等化、厳罰化の一環。

*6:清水克之『日本神判史』(日本神判史 (中公新書))によると和人の記録では探湯で火傷するのは五分五分らしいので、賭けてみる価値はあるかもね。

*7:そういや今週は尾形が毛繕いしてないな。