day * day

日々是々

金神164「悪兆」感想 ゴールデンカムイ

またデカい爆弾が……

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扉の鶴見。
これどこの建物だろ?
見返り鶴見の背筋がなんだか色っぽいわ。

尾形が手にしてるのはストックからして、三八式でなくて、ベルダンかな?
(三十年式・三八式の有坂銃は、精密射撃向けに銃床が拳銃の銃把のような形状になってるって特徴が)
*1

風邪引いた尾形……寒さに弱いらしい(猫だし、ハーフ薩摩人だし)

なんか見えちゃってる。

尾形が、人殺しを気に病んだり後悔するとは思えないので、単に彼の内面の幻覚でなくって、ほんとに勇作君がそこにいるのが、見えてるん?
シックス・センス発現しちゃった。
先刻まで死人になりきってたし、熱に当てられて幽界かくりよに片足を突っ込んでるのかも。
前回目の色変わってて、能面のようだと思ったら、そういや能って大抵、死人との対話の話だ。

こんな状態の尾形の前に現れるのが、勇作君、てね。
尾形はそれこそ今まで、肉親や敵兵や戦友達、多くの人を殺してて、しかし人殺しに良心の呵責を感じる人間じゃないんだけど、でも、勇作君はある意味、特別な人ではあるらしい。

4ページ、現実には他の皆もいるはずなのに、何故か、この世界では、二人っきりに。
血を流しながら、自分を殺した兄様の心配をする勇作君。
自分が死んだことに気付いてないのか、兄様が殺害者だと知らないのか、全て知った上でやっぱり兄様 LOVE なのか。
2コマ目の、雪原を行く橇の絵が美しい。ここはもはや生者の領域ではないらしい。薄明の白飛びした風景に、唯一、真紅の血の流れをたなびかせて。

そしていきなり戦前の話に。

勇作君! 兄様に誘われて頬染めてるとか!
相変わらず勇作君の顔は秘密らしい。

なんか高そうなお座敷なんですけど。
尾形には不釣り合いな。
しかも、尾形は兵卒なのに、上座で胡座かいてる。
勇作君は下座で正座。
軍隊の階級なんかより、あくまで兄者を尊重してる。ほんとに、高潔な人だ……

屏風の向こうの空間がイミシンだ。

童貞(チェリーボーイ)と指摘されて固まっちゃった勇作君。
尾形はだいぶ遊び慣れてる様子。
言葉を弄して勇作君を堕とそうとする。
なんだー尾形、こういう顔も出来るんじゃないですか。いつもの酷薄なウエメセの笑みじゃなくて、誘惑するような、婀娜な笑顔。
胸元に当てた手、やけに細くてしなやかだから遊女の指かと思うけど、尾形自身の手?

勇作君、あれ、五分刈りなんだ。

こればっかりは兄様の誘いでも承諾できない勇作君。

あー
あー
あー
こういう手強い獲物を前にすると、狩人として燃えるタイプだよね、尾形。

現在に。

病んでる尾形ってセクシーだ。
なんだか、末期の父ちゃんみたいだぞ。

またここでも股火鉢。
なんか、尾形っつーと、火鉢抱えてる。
発汗療法。自律神経整えるってやつですかね。

キロランケ「なにか良くないものが」……良くないのか。勇作君、尾形に仇を為すようには思えないけど。
尾形、後悔してるん? そんな繊細な神経持ってるのかっ。
勇作君、すぐ側にしゃがみ込んで心配そうに兄様を見守ってる。

再び、戦前。

鶴見の登場。
どうやらこのお座敷の支払は鶴見の模様。

尾形「もう結構です 中尉殿と大事な話がありますので」
遊女にも敬語を使ってる。
遊び慣れてる様はあくまで勇作君向けの演技だったの?
よく見ると膳の小鉢にもあまり手を付けてない様子(単に、椎茸が入ってたのかも知れない)
鶴見の前で居住まい正して、襟も合わせた。*2

尾形「たらしこんでみせましょう」

ぎゃあ。

なんなんだよこの展開……
なんでこんなヲトメ歓喜な、俺得な話になるんだよ……

ヲトメの魂が勃起する。
*3

どういう手段で誑しこむつもりなんだよ?

あれ、戦前の時点で、鶴見は金塊ゲットする、或は他の、なんらかの陰謀を企ててたのか。
じゃあ、戦死した戦友達に報いるっていう動機もちょっと怪しくなってきた。

鶴見「正義感が強ければ」って、自分達に正義がないと鶴見はわかってるし、尾形もそれを承知の上なんだ。
この二人、やっぱり似た者同士の陰謀仲間だw
本能的に良心とかないタイプ。
二人して口角上げて微笑してる。
この頃はまだ、2人の仲は良好な模様。頼れる上官、忠実な部下の関係だ。

意外なことに、この二人が直に会話してるシーンって、初めてなんだ。
103話では「会話」してない。鶴見が一方的に喋ってただけ。
二人とも、信用出来ない人物なのは確か。
尾形には人殺しへの禁忌がないから、鶴見としては、便利な工作員として使うつもりだったんだろうけど、忠誠心もないので、結局は逃げられる羽目になる。
尾形は鶴見の陰謀に一番深いところで関わってた気がする。月島よりも深く。
鶴見はどうやって尾形を操るつもりだったんだろな。

鶴見「高貴な血統のお生まれだからな」……ってことは、花沢中将は華族なのかな。*4
それとも、花沢中将の正妻が、維新前からの堂上華族とか臣籍降下した元皇族の家の出とかで、勇作君はその血を引いてるってことかな?
花沢中将自身の血統なら、尾形も継いでるんだし。
それに、軍功で授爵された人に対して、「高貴な血統」って言い方はしないよなあ。血統じゃなくって実力で得た地位なんだから。
勇作君が、格式張った華族の血を引いてるのなら、兄弟の序列にコダワルのもワカル。特に堂上家は実力や世俗の地位よりもとにかく家格や家の中での序列が重視だから。

生まれとか血筋とかにコンプレックスがある尾形。
花沢家の子だったら尾形も士官学校から将校になれたんだけどね。*5

というか。
尾形自身、「悪さ」の結果に生まれたわけなんですが。
そういうのは気にしないのか、それがコンプレックスの一つでもあるのか。
「愛のない交わり」の結果、今の自分がある、それを受け入れてはいるけどまだ納得しきれない様子。
結局は、父を殺すことで、迷いを断ち切ったのかなあ、とも。

さっさと逃げ出そうと持ちかける白石。
臆病者だけに勘がイイ。
そこが脱獄王たる由縁。慎重に慎重で。

キロランケ、タタール人なのか。
え、じゃあ、もしかして元はムスリムだったり?

キロとウイルクの、虎狼コンビ。
彼等はあくまで少数民族独立のため。社会主義革命よりも民族自決
*6
キロランケの目に光が戻ってるから、彼は本気で信じてるのかな。

鶴尾の陰謀と、キロの陰謀と。

最後のコマの、アシリパさん、すごく大人の顔になった。
杉元を守りたいんだ。もう彼に殺し合いに関わって欲しくない。
そういや、二人の出会いも、アシリパさんが、杉元をヒグマから助けたんだった。
漢前だ……
このへん、この作品のヒロインが、アシリパさんじゃあない由縁だ。

*1:f:id:faomao:20180630202933j:plain

*2:釦が多くね?

*3:ヲトメとして、鶴見と尾形と勇作君の三角関係が従前気になってる。pixivのほう参照のこと。
というか二次界隈ですっかり馴らされてしまってたが、まさか、原作で、「弟君を誘惑する尾形」が見られるとか、「鶴見×尾形×勇作の三角関係」が語られるとか、
……ヾ(*ΦwΦ)ノ ヒャッホウ。密かに誕生日プレゼントとして受け取っておこう……

*4:花沢中将の元ネタの一人の大迫尚敏(→大迫尚敏 - Wikipedia)は、日清戦争の後で授爵されて男爵に、日露戦争の後で子爵になってる。

*5:士官学校へ行くのはまず、士族・華族・皇族だけ。で、明治も末期になると、士官学校→大学校のルートじゃないと将軍にはなれない。花沢中将の世代だと軍功で将軍にまでなれたけど。

*6:もし金塊手に入れたら、ヨーロッパ中心に暗躍してる革命家グループから接触あるかもだが、ボリシェヴィキ連中なんか信用するな、と忠告したい。