金神100「大雪山」 ゴールデンカムイ
とうとう100話の大台ですわよ。
この調子で1000話まで突っ走っていただきとうございますよ。
この時代、空を飛んだ経験のある人なんてほとんどいないんだ、すっごく貴重な経験だし彼らの高揚感を想像すると羨ましい。
……が、案の定、エンジンの操作はできない様子。
きっとガス欠。
「小樽を出て二か月以上」って言ってる……37話「初春」か38話「フンペ」の頃か――
現実時間では1年半前だ……60回で2か月だから、平均して1日1話のペースか!
そもそも、これ、白石が逃げ出したせいで、連隊に追われる羽目になったのよね。
大リンクさせやがって馬鹿シーフめ。
大空から打って変わって雪山の逃避行。
この風景の絵、写真の加工なのか、描いてるのか……相変わらず緻密で美しくてカラーで見たいくらい。
パウチカムイの伝説。
ちょっと思い出したけど、アメリカの山岳地帯でも、地元の原住民族にウェンディゴって伝説があるのだ。吹雪と化して雪原を駆け巡り、人に憑りついて人食い鬼にするという悪霊。
19世紀に、冬季に山越えしようとした移民の一行が遭難してエライ惨劇になった、って、ドナー隊事件があって、ウェンディゴの伝説と絡めて語られる。
即物的な見方をするなら、低体温症や極度の飢餓による錯乱、極限状態での異常体験ってことなんだろうけど。北海道でもアメリカでも、同じような状況で同じような伝説が出来上がるものだね。
雪原でのビバーク。
鹿の寝袋って実際にあるサバイバルテクニックなんだろうけど、インドアーな私が真っ先に思い浮かんだのは『スターウォーズ』のトーントーンだ。ついで『レヴェナント: 蘇えりし者』。
こういう場面で尾形は頼もしい(でも極寒下で銃の金属に触れるときは手袋したほうがいいと思うの…皮膚が凍り付きそう)。
白石、いちばん薄着だし、帽子もフードもないし、体脂肪率低そうだし、体温低下がヤバい。
杉元もだいぶ失血してるし、ホントはこんな動けそうにないけどな……
杉元の語る戦士の心情。
戦場の心理については、デーヴ・グロスマン『「人殺し」の心理』が名著だ。
(どっちかっていうと、現行の文庫版より、ハードカバーのほうが好き)
実際に戦場に行ったことない人間が、戦争についてなにか語ろうとするなら、まず読んどけ!な本の一つ。……たぶん作者氏も読んでるんじゃないかなー?
私自身もまた戦場についてはなにも語れることがないので、この本のリンクだけで済ましておく。

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そしてこの展開はズルい。100話記念でシンミリ来たか。
3巻の、「アシリパさんだけは俺のことを忘れないでいてくれるかい」ってセリフを思い出させる。
不死身の杉元泣かせるなんて、アシリパさん、魔性の女だ。
杉元の故郷っつーても、家族もいないし。梅ちゃんだって待ってくれてるんだろか……
でもいつか、杉元の故郷にいっしょに行けるといいよね。
この一行、尾形がやっぱ不安の種だ。彼の目的が未だにわかんない。単純に一攫千金狙ってるのか、他にもっと大それたこと考えてるのか。
最近はなんだかすっかり頼もしい先輩っぽくなってるけど、以前の冷酷でヤンチャな彼もいるので油断できないよ。
まあどんな状況であれ、彼がエピソードに顔出してくれるだけで嬉しいんですけどね。
にしてもよく100話まで生き延びたな……最初は噛ませ犬みたいな仇役で今までに何度も死にかけてるのに。
今週の尾形。