銃についていくつかのささやかな疑問。
銃についても、ミリタリーについても、ちっとも詳しくないので。
詳しい方、教えてください……
今週もまた金神が休載なので小ネタで埋める。
追記。 銃について、自己回答の1 - day * day
ページ書き直すよりか新しくページ書いた。
ここしばらく、銃、主として三八式について調べてた。
三八式のバトルサイトゼロっていくらなんだ。
というかそもそも、 Battle Sight Zero って日本語だとどう訳されているのだ。
零照準?
銃弾の描く弾道は、(理想では)放物線になるわけですね。(この絵は縦方向を非常に誇張してる)
ちなみに、「程」は「距離」の意味なので、「射程距離」って言い方は重畳語。「射程」だけで充分。
「射程」は、弾速が0になるか、弾が地面に落ちる距離で、実用的に殺傷力のある距離が「有効射程」。
三八式で2400米って言ってるのは、射程なのかな?
弾道についてもうちょっと詳しくは→弾道 - Wikipedia
物理学の基礎として。
射程は、基本は、弾薬の爆発のエネルギー、弾丸の重さ、重力、銃口の高さ、銃口の仰角、で決まる。
あと空気抵抗、風の影響、雨なんかの天候も(空気抵抗の受けにくさを示すのが、弾道係数 ballistic coefficient って数字。これは弾頭の形状や密度で決まる……計算ではなくシミュレーションや実測で求めるようだ)。
(ちなみに水中では力が減衰しまくりなので、有効射程はお話にならない。
さらに言えば、人工衛星も、弾道を描いてるのだけど、射程が地平線より向こうなので、永遠に飛び続けてることになる。この場合、弾道は円か楕円になる。円や楕円は放物線の特殊形であり、あるいはまとめて、二次曲線とも呼ばれる)
えーホントに私ゃミリタリに興味なかったんで知らなかったんですけど。
銃口って照準線に平行じゃないんだ!?
弾は照準線(=射手の視線)の数センチ下から、仰角取って(つまりやや上向きに)発射される。
弾道が、まず最初にA地点で照準線と交わる。
これより手前では照準した点の少し下に当たるわけだけど、……まあ誤差の範囲よね。
現代アメリカ軍では、このA地点までの距離を25mで設定してるそうな。
それから、放物線を描いた弾がふたたび、照準線と弾道が交わる地点を、バトルサイトゼロと呼ぶ。
ふたたび現代アメリカ軍ではこれが250m。
これより手前では弾丸は照準した点より上方に、向こうでは下方に当たることに。
この、弾丸の落下する距離を、低落量(弾道 - Wikipedia)という。
三〇年式では、500mの距離で1.5mほど落ちた(→30年式小銃)……とあるな。これは水平射撃の場合かな。
三八式互換実包(Hornady社 6.5 JAP 140 gr SP)の低落量表。(→Type 38 Review Part 2 - YouTube)
これって水平射撃でのバトルサイトゼロが200ヤードって意味でなくて。
多分、炸薬のエネルギーと弾頭重量から計算される減衰率から来る低落量で、200ヤード地点での数字を0として記載してる、ってことかな。
(実際の弾道は銃によっても変わるから弾丸だけでは決まらない)
Muzzle 2225fps ってのは、銃口で秒速2225フィートって意味だね。秒速678.18m/s 。三八式実包の仕様より大分遅いな。
射程を伸ばすには水平より上向きに撃てばいい。
単純計算では45度の角度で撃つのが、一番、射程を伸ばせることになる。
(空気抵抗などを無視しての話。これがミサイルとかなら、もっと上向きに撃つと、成層圏以上に達して空気抵抗が減るので更に射程が伸びる)
英語のウィキで「ライフルマンの法則」とある。射手がしなければいけない弾道計算。
→Rifleman's rule - Wikipedia
で、尾形が、というか、スナイパー*1がスゲエのは、遠距離狙撃の度にこの弾道計算を行ってるのだよね。
尾形の裸眼で撃つのもスゲエと思ったけど、高倍率のスコープつけたとしても、遠距離だと、引き金を引く瞬間には、標的なんか見えてない。
標的の何メートルか上を狙って撃ってることに。
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もう一つの謎。
銃を撃ったときの音について。
基本、3種類あるそうな。(着弾音は無視)
いわゆる“銃声”ってのは、弾丸が音速を突破して空気の壁にぶつかったときに発生する衝撃波。これは銃口で発生する。
炸薬の爆発音は薬室内でささやかに発生するし銃声に掻き消されるので射手以外はほとんど聞こえないそうな。
それから、弾丸が空気を切り裂く、飛翔音。これの正体は空気抵抗(つまり空気抵抗が0ならば飛翔音もない……分子直径が0の理想気体か、弾道係数1の弾頭でなら……)。
飛翔音は弾丸が飛び続ける間、弾丸の位置から発生して周囲に伝播する。
金神に限らないけど、“飛翔音から狙撃に気付く”ってシチュエーションをたまに見掛けるんだけど。
ヤングジャンプ vol.1831
これどうなってるんだろ。
三〇年式でも三八式でも、弾丸は音速を超えるので。
弾丸は常に飛翔音を発し続けるけど、着弾地点に、弾丸より先に飛翔音が到達することが、あるのかどうか?
……銃撃受けたこともないし物理も不得意なので、これが作劇の演出なのか、現実の物理現象なのか、わからん……
都丹の件では、飛翔音から一言喋るだけの余裕もあるんだよな。
ゴールデンカムイ 1巻
このときは、杉元、距離360メートルって判断してる。
三〇年式の弾速(銃口出た瞬間)は毎秒700メートル(→三十年式歩兵銃 - Wikipedia)なので、発砲から約0.5秒後に着弾(「パシッ」)した。
銃口で発生した銃声(「カァァァン」)は音速(340.29m/s)なので、発砲から約1秒後に到達してる。
ここの飛翔音(「ブゥン」)は着弾寸前の弾丸が発する音。
飛翔音は着弾と同時ってことに。
ちなみに水中で撃った場合は、弾速がガタ落ちするのと、水中での音速は空気中の数倍(1000~1500m/s)なので、弾着より先に発射音が届くはず。
念為。なにより速く届くのは、発砲した瞬間の、発砲炎の光。「チカッ」ってやつ。
これは光速(3億m/s)だから、まあ人間の認識の範囲では発砲した瞬間に見える。
弾よりも銃声よりも、発砲炎の光が先。
(屈折率が異様に高いけど空気抵抗0って気体中だと、弾速が媒体中の光速を超えて、弾丸が青く光って見える、かも知れない……*2)