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日々是々

金神162「狙撃手の条件」感想 ゴールデンカムイ

山猫達のワルツ。

faomao.hateblo.jp

……扉、狙撃手のほうかと思った。
白石とヴァシリくん、似てるよねえ。

ずっとロシア兵狙撃手ことヴァシリくんの視点で話が進む……
けど主役は尾形だ。
こういう、第三者の視点で、じっと意識の中心に主役を据えて、その対象の人物を際立たせるって語り方。

ちょ――どアニメでやったばかりの谷垣狩りの回と、話が被る。
あのときは、尾形が返り討ちにあってしまったけど。
キロちゃんも登場したし。

わざと致命傷を与えない。
こういう狙撃の戦術って、もう確立されてたのかどうか。そもそも遠距離狙撃が出来るような精密な銃が実用化されたのってかなり近代なわけで。
でも狙撃手なら本能的にわかってるかな。

狙撃手なんて特殊な人材ですからしてw
尾形とヴァシリくん、キャラクターはすごく近くて、それ故に相容れない。

冷血で獲物の追跡と殺人に強い興味があるような人間である

うわあ……ゾクゾクしてくるな!
こういう記述されると、「よっしゃあ!」とついガッツポーズしたくなる。

知ってた! 知ってた! 尾形がそういう人物だって!
尾形、平時のパーティでは、物静かでちょっと性格悪いがイザってときは頼れる軍人さんみたいに振る舞ってるけど、やっぱり本質は、冷血で、相手に無意識に期待してしまう人情なんかないんだ。
過酷な生立ちのせいだとか、杉元みたいに戦場の経験からちょっと病んでる、っていうんじゃなくて。
精神的に安定してるし、優秀な兵士だし、上等兵になるくらいには軍隊組織の中でも巧くやれる身の処し方を心得てるわけだし。
ただ、彼は、まさに猫科そのものの本能的な捕食者(プレデター)なんだ。グロスマンのいう「2%」の側の人。怒りも怖れも憎しみもなく、淡々と本能的に獲物を仕留める。
大好きだけどね、そういうキャラ。もおワタクシの好きなキャラの直球ど真ん中ストレートですよ。射撃標的のど真ん中の黒丸ですよ。
こういうヤツを、安易に断罪したりウエメセで「救済」したりしないで、そのまま、ちゃんと物語のなかに居所を作れるって、やっぱり、作者氏スゴい。
戦士として、人という獲物を狙う狩猟者としての尾形をもっと見たいんだっ。

にしてもこの「良い狙撃手とは」のコマの尾形、静謐で、美形だ。
「やってやるぜ!」なんて殺気を感じさせない。
尾形が人を殺すのに、強い殺意や覚悟なんか要らない。理由があればいい。

ヴァシリくんが、一人、わざと歩みを遅らせて、味方を囮にしてる。
「エサ」ってまんま、谷垣狩りのときの二階堂だw

心理の読みあい。
もー狙撃手同士、通じ合っちゃってるwww
お互いにお互いの解説してみたり。

尾形「このうめき声を一晩中聞いても」 まさに二階堂助けるのに躊躇していたクソ尾形と同じ!
(尾形が結局はヒグマ撃ったのは、谷垣が銃を持っていないと確信してたからで、まあ結果的にはその確信は外れてたわけだが。少しでも谷垣が銃を持ってる可能性を得ていたなら、撃たなかったはずで)

尾形が照準を覗き込む表情がイイ。
猫みたいなw

ブービートラップ! さすがキロ。
あっという間に二人、戦闘不能
火薬の量が多いのは、出来れば3人とも仕留めるつもりだったんだろうけど、戦友達を囮にするためにヴァシリくんが距離置いてた。用心深い。
ブービートラップとか狙撃とか、このへんは現代の戦争の映画やドラマでお馴染みだ。*1

手投げ弾、実はキロちゃんが実用化していた……!

獲物に執着するヴァシリくん。ふむー彼もまた神を信じない人であった。
すっかり皮を剥かれた柿を手にする気はないと。
このプライドの高さも尾形と通じる。うーん、前回尾形が、キロが「撃たれなかったこと」については疑問に思ってなかったのは、同じココロの持ち主として相通じてるから?
「獲物の生き死にを決めるのは」
「神のような全能感」ともいうようですよ、この狙撃手の心情。
相手からは姿も見えない遠距離から、相手の生死を握ってる。「新世界の神になる」てヤツですよ。
だから狙撃手なんて味方からも恐れられ、疎まれるわけで。

15才(推定)のキロちゃん。
キロちゃんの本名が明らかに。
ユルバルス
タタールの名だそうで、同じ名の歴史的人物がいるらしい。そうかー彼は中央アジアの人なのか。え、じゃあ、彼はムスリムだったりするん??
ユルバルス、虎の意味だそうで(→Юлбарыс — Wikipedia)、さらに爆弾つーたら、マレーの虎「ハリマオ(マレー語で虎)」谷豊*2思い出させるじゃないか。
とするとキロちゃんも妹とか家族を殺されて、反植民地政府運動に身を投じることに? そしていつしかどこからかの紐付きの破壊工作員に……*3
キロランケの眼から光が消えてる。

アシリパさんと白石、すっかり蚊帳の外。
二人とも、ウイルタ語もロシア語も出来ないし、戦闘に関しては素人だもんね……

ヴァシリくんの視界に映る、尾形。
どうせこれもトラップな気がする。

狙撃手同士の殺し合いとか、燃える……! チェスのような心理戦。
山猫二人の心が、ワルツのようにステップを踏み合う。

杉元一行がなんだかオフビートでお笑い要素多めなのに対して、ひたすら、殺伐ックな尾形達。

え、また来週、カラーですかあ?
嬉しいのは山々ではあるが。
先生、張り切りすぎてオーバーワークで不調来さなきゃ良いけど……!

Q&A……ああ、案の定、いっぱいいっぱいな模様w

*1:WW2が物量作戦だったのに対して、もっと現代になると戦場が細分化して、技術や心理戦で個人個人が標的になるのだね……個人がまた火器や爆弾やらで重武装してるから、一人仕留めるだけでも相手の戦力を殺げるわけだし。

*2:谷豊 - Wikipedia

*3:最初「ユルバルス」の名前見て思い出したのは、『アタゴオル』シリーズに出て来るギルバルスだった……あれも復讐に燃えるヒーローだ。なるほど猫科ではある。