金神18巻の感想 上 ゴールデンカムイ

ゴールデンカムイ 18 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: 野田サトル
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2019/06/19
- メディア: Kindle版
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18巻の表紙は、門倉&キラウシのおっさん*1コンビ。
紙本版限定特典の、服装図鑑は、樺太アイヌのテタラペ、エノノカのヘンケの衣装でした。

- 作者: 野田サトル
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2019/06/19
- メディア: コミック
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■目次
口絵の鶴見は、第164話「悪兆」の扉だったもの。
第171話 樺太アイヌの刑罰
初っ端、暗号解読について。
目下、鶴見の元には12枚、全体で24枚ってことになってるので、これで半分。
ナナシのチンピラの刺青の「迂」の字、初めて出てきた。
肩口に書かれてて今までハッキリ見えなかったんだよね。
アニメが「原作と暗号のパターンが微妙に違う」「親分カットされちゃうの!?」なんて衝撃の展開で、「もしかしてあの暗号に意味はないんじゃないか説」が湧いて来たんだけど、どうやら意味はある模様。
鶴見「娘のアシリパが」
鶴見は、のっぺら坊の「仲間」はアシリパさんだと読んでる。
ウイルクとキロランケが袂を分つことを予想してた。
鶴見はいつからアシリパさんの存在を知ってたのか。キロの前歴も知ってるんだから、のっぺら坊の正体がウイルクだというのも早々に知ってただろう。
「アシリパさん日本語どこで習ったの問題」、手塚治虫記念文化賞の授賞式の対談のときに出てきた。
アシリパさんは漢字読めないようだ。かなは読めるかもだけど。
(当時の一般向けの印刷物は総ルビが普通なので、かなが読めれば新聞雑誌小説なんかは読めた)
アシリパ「漢字なんて知らなくても生きていける」って、なんでそんなこというのか、ちょっと不思議だ。
「新しいアイヌの女」って自負してるのに。アシリパさん!
この時期、もうどんどんアイヌの人々が和人の社会に呑み込まれてく過渡期で、文字を読めないということが、日本人として生きていく上での大きなハンデにされてしまう。
差別を正当化する根拠にされちゃうわけですよ。
当時アイヌの子供達のためのアイヌ学校もあったけど、和人の小学校よりいくつか科目が減らされてたりしてるし。
和人だって、元々文字を持たなかったけど、統一王朝が成立して社会の規模が大きくなるに従って、大陸から社会制度や文化とともに、文字を輸入せざるを得なかった。
昔のアイヌの人たちは、言葉を録音することも嫌ったそうで、それは死者の声だという。*2
言霊信仰の一環として、本来ならばすぐに消えていく言葉を記録して永遠のものにすることに、忌避感があるのかも知れない。
しかし、このアシリパさんのセリフはあくまで、杉元の回想。
杉元はアシリパさんに素朴なアイヌであり続けることを願っちゃってるので、それに沿って記憶してるに過ぎない。それがアシリパさんが本当に言ったことなのかは謎。
鯉登「馬鹿だから」
鯉登www
こいつも尾形と似たところあるwww
クソ鯉登。
樺太篇以降、どんどん、鯉登がオバカになってる……
鶴見のクソコラつくってるヤツに言われたくねえな!*3
いや、杉元を見下してるんじゃなくて、ある意味、甘えてるのかな?
月島や谷垣に対しては上官って立場があるけど、杉元は対等に付き合うというかド突合える相手なわけで。遠慮無くマウンティング出来る。
集落の騒動。
杉元「離れてろアシリパさん!!」
あ”――
ついここでこんな台詞が。
結局、杉元のココロの中には、アシリパさんしかいない。
もう2ヶ月も会ってないので禁断症状が出てるのかもだ。
エノノカ「?」
のコマは単行本で追加されたのだけど、これで、杉元が「離れてろ」っていった台詞の意味がわかる。
要は、杉元は、男を殺したい、だけど殺す瞬間をアシリパさんに見せたくないのだと。
樺太アイヌの刑罰。
人間が直接は手を下さない、神判の一種なんだろうけど、確実に・時間を掛けて死ぬわけで、かなり「惨酷な」刑罰に当るんじゃなかろか。
アイヌに死刑が無いのは、元々は、集落が小さくて誰もが知合いだから自分の手で殺したくないって、本能的な罪悪感に由来してるんだよね。
人を殺してしまったという罪悪感こそが、この世の地獄。
だから、不確実な刑罰で、罪人の生命を神の手に委ねる。神判ってやつ。
月島「彼らにとって殺人は不浄で忌み嫌うもの」
っていっても、軍人達だって、もう殺人には慣れっこになってるつもりなんだろうけど、人間である以上、ほとんどの人は罪悪感からは逃れられないから*4、正義とか忠誠心とか被害者意識とか感情論とかで紛らわせようとするじゃん~
そしてお久しぶりの土方一味。
なんでw
キラウシいるのwww
土方に雇われたん。
尾形に逃げられちゃったし家永捕まっちゃったし。
夏太郎は都丹の介護してるのかなあ。
おおっと土方歳三、*はこのなかにいる*
第172話 阿寒湖のほとりで
門倉とキラウシってまた、妙な取り合わせ。
まるでボケとツッコミの漫才コンビみたいだ。
19人目の刺青の脱獄囚、関谷輪一郎。
また濃い殺人者がw 蚕の繭に入れるってのも特徴的な。
関谷、こんな厳しい顔じゃ泣くって、連載時はもっとぼんやりした顔だった。辺見ちゃん風から尾形風に変わったというかwww
スルク=トリカブト。*5
トリカブトの毒性は地域差・個体差が大きいので、研究者は、根っこを一口齧ってみるのだと。毒性の強い株は舌に触れただけで、ものすごく不快な刺戟と痺れが当分残るという話。*6
テトロドトキシンの命名は1909年(→テトロドトキシン - Wikipedia)ってツッコミはヤボ?
青酸カリについて、由良三郎だったか、その毒性は日本では1936年の小学校校長殺害事件*7(日本初の青酸カリによる殺人事件)まではほとんど知られてなかった、って書いてたな……
ストリキニーネはメジャーな毒として、数々のミステリーや実際の殺人事件にも使われてる。*8ものすごく苦い・激しく痙攣して苦しみ続けるが意識は死ぬまではっきりしている・死因は呼吸困難、などと。
トリカブトもストリキニーネも、まともには口に出来ないほど苦いんだそうで、それをどう飲ませるかがミステリー作家の腕の見せどころ。
関谷、神様気取り、というのとはちょっと違うか。
ゴールデンカムイ既出の他の殺人愛好者達と違って、彼は「確実に」殺そうとするわけじゃない。
裁きの場に引出そうとする、告発者、検察官気取りというべきか。
彼は、被害者が死んだ責任を自分で負いたくはないようだ。
被害者自身の行いが不運を引き寄せた、悪いのは被害者だ、と。
アイヌなど少数民族の死刑が基本は神判に類するものだということ。
全員顔見知りって小さな共同体の中で、隣人の死を自分の責任として負いたくない故に、不確実で緩慢な刑罰を採る。
人の生き死には神のみぞ知る。
毒という手法自体が、運試しの要素を持ってる。
ミステリーで毒物を使うときにまず覚えなきゃいけないのが、「半数致死量(LD50)」の考え。
毒物は、生物種による代謝の差、個体差、摂取したときの時の状況などなど複雑に条件があるので、「ある量を与えたら確実に死ぬし、それ以下では死なない」という厳格な基準としての「致死量」はない。
例えば、青酸カリのLD50はラット経口で5~10mg/kgとされてる。(→シアン化カリウム - Wikipedia)
理論上は、体重60kgのラットや人間(ラットと同じLD50として)に0.3gの青酸カリを飲ませたら、50%の確率で死ぬ、ということ。だから確実に人一人を殺そうとするならその10倍3gは必要と言われる。青酸カリの比重は1.52で砂糖とほぼ同じなので、スティックシュガー1袋分。
あくまで、理論上は。
運試しに乗る土方。
にしても、老獪な土方に対して、牛山、素直過ぎるだろ……
門倉さん、とことん昼行灯かよ! ……そういや網走監獄の地下牢のことも全く気付いてなかったんだ、こいつ。
しかも自覚して諦観してるっていう。
でも、鶴見隊が襲撃した網走監獄で唯一生き残ったっていうのはスゴい強運なんでは。
え、蚕の繭、知らないんすか??
門倉「妖怪みたいなおじいちゃん」……ってオイ。
ボスも妖怪扱い。
そういうヤツだから凶運を引き寄せるのかも知れん。
キラウシも、運が悪いといや悪い。
門倉とコンビ組むことになるとかね!
第173話 僕の怪人
扉、タイトルロゴからして「アイアンジャイアント」(→アイアン・ジャイアント シグネチャー・エディション(吹替版))*9
このアニメも、シェリーの「フランケンシュタインの怪物」が元ネタなのは確か。
牛山、チョウセンアサガオでラリってる模様。
オベンチョってどっから出てきたのよ……
加藤諒*10似のスケーター少年に懐かれる牛山。
牛山「ミイィ…」って子猫か!
実はスケートも巧い。
スポーツ万能とか書かれてましたっけ。
いじめられっ子とモンスターの交流なんて、定番中の定番で、昔っから数多くの作品として形になってるわけですよ。
「フランケンシュタインの怪物」の中にも、怪物が、一人暮らしの盲目の老人や、子供と友達になるシーンがあるし。
それに、ルサンチマンこじらせた弱者が、偶然からスゴいチカラを手に入れるんだけど、使い方を間違えて焦るってのも定番中の定番。「ドラえもん」とかさ? 「魔法使いの弟子」とかさ?
土方一味の宿屋。
門倉さん、肩書きまでセット。そういや彼も下の名前、明らかになってないんでしたっけ。*11
キラウシも永倉もとっくに起きてるのに、門倉さんまだ寝てたのね;
ちょっとわかりにくかった……永倉、関谷に呼出されたわけじゃないのか。
毒使い関谷は、単に殺人を楽しむシリアルキラーでなくて、毒を使うこと、毒の力に取り憑かれてるようだ。
毒を使う誘拐犯って珍しい。(まずは飲ませなきゃいけないからね)
カネ目当てってすごく現実的即物的なのに、一方で人質の命を運任せにするって、なんだか夢想的な。
不確実性の犯罪者。
関谷とチヨタロウって、自分の非力さに拗ねてるあたり、似てる。
第174話 湖の中心で突っ走る
アオリの文句は連載時のまま。
門倉とキラウシ、扉でアクション映画のポスターみたいにカッコよく疾走してると思ったら、1ページしか続かないあたりが、お歳なのね……
【TVアニメ放送直前記念!】
— ゴールデンカムイ(公式) (@kamuy_official) 2018年4月5日
「ゴールデンカムイ質問箱≪第2回≫」A.009 野田先生より
⇒宇佐美は尾形のちょっと上。カドクラは牛山のちょっと上ってところですかね。 https://t.co/5Z2auQKnm1
キラウシは30代かな。
二瓶と一緒に狩りしたってのが10年前、そのときにはもう成人してるっぽいし。
というかー現役の狩人でもあるアイヌ達の体力、計り知れないけど。
キラウシ「肛門ほじりジジイ!!」て。*12
華麗に滑る牛山と、クソガキチヨタロウ。
スケートのシーンが多いのは、前作『スピナマラダ!』へのオマージュなんだろか。*13
牛山、華麗なステップからジャンプまで披露しちゃう!
スケートなんてほとんど初めてだろうに。
ところで、チヨタロウと牛山出会ったの、せいぜい、1日前とかよねっ!?
いつ少女世界とか読んでる時間あったんだっ
この本は杉元と白石が読んでたとの同じ。第2巻第8号だそうで、1907年の刊行。そこから作中のリアルタイムはどうやら07年(明治40年)らしい。
今週のゴールデンカムイ。明治40年発行「少女世界」にジャンヌ・ダルクが詳細に紹介されている。「少女世界」は当時最も売れた少女雑誌なので、杉元はこの少女雑誌を読んでいたに違いない。他にも質問コーナーで肥満に悩む少女にダイエットの指南なども書かれている。 pic.twitter.com/yD25N4d3s2
— 野田サトル (@satorunoda) 2017年10月20日
(当時、少年世界って雑誌もあったようだけどね)
門倉<そんな距離を狙撃できるやつはいない> まあ尾形ならチャレンジしてみるかもね。
でもスコープないから、標的が見えそうにない。*14
そして温泉といえば、オヤクソクのヌードですよ!!!
とうとう門倉が脱いだ!
……どこに需要があるのだ、このヌードは。
ಠ_ಠ
胸も薄いし、いかにも怠惰な中年親父って哀愁漂うお肉……
温泉やバーニャ☆の、若者達との、肉付きの違いよ……
キラウシのマキリの扱いヒドい……
関谷のぬめっとした冷血さって、尾形と通じるものがある。
急に神様とか言出しちゃうし。
孤高を気取ってるってことかもね。
人間の存在に特に価値を感じてないというか、常に、神との対話を重視してて人間なんか目じゃないようだ。
キラウシの発案が巧くあたって作戦成功!……と思うと、牛山の出現でご破算になるとか……
つくづく門倉さん不運。
関谷「神様って本当にいるのかね?」
少なくとも門倉に関しては、貧乏神とか疫病神はいるじゃん。
……門倉さん仮性なの?
第175話 繭
牛山、やっぱり女郎屋行ってたのか。
なにやってん。
しかも、一回じゃないよね?
関谷、土方一味が自分を追ってきたことに気付く。
→牛山がいるのを知る
→(単に、変な刺青の男というだけじゃ他のやつの可能性もあるから)牛山が遊郭に来ることを確かめる
→次に来たときに飲ませるよう女郎に頼む
牛山って、とことん女運悪いのかも知れぬ。
死刑囚になった原因も女性問題。
土方に再会した切っ掛けも、遊郭の女。
土方って、「アイヌ達と組んで北海道独立を目指す」って標榜してる、金塊もアイヌ達の軍資金だっていう割には、アイヌ達と協議したりしてるように見えない、ただのギャング団っぽい。
資金はあるのかもだが、イマイチ、組織もハッキリしない(モブ達最近見えないのは、小樽とか各地に散ってるのか? どこかに本拠地があって、都丹とか夏太郎とかモブ達とかはそこで待機してるのか?)
土方もイイお歳だし、土方亡き後誰が計画を継ぐのかって後継者も見当たらない。
なんていうか、実現性が乏しい……
キロランケ一行はそもそもなにを目指してるのか、アイドルになるはずのアシリパさんはまだなんの意志もない。いちばん計画が具体的なのは鶴見なんだけど、彼は致命的に、信用性がない……そもそも鶴見の「戦死者達に報いる」って大義は後付けで、彼は戦前は、あんまり大義や正義じゃない別の目的のために金塊得ようとしてたんだよね???
164話の鶴見と尾形の会話からしても、邪な目的があって。
具体性のない土方、意志のないアシリパさん、信用できない鶴見、って、三すくみなんだ。
種繭雌雄鑑別器、面白い。どう動作するんだろう。
ロシアンルーレットみたいだ。
糸車とか、ルーレットとか、回転する物体に人の運命を重ねたがるのは、洋の東西を問わない。
タロットカードのホイールオブフォーチュンとかさ。
マニ車や天気輪とかさ。
この鑑別器も、雌は採卵用に残すけど、雄は交配用の少数以外はすぐに採糸用に釜茹にするんだから、運命を分ける装置ではある。
関谷、いろんな手の込んだ運試しを考案してるw
しかも事故前はすっげえ良い人そうwwwwww
このお目々キラキラ,゜.:。+゜したの誰!?
このコマは単行本での追加。
単行本18巻で最大の加筆がコレですよ!?
関谷、まさかの元子持ち。
彼の過去も痛ましい。
関谷「「運」とは神の意志なのか」って問いかけは、信仰の根源でもある。
人は本能として不確実性に納得できなくて、不安定な未来を、超自然的な存在に呼び掛けてコントロールしようとする、それが宗教儀式の始まり。
一方で、神判のように、殺人って本能的なタブーを避けたくて神の手に委ねようとするし?
彼が死んだ目をして空を見上げるカットは単行本での追加分。
後々出てくる鶴見の絵とちょうど対比されてる。
関谷は、本質的には性善なる人であるらしい。
愛する人の偶発的な死から、神に絶望して存在を疑うなんて、この「ゴールデンカムイ」の中で何度も繰返される話。
妻とか恋人でなくて、あくまで娘ってところが、この漫画らしい。
この金神って漫画全体、少女は無条件に無垢な存在に描かれてて(っても、アシリパさん、オソマ、エノノカの3人しかいない)、下世話なチカパシ少年との差がw
もし関谷の子供が、男の子だったら、また彼の絶望も変ってたのかもね。
彼は一方で、絶対的な善悪の裁定者としての神に存在して欲しいと願ってる。
本質的には殺人を忌避するタイプの人間で、だから被害者にも運試しを持ちかける。
しかし、「神は試されることを嫌う」ともいうんだよね。
関谷の狡猾な悪意すら跳ね返す、門倉の悪運っぷり、スゲエwww
まるで、負数と負数を掛け合わせると正数になるみたいな!*15
そして、運に頼らず自分の知恵で自己救済した土方も、やっぱりスゴい。
トリカブトとフグ毒の拮抗作用については。
トリカブト保険金殺人事件 - Wikipedia
ところが、妻の血液を分析していた大野が、公判でアコニチンとテトロドトキシンの配合を調節することで互いの効力を弱めることができると証言した[1]。アコニチンはNa+チャネルを活性化させ、テトロドトキシンはNa+チャネルを不活化させるが、この2つを同時に服用するとアコニチンの中毒作用が抑制される、拮抗作用が起こることが判明した[2]。そしてテトロドトキシンの半減期(毒物の血中濃度が半分になるまでの時間)がアコニチンよりも短いため、拮抗作用が崩れたときに、アコニチンによって死に至る。これにより、神谷が妻を毒殺することが可能となった。
こういう意外な展開好き。一見、アンビリーバボーだけど実は科学的裏付けがあるっていう。
第176話 それぞれの神様
土方に斬られて瀕死の関谷、むしろ、嬉しそう。
彼はどうやら神の存在を確信したようだ。
犬童にしろ、用一郎にしろ、関谷にしろ、土方に斬られた人々は皆、満足げに死んでく。
土方自身が、迷える子山羊らを昇天させる天使に擬えられてるようだ。
彼もまた、箱館戦争で一度死んで、獄中から甦った――のっぺら坊って黄金の神の化身の使徒として。
門倉さん、意外と思慮深いな。
門倉「凶悪な自分を創り上げたんじゃないですかね」
……ってセリフからすると、関谷、娘の死の以前には、善良な市民だったのかな。
善良すぎて、根拠もない罪悪感に苛まされてた。そして実際に強烈な厳罰を下されてしまった。*16
自分はそもそも罪深く生まれついたので、実際に罪を犯す前に神が罰を下した、と。
自分に罰が下されたのだから、自分には罪科があるはずだと。
フロイトがニーチェ*17を引いて「罪悪感からの犯罪者」といった概念であるらしい。
今では神経症的犯罪者、というようだが。
「もともと強い罪悪感を抱いているからこそ、自己処罰を実現するために、あえてそれに対応する罪を犯すのである。」
→犯罪ハンドブック (ハンドブック・シリーズ)
落雷による死なんてのは、ホントに、神の采配、運不運としかいいようがないわけで、人間がコントロールできるわけでもないから、関谷は代わりに、毒という不確実な手段をとった。
キラウシ、置いてけぼり……
キラウシの語尾が伸びるのは、アイヌ語訛りなんだろか。*18
で、結局、オベンチョってなんなのよ。
そして樺太に。
目を離すとすぐどこかいなくなる鯉登w
キロランケのパーティでは白石だけど、こっちでは鯉登。
首輪を見る月島の顔がマジwww ワカルー
鯉登「なあ?月島ぁん」 ……なんですかその「ぁん」は!!
鯉登、ソロのときは優秀で出来る子なのに、他に頼れる人がいると途端に精神年齢下がるんだ……エノノカちゃんのほうが大人。
ナナイ族の木彫……蝶番で背中が開くようになってるのかな。ナッツクラッカーみたいな?
背中の縞模様からして、虎(の精霊)ですかね。
虎つーたらキロランケ=ユルバルス(虎)だし。
気になる気になる。
ちゃくちゃくと進む脱獄計画……さすがに白石は脱獄のプロ。
網走以降、白石を連れてきたのは最初からの予定だったのかも?
アシリパさんのセリフを受けての、尾形の微妙な表情が気になる。
彼女を欺してることが後ろめたいのか。
アシリパさんに対しては罪悪感があるのかな。
12巻で、アシリパさんがキロランケ問い詰めたときと同じ様な。
キロランケは嘘吐いてるんだよね。
少なくとも、アシリパさん達北海道アイヌのために戦うってんじゃない。だからウイルクと袂を分かった。
キロランケは、自分達が正義だと信じてて、そのためにならアシリパさんを欺すことも計画のうちだと思ってる。
尾形は、徹底して無神論でニヒリストだから、キロの正義を信じてない。酸いも甘いも噛み分けてきた革命戦士崩れのキロランケと、なんだかんだで自分の選択だけで今の立場にいる若造の尾形との、人生経験の差かも知れないが。
サブタイ、「それぞれの神様」なんてまたキャッチーな。
関谷は死の間際に、使徒土方を通して神を見いだした。
しかし土方は神を信じない。
チヨタロウは牛山を守り神とした。
キロや尾形は神――に擬えられる父達や皇帝――を殺してきた。
後半は、『金神18巻の感想 下 ゴールデンカムイ』に続く。
*1:……いやだって公式の内容紹介におっさんて書いてあるし……
*2:→
*3:174話分から3号連続で鯉登作の鶴見のクソコラブロマイドが綴じ込み付録だった。
*4:尾形みたいなのは例外
*5:駿河の地名の由来とも。あの地にトリカブトがいっぱい生えてたそうな。
*6:→
*8:例えば、→埼玉愛犬家連続殺人事件 - Wikipedia
*9:当時、劇場まで見に行った。パンフがハードカバーの絵本みたいだったんだ。
*11:もしかして、下の名前が「元(ゲン、ハジメ、モト、などと)」だったりしないか……?
*12:「関谷」のネーミング、「門」+「*」説があって、笑ってしまった。門倉の視点なのか……
*13:『スピナマラダ!』の続きも見たくもあるんだけど、一方で、フィギュアスケーターとしてのロウの話も見たくもあり。しかし『スピナマラダ!』の連載が続いてたら、『ゴールデンカムイ』はなかったし、私が作者氏を知ることも、『スピナマラダ!』を読むこともなかったのではあるけど。複雑だ。
*14:現代だと狙撃の世界記録は3.5キロだそうで。→【特集】世界最長狙撃を可能にしたスナイパーライフル「マクミランTAC-50」 - ミリブロNews
これは対物ライフル(0.50口径っていうから弾の直径12.7ミリ、とても小銃なんてものではなく)に高性能スコープつけてる。着弾まで10秒かかるそうだし、風の影響もあるから、(弾頭が重いので風の影響は無視できるそうな)かなり運も大きそう。平らな地形だと、地上1mでの地平線までの距離はほぼ4kmなので、このへんが限界なのかな。
*15:しかし、虚数と虚数は掛け合わせても負の数にしかならないのだよ……
*16:ふと。彼は、娘の死は自分への天罰だと思ってるんだな。父である自分とは無関係に、娘自身に天罰を下される理由があったとは考えもしない。つまり彼にとって娘は独立した存在ではなく、あくまで自分自身の一部、最もセンシティブな部分だと思ってることに。杉元からアシリパさんへの感情とも似てる。
*18:アニメのフチのセリフ、語尾が伸びるのがちょっと意外で面白いと思った。