金神19巻の感想 ゴールデンカムイ
ゴールデンカムイ 19 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: 野田サトル
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2019/09/19
- メディア: Kindle版
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樺太篇の大きな山場。 尾形とキロランケのファンにとってはツライ……
表紙はキロランケ。
あれ、ウイルクも来ると思ったんだけどな。
この『ゴールデンカムイ』って大きな物語の、最大のキーマンだし、樺太篇のある意味主役みたいなものだけど。
うーん、彼は神格化されてて、最後までカラーに登場しないのかな。
紙本限定特典の本体表紙の衣装図鑑は、キロランケのカパラミプ。
ゴールデンカムイ 19 アニメDVD同梱版 (ヤングジャンプコミックス)
- 作者: 野田サトル
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2019/09/19
- メディア: コミック
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目次
第181話「アムールトラ」
初っ端、尾形の台詞から。
シベリアや満州ったら、トラだ。
トラもすごいけど、ソフィアさんすごい……
アシリパさんとソフィアの邂逅。
少年ウィルクの服、そのまま、アシリパさんの服だったのか。
ウイルクの母の服は、インカラマッが着てるし、アシリパさんのまとう白い毛皮は、レタラの母の毛皮。
ソフィアたちの台詞のロシア語表記は単行本での追加。
スゴいなこれ。
本誌連載で台詞の文字の量に対して吹き出しが大きめに思えたのは、後からロシア文を追加する予定だったようだ。
白石「なんか想像とちがうッ」
……まあそう思うよね。
対して、キロランケ「めちゃくちゃいい女になったな」
さすがキロランケ!!
巧いなあ。
偶像的なフィジカルビューティでなくて、生身の人間の魅力を捉えてる。
彼女が今までどれだけの体験をしてきたかってことを思いやって。
だから、「なったな」なんだな、と。
キロランケ自身は、別れたときと、あんまり変わってないのに。
背後で頷いてる、白石と尾形……
白石は単純にキレイなねーちゃんが好きなだけ。
尾形の嗜好はわからんwww
まあきっと内心は白石と同じこと思ってるかもw
キロランケの域に達するには人生経験足りない。
180話と181話で、キロランケと尾形の冠り物が変わってる。
ニヴフに合せたのかな?
キロランケが181話以降被ってるのは、180話まで尾形が被ってた耳当て付の帽子?
第182話「私の知らない父のこと」
アシリパ「どうして叩くんだ?」
は単行本で追加されたコマ。
このページの4コマ目のキロランケ、連載時には斜めに描かれてたのがなんだか胡乱に感じられたのだけど*1、単行本では真っ直ぐになっている。
どうやら、キロランケ、ソフィアに隠し事はしていないようだ。
1話の中に「知らない」って言葉が3回も出てくる。
アシリパさんは父のことを知りたいだけ。
アシリパ「ソフィアしか知らないアチャのことを」
ソフィアは知らないことを知りたいっていう。
ソフィア「私が知らないいろんなことを」
この二人の意識の違い。
少数民族の文物の列挙。
身近なものに宿る民族の魂って、これこそ、アニミズム、「カムイ」の考えじゃないのか?
今ある自分を作ったもの。
My favoite things .
……って、あれ、インカラマッいうには、ウイルクはキリスト教徒じゃ。ポーランドルーツだからカソリだろうし。
だけど、ウイルクはともかく、キロランケ、アイヌとしてのアイデンティティは、実は薄いんじゃないだろか? 曾祖母が樺太アイヌってだけで、生まれ育ったのはタタール系ロシア人のコミュニティのはず。
キロランケの挙げる中に北海道アイヌの文化入ってない。
アシリパさんも「新しいアイヌの女」を自認してるし、なにを伝えて、なにを忘れるのか、って。
たとえばアシリパさん、口の周りの刺青の伝統文化は受け継がないし。
白人が武力で制圧しなかったとしても、外からの合理的先進的な文化に染まっていくのは止められない。
ウイルクの樺太・北海道の極東連邦構想。
やっぱりそういう話になるよねえ。
ウイルク「アメリカの先住民族は」「各部族が対立して殺し合っていた」……ってのはモロに、明治維新と重なる。
封建体制じゃ外からの圧力に持ちこたえられないから中央集権国家にする必要があったけど、徳川幕府にはもう国内をまとめるチカラなかったし、維新は必然だった。*2
だから、民族自決を貫くには、諸所の少数民族が団結して、自治国家を作って帝国に対抗しようと。
土方もそれが念頭にあるんだろうと思ったけど、ウイルクの入知恵かもね。
樺太・北海道・千島を合せて、アイヌモシリ(「アイヌの住む地」)って言い方もあるし。(ウイルクの案に千島が入ってないのは、まだ千島アイヌのこと知らないのかな?)
土方の構想もそれに近いのかな? 日本から見た構想だけど。 樺太・千島・北海道と合わせると資源も豊富だしね。 日露の両帝国の間にどっちつかずの自治州を、って考えは、キロランケとも共通してるんじゃなかろか。
金神153「京都」 ゴールデンカムイ - day * dayアイヌや大陸のパルチザンと組んでロシア革命に呼応して、日本からも帝政ロシアからも独立して、樺太・千島・北海道で自治州作る構想ってのが、土方にしても鶴見にしても一番、「ありえそう」ではあるんだが。
金神14巻の感想 ゴールデンカムイ - day * day
「日本国内団結して欧米列強に対抗すべし」っていう維新に反対して旧幕府に忠義を貫いてた土方が、極東の少数民族の連合国家に賛同して大国に対抗しようって考えるって、網走でウイルクと出会って転向したのか。
単に明治政府が気に入らないのか。
土方はなにをしたいんだ。
ロシアの革命家のウイルクと、日本の旧体制派の残党の土方が、蝦夷ヶ島の端っこの網走で出会って手を組んだって、すっげえ皮肉。
ソフィアの台詞、横書きの部分はロシア語で、キロランケが皆に通訳してる、その部分を省いてるんだけど。
……実は、尾形、ロシア語が出来ることが、後々明かされる。
この一行、アシリパさんと白石以外はロシア語出来る。
一方で、杉元達。
鯉登のフード付ってなんかカワイイ。
しかし……この一行、日本軍の装備だし、形式的には将校下士兵卒揃った正規軍の分隊だよね。
ロシアの看守達に見つかったらマズそうな?
何故にそこで谷垣のボタンが飛ぶwww
犬達、やっぱり逃げるよねえ。
この一行もまた、全員、得物違う。
杉元=三十年式、月島=三八式、谷垣=村田単発銃、鯉登=二六年式拳銃+サーベル。
銃弾も違う。
多分、月島は三八式弾持ってて、杉元は三十年式弾。
三八式銃は三十年式銃弾使えるけど、逆は不可だそうで。
谷垣の銃の音で追っ手に気付く、尾形。
さすが。
尾形の眼に光が入る描写って珍しい。それこそ1巻の杉元戦のとき以来だ。
第183話「狼に追いつく」
ソフィアの語る回想の中では、何人も仲間がいたのに、ウラジオストクでは3人になってた。
“一匹狼”っていうとなんか孤高のヒーローのようなイメージだけど、実際には、群れから追い出されたりしたハグレ者だったりする。
ウイルク「弱いものは負けて喰われる」……Dog eat dog 、弱肉強食とも。
ちょっとマーヴィン・ハリスの本思い出した。*3
ギリギリの環境で生活してる野生動物や人々が、厳しくなるのも仕方ない。それは野蛮ってことでもある。
ウイルク「間違った情けや優しさは弱さにもなるんだ」
その「情けや優しさ」を「間違い」や「弱さ」で片付けないのが、文明ってやつだ。
弱肉強食が自然の掟と勇ましいことを言っても、多くの人は、家族や知人が死ぬのを見たくはないし、まして自分の手で殺したくないので、弱者が切捨てられないよう、皆が生きていけるように文明を発達させてきた。
それもまた、情愛や罪悪感といった、遺伝子に刻まれた本能という自然の掟。*4
倫理や道徳というよりかは、もっとドライに、経済の問題なんだ。
「弱いものが喰われる」のが当然ならば、少数民族が大国に蹂躙されるのも当然ってことになる。先住民の地位向上は、暴力的な強さではなく、政治的な駆け引きや、社会の成熟で勝ち取られてきた。
ウイルクの父親の祖国であるポーランドも、ロシアとドイツって強国に挟まれて、蹂躙され続けてる。
ウイルクも、冷徹なリーダーって点で鶴見と近い人間だ。*5
こういう人物に対しては、人は、崇拝するか、反撥するしかない。
ウイルクに対するキロランケの感情は、鶴見への鯉登の感情に近かったのだろうか?
そう崇拝していたウイルクが「変わってしまった」というのは、上にあげたような“狼の掟”を、彼が捨てようとしたから、なのかも?
ウイルクは狼になりたかったのか。
なりきれなかったのか。
狼の毛皮を着ること、そして脱ぐこと。
狼でなく、のっぺら坊になった時点で、彼の死は決定されてたのか。
アシリパさんは、「新しいアイヌの女」として、どう決断するのか?
狼=ウイルクに追いつこうとするのか?
なにげに、アシリパさんの父方の祖父、初出演じゃないですか。
アシリパさんが身に纏うのは、ウイルクの(樺太アイヌの)装束と、レタラの親の毛皮っていう、因縁。
ああ、キロランケ、日本語・タタール語・アイヌ語・ロシア語・その他いくつもの少数民族の言語できるのに、ポーランド語は出来ないんだ。
暗号の解答がすこしずつ明かされる。
アイヌ語の「ホロケウオシコニ」が暗号のキーになってるのだと。*6
ウイルク、樺太アイヌ語とポーランド語のネイティブで、ロシア語→日本語→北海道アイヌ語って学んでることになる。アイヌ語を表記するなら、まず、(ポーランド語の)ローマ字アルファベットか、キリル文字のはず。
(ポーランド語はわからないけど)ローマ字で書くと、
「horkew oskoni(ホロケウオシコニ)」(→単語リスト(アイヌ語・日本語))になる。
……と思うんだけど、もしかして、アイヌ語をカナに音写してさらに漢字の(日本語の)音読に当ててる?
アシリパさん、北海道アイヌ語と日本語は話せるけど、ポーランド語やロシア語は出来ないようだ……仮名文字は読めるだろうけど、漢字はアヤシイ。
日本語ネイティブじゃないウイルクが、漢字読めないアシリパさんに向けて、日本語ネイティブの人達から隠す暗号を、日本語の漢字で書いてるって、謎。
「サハリン・アイヌの熊祭―ピウスツキの論文を中心に」*7って本で初めて知ったんだけど、ピウスツキって人のことちょっと調べたら、なかなか面白かった。→ブロニスワフ・ピウスツキ - Wikipedia
ポーランド人で、ロシア皇帝暗殺事件に連座して樺太に送られて、後にアイヌ研究者になり、アイヌの女性と結婚して、その子孫は北海道渡って日本人になってるし、一方で彼の弟はポーランドの初代大統領になってるっていう。
なんとなくウイルクや彼の父と被る。
第184話「流氷原」
ちょ、扉!*8
……さすがに書き文字はコピーじゃないようだ。
月島が持ってるのは岩息舞治のコピーですね。
アシリパさんが近いと思うと、居ても立ってもいられない杉元。
いっぽうアシリパさんは、アチャのことを想う。
アシリパさんと二人っきりになる尾形。
ほんっとにコイツがなにを目的にしてるのかわからん……
キロランケ達すら裏切る気満々じゃないのさ。
氷から落ちかける白石。
杉元「よォ!!また会ったな」
……の杉元、イイ顔してる!
とりあえずあのお守りがちょっとだけ時間稼いだから、杉元が間に合ったのか。
杉元に跳びつく白石。
作中ではほんの数ヶ月だけど、連載だと1年以上も離れてたんだもんな。
感動のシーンなのに、鼻水!鼻水!
第185話「再会」
扉絵、人気投票1位記念の壁紙の絵、をモノクロに描き直した版。(本誌連載時はカラーでしたん)
壁紙についての作者氏のコメント、もし尾形が1位取ってたらどうなってたか、非常に、気になるんですが。
不穏な尾形とアシリパさん、これ、勇作君と同じパターンだ。
ある属性を持つ人は、尾形の計略に掛らないようだ。
彼の言い分も、理屈通ってるし、一見、もっともらしい。
尾形「故郷の山で自由に生きていけばいい」
……ってこれ、杉元がウイルクにいったのと同じ。
キロは尾形のこと同志だと信じてるの……
彼は純粋すぎるんだ。
杉元を発見する尾形……吹雪の中なのに二人の間には強固な絆があるらしい……ロクでもない絆だけど!
不死身の杉元!!
この、『ゴールデンカムイ』って作品全体を象徴するような台詞を、ここで尾形に言わせるとはっ!!*9
……よく見るとこれ、台詞じゃなくて独白だ。
特大極太フォントで呟いてる。
尾形がこんな強張った、怯えた顔するなんて前代未聞。
谷垣に撃たれたときはまるで余裕だったのに。
尾形、本気で杉元を畏れてるのか。
冷血な彼が心躍らせるなんて、それだけ杉元は殺し合ったり協力したりと、特別な仲間であるらしい。
サブタイの「再会」って、尾形と杉元のことなのっ?
一方で、ひょんなところに、スヴェトラーナさん!
去りかけてもやっぱり夫妻を思い出して見過ごせない月島。
でも彼女のほうはそんなに深刻な話でもなく。
……ああ案の定、てw
そりゃ、田舎の娘は、都会に憧れるよねえ。
これもまた「新しい女」。
月島、やっぱり、未だにイゴ草ちゃんの消息がすこーしは気になる模様。
でも知りたくはないんだろうな……
彼が知りたいのは、幸せな彼女の境遇であって、真実ではない。
自分が真実を知らなければ、幸せに暮らしている彼女の可能性もまだ残されてる。
「自分が知る」ことで彼女の現状が決定されてしまう。まるでシュレディンガーの猫みたいじゃないか。
脱獄囚に追剥ぎされる、谷垣と鯉登。
……可哀想に、脱獄囚達……
相手が悪すぎるwww
鯉登の眼が本気。
第186話「忘れ物」
銃を構える尾形と追う杉元。
尾形 雪と氷で何も見えん
杉元「この雪と風があるうちに……!!」
なんだかんだで通じ合ってる、尾形と杉元w 微笑ましいやね。
このコマの杉元、顔が違ってる。
余裕がないのはこっちも同じなんだ。
二人の間を阻む、流氷。
尾形「キロランケがどこかに合図していた」
……って、インカラマッが言ったのと同じことを言いだす……
疑わないアシリパさん、強い。
いっぽう、追い剥ぎを撃退する鯉登達。
ああ、「三枚下ろし」ってこれか。なんて見事なサジタル面切断。
月島探しに行くの、上官と部下ってよりか、母親探す幼児みたい。*10
ようやく見つけて、月島が女連れなのに嫉妬してる?
燈台守の夫妻の話はまったく聞いてなかったのか。
なんだかなこのお坊ちゃんは。
そして、いきなり、キロランケと谷垣の死闘。
キロがこんな怒りの表情作るのも初めてだ。
第187話「罪穢れ」
尾形のファンにはツラい展開。
単行本の12巻以降、尾形がどんどん悪役にシフトしていって、それはヤングジャプ本誌での連載時から見比べてもそうなんだけど、その悪役っぷりがクライマックスって感じだ。
尾形の猿芝居が延々と。
あんこう鍋、そこで出て来る~
尾形の回想シーンが明らかに嘘を描いてるんだけど。
これっていわゆる「信用できない語り手」ってヤツだ。ミステリーではお馴染みだし、海外の映画やドラマではよく出て来る演出。
この物語で、全ての回想シーンは誰か登場人物の主観で描かれてる。例えば、「7人のアイヌ殺し事件」はインカラマッの話の中のコマではキロランケが犯人になってるし、鶴見は真偽の不明なエゴ草ちゃんと両親の会話のコマが描かれる。
「誰も信用できない」というより、どのエピソードも、誰かが語った物語に過ぎないということ。
作品世界全体を客観的にウエメセで見渡して他のキャラや読者に教えてくれるような、超越した存在がいない。
それは、占いや予言が絶対ではないことや、先入観や偏見のなさでも示されてる。
作品全体が、こういう不可知的実存主義的なスタンスで描かれてるんだと気付いてから、この作品に一気にハマったんだ。
尾形「あーあ…」で急に口調が変わるの、もう繕うのを止めた、仮面を外した。
アシリパさんに、弟君へと同様に人殺しという堕落を迫る彼はさながら、サタンやマーラのようで。
相手の愛する者を奪ったことを、わざわざ告げて憎むように仕向けるって、父ちゃんのときと同じだ。
尾形「時間切れかな」という。
アシリパ「お前はなにひとつ信用できないッ」
尾形「やっぱり俺では駄目か」
アシリパさんは、尾形のことを、戦士や旅の仲間として信頼はしてても、信用はしてなかったし、尾形もそれに気付いてた。
どのような形であるにせよ、いずれ破綻するのは予期していた。
それがタイムリミットなのかも知れない。
アシリパさんが杉元にはじめて出会ったころに言った、「弱い奴は食われる」。
これはウイルクの教えた掟だ。
山で獣たちを渉猟してたときは、無邪気にアシリパさんはその言葉を信じてた。
獣でなく、人と対峙するときに、この言葉はアシリパさんに強く跳ね返ってくる。
ウイルクは、そこまで含めて、アシリパさんに教えたかったはずではないのか?
尾形「殺す道理さえあれば罪悪感なんぞに苦しまない」といいつつ思い浮かべるのは勇作君。
勇作君殺しに道理はない。
母親にしてもなんだかとってつけたような動機に思える。
顔を思い出せないくらいには、彼らについては罪悪感があるのかも知れない。
尾形は恐らく純粋なナチュラルボーンキラーで、多くの人が本能として持ってる殺人への忌避感、罪悪感を持たない。
彼の幼少時が、母親の不調を除けば、過度の虐待やネグレクトを受けたようでもないこと*11、本人も自分の心の有り様を不思議がってることからして、あのパーソナリティは幼少時の環境要因よりも、先天的な部分が大きいんじゃないかって思う。
しかし、衝動的な殺人者でもない。罪悪感がないというだけで、(家永や辺見ちゃんみたいに)犯罪的な殺人への嗜好があるわけじゃない。
もともと「道理のない殺人」はしない。
でも、唯一の例外が弟君だった。
勇作君を殺したのは衝動的な怒り。
尾形「…お前達のような奴らがいて良いはずがないんだ」
しかし彼は正しい怒りかたを知らないから、自分の怒りを表現するのにも弟君の言葉を剽窃せざるを得ない。*12
尾形、キーワード聞き出すことよりもむしろ、アシリパさんを殺すほうが主眼だったんじゃないかって気さえしてくる。
アシリパさんにさえ銃を向ける、いいぞぉこういう冷血っぷり。
彼がこういう冷酷さを見せると、ああやっぱりそういうヤツなんだ、と嬉しくなってしまう。
だけど、同時に、私はなんといっても尾形が大好きだから、彼には生きのびて欲しい。
彼らしくもない、その怒りの衝動を放棄して欲しいのだが。
生存すること自体を、彼自身は望んでいないのかもだけど。
「トメ」=尾形母の名前説があって、成る程、とちょっと思った。当時としてはごく一般的な女性の名前だし。
最初、「ウメ」を間違えて「トメ」て言ったのかと思ったけど、尾形は「梅子」の名前を聞いたことはないはず。
で、その後「あんこう鍋」て挙げてるところを見ると、
アシリパさん「誰の話をしているんだ?」……は尾形自身のことで、だから「トメ」も彼に唯一関わる女性=母親のことかも知れない。
でも、とすると、「故郷へ帰りたい」ってのも尾形の想いってことになって、そうだとしたら、尾形はホームシックに罹ってるのか、「帰りたい」ってのは母親の死以前まで巻き戻すのか、とか、尾形像がちょっと変わる。
そんな繊細な情動があるのか疑問だけどっ。
第188話「生きる」
アシリパさんと尾形の対決に、杉元の乱入は充分に予想出来たから、予定調和的な決着にも思える。
アシリパさんは穢させないってのがこの物語の大原則だけど、寸前まで彼女を追い詰めたのが、尾形なんだ。初めて会ったときに自分の命を救ってくれたアシリパさん。ちょうど兄様の魂を救おうとした弟君と同じに。
死に臨んで勝利の笑みを浮べる尾形!
そういうやつだよ!
こいつ、こういうとこで笑うんだよ!
射手の命にも等しい右眼と銃を失った尾形。
アシリパさんは尾形を殺しかけたって精神的ショック。
杉元は、あれほど憎んだ尾形を助けるはめになった。
三方一両損なのか。
いや、むしろ逆だ。
サブタイトルは、「生きる」だ。
杉元「この流れでは死なせねぇぞ」
杉元「あの子を人殺しにはさせねぇ」
杉元「お前の「死」にこれっぽっちも関わらせるもんかよ!!」
このセリフの畳みかけが圧倒的だ。
尾形は命を救われ、アシリパさんは人殺しにならずに済んだ、杉元はアシリパさんの魂と尾形の命を救うことで自身も救った。
三者ともギリギリのどん底で生を得た。
尾形の死は3人の死、尾形の生は3人の生になる。
尾形、最初は杉元に殺されかけたところをアシリパさんに助けられて、今度はアシリパさんに殺されかけたところを杉元に助けられてるって因縁。
何度も死にかけてるのに、なんだかんだ言って運や人に助けられてるんだ。それこそ、彼が否定した神や愛ってやつじゃないのか。
新約聖書にある。
マタイの福音書 5:29-30 ですから、もしあなたの目が情欲を引き起こすなら、その目をえぐり出して捨てなさい。体の一部を失っても、体全体が地獄に投げ込まれるより、よっぽどましです。 また、もしあなたの手が罪を犯させるなら、そんな手は切り捨てなさい。地獄に落ちるより、そのほうがどんなによいでしょう。 | リビングバイブル (JCB) https://www.bible.com/ja/bible/83/MAT.5.29-30.JCB
尾形は特級射手としての生命は絶たれたけど、自分の生にそれ以上の価値を見いだすのか?
……って、なんか、あっさり、左目でも充分に照準できそうなんだよな……普段から両眼開けて撃ってるし。
彼に罪科があるとするなら、それは、彼が怒りに駆られて撃ったこと、そのことに罪悪感を抱いてしまったこと。
弟とアシリパさんを重ね合わせてしまったこと。
自分が祝福を受けなかったことを拗ねて、自ら呪いを受けたこと。
ここから改めて、尾形は、怒りに充ちた魔弾の射手以外の生を「祝福された道」として歩むことになるのか?
彼に救いが必要だとしたら、最後には自分で救うしかないのだけど。
「神を探す話」って感がいっそう強まるんだ……
にしても、二次創作界隈でこんな展開いくつも見た。
殺伐系杉尾クラスタとしては、尾形の毒を吸い出す杉元の絵なんて、美味しすぎますわよっ♥
ヲトメ心を裏切りませんわね、この先生はっ。
尾形の行動って、ほんとにわからんっ。
なんのために鶴見から離叛したのか。
土方についたのか。
ずっとアシリパさん達と行動を共にして、何故、キロランケと組んでウイルクを殺し、杉元を撃って、樺太行に付き合って、そしてキロランケも裏切ったのか。
全ては気紛れで、大きな目的なんか最初からなかったのか??
アシリパさんに自分を殺させる……あるいはアシリパさんを殺そうと決めたのは、いつからなのか? 弟君の幻想を見た時から?
尾形が大変なことになってる横で、再会を喜んで笑い合ってる3人がちょっと妬ましい。
尾形が完全な悪役になってるから仕方ないんだが。
命があるだけでも幸いと思うべきなのか。
この話が、予定調和的に感じられるのって、今回の登場キャラ、杉元・アシリパさん・尾形・白石の四人が、象徴的なグループだからかも知れない。
ちょうど1巻で登場したメインキャラ全員だし。
尾形とアシリパさんは、それぞれ、理性の二つを象徴してる。
二人とも、射手って。対象から一歩身を引いたところから見てるスタンスも共通してるし、性的な要素がないのも一緒。現実と直に関わらない。理詰めで理解しようとする。
尾形は、エゴ、利己的・自己中心的な合理主義。
アシリパさんは、倫理、個人の外から律する理性、スーパーエゴ。
エゴは常に合理的で、全てに理由を求めようとするから、突き詰めると目的を失って、ニヒリズム、虚無に陥る。尾形が急に死を求めたように。
人を行動に駆り立てるのは倫理(と衝動)だ。
倫理は常にエゴを支配しようとするし、エゴは倫理を殺そうとする。
エゴと倫理が殺し合って共倒れになると、後には衝動(シライシ)しか残らないから、生の肉体(杉元)は両方を救わなければならない。
そうやってシンボリックに解釈できる。
ここまで痛切で劇的な尾形の決着のドラマ、
杉元とアシリパさんの再会、って盛り上げといて、
最後、吹雪も止んで雲間から光がさして、で、そこで、
聖水プレイかよ!
しかも、連載時から1見開き増量ですよ!
確かに、感動的な場面で、3人のイイ笑顔なんだけど!
……期待裏切らねーな、この作者様はっ
第189話「血痕」
キロランケ、谷垣にトドメ刺さなかったんだ。
そのへん、甘さというか、ウイルクのように冷徹になり切れない。
キロランケはもっと熱い、理想に情熱を燃やす漢じゃなかったのか。
土壇場まで喋り続けた尾形に対して。
キロ、186話でソフィアと別れて以降、一言も口きいてないんだ……
もう、彼が語ることはなくなったのか?
アシリパさんをソフィアと逢わせてキーワードを思い出させたことで、彼の「役目」は終ってしまったということなのか?
谷垣、月島。
部下たちを傷付けられて怒る鯉登。
初めて鯉登が将校らしいとこ見せた気がする……
こういう鯉登の熱心、あるいは鶴見への忠誠心て、現代のワタシからすると、ただ忠義に篤いという以上に、もっと艶めかしい感情を妄想もとい想像してしまうけど、でも、「肉弾」に書かれるような当時の感覚*13からすると、模範的な軍人なのかも知れない。
やはり『ゴールデンカムイ』は現代の作品だし、キャラたちも実は現代的に個人主体で生きてるから、鯉登のアナクロニズムが際立つのかもね。
鯉登の叫ぶ顔、まるで杉元が「俺は不死身の杉元だ!」と叫ぶときとそっくりだ。
杉元が不死身であることに自分の存在意義を置いてて必死のときにそれがドンッと前面に飛び出してくるのだとするなら、鯉登は将校であることに自分の意義を置いてる。
将校で苦労知らずのボンボンではあるけど、一方で端々に見える躾の良さ、ノブレスオブリージュの意識。
このへん、単に裕福な家で何不自由なく育っただけではなくて、将来のエリート将校、指導者としてきっちり教育されてるし、性根は真っ直ぐなんだ。
皆、成長とともに傷ついてく。
『ゴールデンカムイ』全体通して、網走篇までの前半が、凶悪犯や猛獣達とのバトルだったのに、後半はメインキャラ同士の戦になって、切ない。
それが、金塊探しから、神を探すって目的が変わっていったことの証左なのかも知れないが。
P176からの4頁、杉元・アシリパさん・白石・尾形、それにソフィアはまるまる追加。
説明が増えた。
杉元が瀕死の尾形を背負って、杉元の荷物を白石が持ってる。*14
杉元「キロランケは「あいつが変わってしまったからだ」とか」
この会話、連載時は191話(20巻に収録のはず)の谷垣の台詞だった。*15
アシリパさん、まず杉元に訊くのが妥当ってことかな。
キロランケの「長い長い手紙」には、ウイルクを殺したこと、その理由も含めて全て書いてあったのだろうか?
181話の、連載時からの変更点を見るとそのようにも思える。
第190話「明日のために」
虎はなにをのこすのだろう。
キロランケも尾形も、5巻からメインキャラになったんだっけ。
5巻ってのは大きな区切りだと思う。
「ゴールデンカムイ」の連載開始が2014年8月21日発売号(ヤングジャンプ通巻1693号)で、連載一周年よりちょっと前に2015年7月23日発売号に掲載されたのが、第43話「シンナキサラ」、尾形再登場の回。
で、9月3日発売号、第47話「イトウの花」でキロランケが登場する。
このへんから長期連載の見通しが立って、本来の長篇のストーリーが始まった感じ。
脱獄囚や猛獣とのサバイバルから、網走行きってロードムービーになって、鶴見のストーリーが語られはじめた。
キロランケ、6巻49話では、「最後まで見届けたい」ってなんか傍観者みたいだったし、金塊に関心あるように思えなかったのにね。
引続き、鯉登とキロランケの死闘。
いやあああもぉ。
キレイなおにーさんが血塗れで戦ったり刀揮ったりとか、私のヲトメ心にクリティカルヒットですよ!
(三白眼でロン毛の剣士が大好きなんだ……若い頃の土方とか。実際の写真の土方歳三より、金神の若い土方)
正直、推しキャラの腐なニオイの漂うラブラブなシーンよりか、こういう、殺し合いのシーンのほうが萌える、いや、燃えるんですが。
もおお、作者氏、ヲトメ心わかってらっしゃる……!
キロランケの最後の一撃も、鯉登に撃退される。
そして、アシリパさんたちとの合流。
遠くから、一行の様子を伺ってキロランケの末期を知るソフィア。
彼女の怒り。
谷垣はインカラマッを、鯉登は部下たちを、それぞれ傷付けられたことを憤って、キロランケと戦った。
ソフィアは、キロランケを殺され、その復讐の相手を知る。
復讐は更なる復讐を呼ぶ。
キロランケ一行も、杉元たちと同じルート辿ったんだ。
スチェンカ、尾形と白石はあっさり負けたのね……尾形、白兵戦苦手そうだよなあ。
杉元一行がスチェンカのとき、「日本人は勝てない」って言われたのは、キロ一行がボロ負けしたせい。
そして油断したころにバーニャ☆ですよ。
男性のヌードでファンサービスとか、掲載誌が(ry
けして無駄ではございませんとも。
眼福で御座います。
サービスのときは、カメラ目線になるのもオヤクソク。*16
ストーリーがシリアスで殺伐としてるから、サービスなんですかね。
そういや尾形、こういうときはいつも片足立ててるな。
なんだか猫が槍立ててるみたいな……(8巻の表紙とか)
「明日のために」ってサブタイ。
アシリパさん=明日子のことを指してるともとれる。
キロランケがいう、「俺たち」。
北海道のアイヌや、樺太の少数民族、大陸の民族も含めてるのか。
奥さんと子供とは、結局、再会できないまま。
最期の台詞が「ソフィア…!!」ってちょっとヒドイ。
ソフィアを愛してたというよりも、民族運動の同志として、彼女に未来――アシリパさん――を托したかったのかもだ。
アシリパ「キロランケニシパがアチャを殺したというのは」
189話で、杉元から「キロランケは「あいつが変わってしまったからだ」とか」と聞かされて、それを確かめようとしてる。
話の流れからして、連載時でも、杉元と再会して皆と合流するまでの間に会話あったはず。なぜなら、それ以前は、アシリパさんには「キロがウイルク殺させた」説は尾形の口からしか語られてないので、信用出来ない。
おそらくページの都合でカットされたんだろうな。
ゴールデンカムイ19巻本日9/19(木)より発売です。今年のお盆は谷垣源次郎を振り向かせたりして過ごしました。本誌掲載分よりも15Pほど増えてます。よろしくおねがいします。 pic.twitter.com/KSUaCAb7fK
— 野田サトル (@satorunoda) 2019年9月19日
作者氏の仰るのは、このキロランケの末期を看取るシーン。
連載でそっぽ向いてたのは、インカラマッを傷付けたキロランケを許せなかったのか。
でも単行本で振向いたのは、谷垣の誠実さなんだろうか?
最期までアシリパさんをどこかへ連れていこうとするキロランケ。
いったい彼はどこへ向おうとしてたのか。
アシリパ「キロランケニシパ…」
の呼声が繰返される。
最後の氷原のページは単行本の追加。
余韻が長くなった。
その後
謝辞のページ、いつも、死人ばかりだな……
次巻予告、なにこれwwww
どこの週刊誌ヨ?
初登場がいきなり全裸な新キャラ二人……
裏表紙
これも、紙本限定特典。
蒼い馬=死神のアナロジーかと思ったけど、背景は北海道アイヌのコタン。
すると、これは精霊馬かも知れない。
キロランケの魂は、最後に、馬に乗って妻子の待つコタンへ還っていった。
(……だけど、キロランケ、仏教の要素はないんだよな……タタールの生まれで、もしかすると生まれたときはムスリムかもだし、少数民族のアニミズム・シャーマニズムの文化かもだし、アイヌの信仰も受け継いでるかもだし)
連載時からの変更点
ページ番号はKindle版に基づく。
■ 第181話「アムールトラ」
- P11 ソフィアのコマがアップに。台詞、変更。
- P12 1頁追加。
- P17 ソフィアのフライングヒッププレス2コマ追加。
■ 第182話「私の知らない父のこと」
- 扉のウイルク増量。
- P29、1コマ目の尾形、本誌連載時には軍服の上にアザラシの毛皮の服を着ていた。*17 しかしこのコマ以外、これ以降もこの毛皮着てないので謎。
- P29、アシリパさんの台詞追加。4コマ目、キロランケが斜めに描かれてたのが真っ直ぐに。
- P33、ソフィアの服にトーンが追加。
- P45、尾形の台詞がちょっと変化。
■ 第183話「狼に追いつく」
■ 第184話「流氷原」
■ 第185話「再会」
■ 第186話「忘れ物」
■ 第187話「罪穢れ」
この5話、台詞にロシア語付いたほかは、ほとんど修正変更ないんですよ!
- コメントでツッコミありました。185話、スヴェトラーナ嬢の顔に効果線が追加されてますね。あと、彼女の向きが変わったコマと。
■ 第188話「生きる」
- P156、聖水プレイに1見開き追加。
■ 第189話「血痕」
- P185からの4頁まるごと追加。
■ 第190話「明日のために」
- P184、鯉登「手出し無用」の鯉登、向きが変わった。右向いてたのが左に。
- キロランケの末期を、遠くから見守って憤るソフィア、2頁追加。
- ラスト、氷原のページ、丸ごと追加。
連載時の記事
このページは、これらを元に書きました。
- 第181話「アムールトラ」
- 第182話「私の知らない父のこと」
- 第183話「狼に追いつく」
- 第184話「流氷原」
- 第185話「再会」
- 第186話「忘れ物」
- 第187話「罪穢れ」
- 第188話「生きる」
- 第189話「血痕」
- 第190話「明日のために」
*1:→
*2:清国もそう。各軍閥同士で対立して国内政治がガタガタだったので、欧米列強とその後追いした日本に付け込まれた。そういう国々が、自国民保護の名目で軍隊送り込んで支配領域を広げてったわけで。
*3:→ ヒトはなぜヒトを食べたか―生態人類学から見た文化の起源 (ハヤカワ文庫―ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
*4:残酷な自然の掟はまず弱者に向う。資源量が限られた共同体では、強制的な堕胎や嬰児殺し(とりわけ女児)といった産児制限、老人や病人の遺棄ってカタチで、人口の調整がしばしば行われてきた。一方で、過剰な殺傷を防ぐ為に愛情や同胞愛って本能があって、共同体を維持するように出来てる。
*5:「無駄のない機能的な美しさ」ってそういや、鶴見も同じように機能美を愛する者だった。
*6:この語について、アイヌ語監修の中川裕氏が著書で書いてる。
実はこの名前は、二〇一四年の連載開始から間もない頃にすでに決まっていたのですが、絶対に秘密ということで、トークイベントの度に編集の大熊さんから「言わないでくださいよ」と念を押されていた
- 作者: 中川裕,野田サトル
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2019/03/15
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*7:→ サハリン・アイヌの熊祭―ピウスツキの論文を中心に (Academic series new Asia (31))
*8:→伝説のネタ画像「チャリで来た」 本人が画像誕生秘話、ネット拡散後の苦労を激白 | ニコニコニュース
*9:アニメも最後は「俺は不死身の杉元だ!」で終ったし。
*10:ところで、公式壁紙、なにかねこれは……→ゴールデンカムイ公式サイト│壁紙プレゼント
*11:母親、関心が息子より愛人に向いてただけで、鍋にシイタケ入れないだけの配慮はしてるし。尾形自身「婆ちゃん子」といってるくらいに祖母とは親しかったようだし、だとしたら祖母が、虐待する母親と息子を二人きりにして留守にするはずもなかろうし。
*12:弟君に抱き締められたときに、ぶん殴って兄弟喧嘩でもしてれば、弟君も死なずに済んで、兄弟の関係も変化してたのかもね。
*13:疑似家族のような軍隊組織とかね。
*14:杉元の荷物、歩兵の行軍の標準装備だとしたら20キロくらいあるはず。
*15:→
*16:入浴シーンでカメラ目線になるのは、『花の慶次』リスペクトだそうで。→金神213「樺太脱出」感想 ゴールデンカムイ - day * day
*17:→