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日々是々

第298話「ウイルクの娘」感想 ゴールデンカムイ

人間らしさ=弱さということなのか?

鯉登、永倉の気迫に圧されて、逃げたようにも見えてしまう……確かに21・2の若芋と、幕末から死闘してきたツワモノとじゃ、経験値も肝っ玉も違うよ。
袋の中身が偽物だったと知ってもリアクションが薄いから、もしかすると薄々気付いてて、永倉から逃げるために袋を追ったんじゃないかって気がする。以前の鯉登だったらそんなこと考えもしなかったろうけどね。
彼がホントに逃げたのだとしても、納得するけどね。
鶴見ではなく、部下達のために。彼には生き延びる理由が出来てしまった。
逃げることは弱さを表れでもあるけど、それは彼が取り戻した人間らしさでもある。

一方でソフィア。
……鶴見のボーチャードピストルたっけ、ソフィアのお肉を貫通するほど威力あるのか……
彼女を躊躇させたのも、人間的な「弱い心」ではある。
命がけの戦いの最中に、敵を憐れんでしまった。
その憐みも、鶴見が仕掛けた「毒矢」。確かに鶴見は長谷川さんの悲劇を背負っているけど、ウイルクやソフィアが抱える長谷川さんへの負い目を利用して、アシリパさんを籠絡し、ソフィアを仕留めた。
鶴見は相手の弱みに付け込むのが巧い。
このへんメフィストフェレスな由縁だ……

ソフィア「でも…未来はあなたが選んで!!」
ソフィアは、ウイルクの遺志を貫徹するためにここまで来たのだけど。
しかし最終的にはアシリパさんの意志に任せるという。彼女が民族運動を選ばないこともあり得るのだけど。
その、娘の幸せこそが、ウイルクの真の願いだと。ウイルクにとってはもはや民族運動は二の次になってた、とソフィアは考えたのかもね。
取敢えず土地の権利書さえあれば、アイヌのカムイは保護できる。運動の資金の黄金は失ったとしても。

そして最後の谷垣。
どうせそんなこったろうと思ったwwww 「南へ向かう」って言ってたしね。
前回、馬で防風林を抜けて走っていったのは、永倉でなくて、谷垣だったのか。
谷垣も、杉元もヴァシリも、アシリパさんに命を救われてて、その借りをきっちり返してる。
彼はもはや軍服着てない。
ここで月島や鯉登と再会することになるのかなー敵味方として。
だとしたら、月島は、アイヌコタンで谷垣を殺さなかったことを後悔するだろう。でも鯉登は、谷垣一家を助けたことは正しいと信じてるはず。
鯉登には鯉登の正義がある。