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日々是々

金神123話「形勢逆転」感想 #ゴールデンカムイ

逆転、逆転、また逆転……って斜め上から!?

着実に敵を減らしていく一行。

尾形、杉元、アシリパさんのトリオのチームバトルって初めてだ。
杉元、普段は尾形を嫌ってるのに、戦闘のときはきっちり連携してる。やっぱ戦士同士の信頼は篤いんだなあと。

ライフル弾、飛翔音は弾着より早いのか。ちょっと意外。
今尾形が装填してるのは30式実包なのかな。弾速ほぼマッハ2らしい(38式だとM2.2……1割違うんだなあ)。
飛翔音は弾丸の風切音なのね。
いわゆる銃声は、弾丸が音速超えるときのソニックブーム銃口で発生する。
飛翔音は弾丸が飛び続ける間、弾丸の位置から発生し続けて周囲に伝播する。これが超音速の弾丸より前に出るのは、どういう仕組みなんだろ? 物理苦手なのでよくわからん。

5頁3コマ目にクスッとした。大胆なアオリ構図だが、銃で隠してる……どうしても尾形の股間描かないつもりか!
モロ出しで戦ってる杉元に対して、尾形は不自然なくらいに描かれない。
尾形って、性的な表現が全て攻撃や暴力に転化されるんだよな。*1 120話以降、彼だけ性器の代わりに唯一銃を描かれてるし。 性器なんて、生の人間の象徴の最たるものを、無機的な凶器で置き換えてる*2のは、彼の非人間性や、心の欠如を表現してるのだろう(でも、彼、他者が無意識に期待するある種のココロが欠けてるだけで、ちゃんとココロはあるよねー)*3
ココロがなければ自分の物語の主体にはなれないし、他者に所有され支配されることになる。
尾形は、生来、少々規格外のココロを持ってるために、幼い頃から周囲との軋轢を抱えてたと予想。象徴的な意味での親殺しは、抑圧からの解放、偽りの自分の否定、自分探し、巣立ちなんだ。
ただ彼はホントに親を殺した。それこそが彼の救いだったはず。傍目からは大罪かも知れないけど、彼自身は罪悪を感じる心がない。
二度も繰り返したけど。それは救いなのか逃避なのか……

ちょ、アシリパさん、どこ触ってんのっ*4
シリアスで緊張した場面なのにこーゆー絵を入れてくるので油断ならない。
でも文字通りの撒き菱、とっさに使うなんてさすが。
外で待ってろと言われても、彼女がそんなこと聞くわけない。

真っ暗闇の中で裸の男達が右往左往ってシチュエーションは艶笑喜劇なのに、実際は命懸けのサスペンスだ。
機械的に殺してく尾形に対して、生身の肉体として戦ってる杉元。

杉元と都丹の取っ組み合い。
「オラ 咥えろよ」て、それ、袖搦ですやん。

尾形の銃にしても杉元の格闘にしても、エロスとタナトスが混然一体になってて、作者のいう「"殺し合いという皮をかぶった性行為"」*5てやつだ。

都丹の怨念が語られる。彼とて根っからの悪人ではないのだと。

そして最後の最後に、土方、登場。
……え、どこから現れたのよ? この廃屋でずっと待ってたの?

都丹も、土方には丁寧語になるんすね……頭上がらないようだ。

都丹も仲間になるんですかあ? どおりで尾形が2度も外してると思ったら、都丹はここで殺される運命(プロット)になかったようだ。

ところでいつになったら服着るのよ?

*1:いや見えないほど小さいとかポークビッツとかいうのはナシで。

*2:103話の短刀もその一環だね。

*3:「人の心がないことに苦悩する」って、そういやPKディックの書くアンドロイド(andro=人、-id=疑似。人間モドキの意味)みたいだ。映画の『ブレードランナー』にしろ原作の『電気羊』にしろテーマはアンドロイド(レプリカント)の葛藤だ。ディックは自身を、人の心がない、故に社会から疎外されるアンドロイドに準えてるのだよね。その苦悩は『オズの魔法使い』のブリキの樵にも通じるし、さらには『フランケンシュタインの怪物』にも遡る。

*4:このカット、公式のアナウンスにまで使われてたのに一瞬で削除されてしまった……

*5:マンガで表現できる「面白さ」をすべて詰め込んだ歴史冒険活劇 | SUGOI JAPAN Award2017