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日々是々

金神31巻の感想。 ゴールデンカムイ

31巻の感想。 ゴールデンカムイ

表紙。そうきたか!
GKA総選挙で杉元が1位だった記念のイラストと全く同じポーズで左右逆の構図になってる。*1
ゴールデンカムイ公式サイト│GKA総選挙 祝1位 描き下ろし壁紙
本誌連載185話のカラー扉にもなってた。


紙本特典のカバー裏表紙は、アシパさんと、レタ、その家族。

口絵の杉パは、ゴールデンカムイ展のキービジュアルですね。
ゴールデンカムイ展

本文

第303話 暴走列車

もしかすると、アニメや、全話無料あたりから読み始めた人、或いは、いちばん最初から本誌で読んでる人には、尾形がメインキャラの意識はないのかなあ、と、ふと。Twitterや二次を見てても最近特にそう感じるんですよね。私は3巻出た直後に『ゴールデンカムイに』出会って、75話から本誌連載で読み出したので、ちょうど、尾形がメインキャラとして描かれてる時期に重なる。杉元・アシパさん・白石+尾形の4人が物語の中核にいるイメージがある。
主人公の杉元に対して、衝動的なイドの白石、合理的なエゴイズムを象徴する尾形、スーパーエゴのアシパさん、って、キレイに役割分担してますし。
なんだかんだいって、杉元のエゴは尾形とシンクロしてるように見える。*2

にしても。

尾形「さあ…何があっても止まらんぞ」
機関車の自動給炭機ってまだないのでは?
燃料供給なくなって、いつまで、ボイラー燃やして汽車が走り続けるのか不明なんですけども。すぐには止まらないのでしょうが、釜の中の石炭燃やし尽くしたら、ボイラーの熱も下がるし、蒸気の供給もなくなるので、動力がなくなる、汽車も止まるはず。
2ページ目、尾形は石炭車の上に立ってるけど、直前まで火夫が釜に石炭くべてたのでは。

え、5両編制すべて鶴見の部下たちなんだ? 何人乗ってるんだ……
100人じゃきかなくないか? 鶴見、いつどうやって兵士たちを補充してるんだか。

引続き、牛山無双。
月島は中ボスクラスか。
銃剣の使い方、さすがって思う。軍用小銃、銃剣を付けることで手槍にもなるし、投げることもできなくはない、と。更に銃床の部分で鈍器にもなるってマルチツールっぷり。

牛山「どうだ 強いだろ?」
さらっとこういうこと言えちゃう牛山先生さすがです。

鯉登と土方の対決。
狭いところだと土方が有利なのかなー

杉元の顔の散弾銃の傷が痛々しい……これ、頬骨も抉ってるよね…

尾形「鶴見中尉殿」
鶴見「尾形百之助上等兵…」

尾形と鶴見の再会、劇中でも1年以上ぶりになるんですよね。
互いに肩書付けて呼び交わしてる。
この二人の関係性もずっと謎なんですが。
尾形、網走でも札幌でも、鶴見を撃つチャンスはあった。
「権利書」が重要なことは、尾形は最初から知ってた。鶴見すら知らなかったのに。
中央の目的が権利書で、黄金の在処については鶴見はまだ知らないんだから、もう、中央とその意向を汲んだはずの尾形には、鶴見を生かしておく必要はない。
なのに、不意を突けたのに今回も尾形は鶴見を殺してない。
ホントに尾形は中央のスパイなのか、どうか? それすらアヤシイ。

もしかすると、尾形こそ、鶴見の一番深い・最初の陰謀仲間じゃないかって気もしてるんですけどね。どこまで付き合う気があるのかはともかく。
鶴見は今まで何度か尾形を殺したがってた、少なくとも尾形を殺そうとする人たちを止めたりはしない。
尾形と鶴見の出会いについても語られてないのだけど、尾形と鶴見の関係が、単なる上官と裏切り者というだけでもないだろうことは仄めかされてるし。

第304話 歴史

従前、尾形と鶴見の仲が特別なことは示されてたのですが。
鶴見「私が追い詰められるのを待っていたわけか?」
この台詞はかなり意外でした。
尾形に対しては弱音を吐くなんて。
鶴見のほうも余裕なかった。

作中の時間軸で二人の会話が描かれるのは、師団長殺しの後の馬車の中が最後。
尾形が他人と会話するシーンも243話の土方が最後なので。(描かれてない部分で会話してるだろうけど、絵として描かれるのは)
1年以上ぶりに鶴見と再会したと思ったら、いきなり痴話喧嘩になるっていう。
車内で死闘を繰り広げる皆の頭上で二人っきりでなにやってんですか。

尾形の目的は軍組織内での出世だったと。それは月島も指摘してる通りに。
最初に鶴見がそれを持ちかけて百之助少年をスカウトしたのかも。

尾形「キョロキョロよそ見ばかりしているからでしょうが!!」
この台詞には笑ってしまう。完全に痴話喧嘩ですよコレ。

なんだかこの台詞、「ラムのラブソング」思わせるんですよね。*3
23巻227話の鶴見の「愛です」の台詞を合わせるとナオサラ。

あなたはいつでもキョロキョロ よそ見をするのはやめてよ
   (中略)
ああ男の人って いくつも愛を持っているのね
LISP ラムのラブソング 歌詞

尾形の台詞のなかに宇佐美が入ってるってことは、尾形は宇佐美より先に鶴見に出会ってたのかも?
フィーナさんより先ってことはないだろうけど。
ウラジオストクが入ってるのは、ウラジオストク含めた極東地域への侵攻作戦ってことですかね。
鶴見、尾形を師団長にしてやるって約束したのに、キョロキョロよそ見ばかりでずっと放置してるんだとしたら、そりゃ、ラムでなくても怒るのもわかります。
尾形が宇佐美より前に鶴見に出会ってるとしたら、それはローティーンのころ。鶴見、尾形を陸士送り込んでも良かったのに。母も立派な将校になれって言ってるし。陸士に行けない理由があったんですかね? 祖父母が猛反対したとか? 将軍の庶子というのが拙いのかな? 1901年の段階でも陸士入るチャンスはあったし。
とすると、当初は、父を殺すことが尾形の目的だったのかも? 勇作さんを取り込むことが鶴見の計画に入ってたけどそれが頓挫したので、尾形を師団長にするよう方針転換した、と。

でも。
尾形が師団長とか、軍組織内での出世だとか、組織の権威などありがたがるなんて意外、と思うと、実は尾形、権威なんか全く信じてなくて、権威を否定するために、偽りの手段での出世を目論んでるっていう。
師団長って偶像を破壊したい。
父-神-権威を殺すって意味で尾形は首尾一貫してるのですね。
彼はサタンの末裔だった。*4

今から尾形が師団長目指すとすると、長期計画になりますね。
陸士出てから30年前後で師団長までなるとすると、尾形、鶴見に対して、それまでずっと陰で自分を支えてくれって言ってる。
これってプロポーズじゃないですかー
軍の上層部なんて武人ってより官僚だから、出世のルートってだいたい決まってます。これから30年は日本は本格的な戦争には加わらないので戦場で手柄を立てるには、大陸で事変起こすのが手っ取り早いってことに。

尾形は中央を信じてないんですね。
中央か鶴見か、で、鶴見を選んでしまう。中央より鶴見がマシっていう、そこに深い根拠があるわけでもないのでしょうが。
鶴見(や月島)は、尾形が中央のスパイだと知ってたし、鶴見は知ってて好きにさせてた、尾形は二重スパイだったのかもだし、離叛後は機会があれば尾形を殺そうとした。
この場でも鶴見、尾形をすぐに殺そうとしなかったのは、鶴見の側にも未練があるようで。
もしかすると、お互いの利己心、合理性では片付かない感情の交感があるのかも。

鶴見「欲しくても手に入らなかったものは価値など無かったと確かめてやりたいのだ」
それって、母親の関心もそこに含まれちゃう? だから母親も殺したの?
この作品全体、母親の存在感がひたすら希薄なのに、ここまで母なる者に強く執着するキャラは希有だ。

でもさ、鶴見に図星を突かれて、深々と溜息ついて、
尾形「そのとおりです!!」
尾形「やっぱり全部わかってくれてたんですねぇ 鶴見中尉殿は」

って言っちゃう。
晴れ晴れとした心底の笑顔。こんな尾形の顔が描かれるのも初めて。
私、あなた、百之助、って呼び交わすのもイイ。
尾形が「私」ですってよ。
もしかして、尾形の、ホントのホントの目的は、誰かに理解されることかもよ?
だから、鶴見って最大の理解者を実感して、尾形の大願は成就されてしまったのかもね?
それであの会心の笑み。

これって特大の死亡フラグじゃん……

第305話 迷い

車内でのバトルの間に、鶴見は下に降りてるのですね。

牛山、月島を何度も捕まえて投げ飛ばしてるけれど、手加減しているように思えます。殺す気なら月島を捉えたときに頸椎をへし折ることもできるのでは?
一方で月島は銃床で殴ったりだの銃で撃ったりだの手投弾だの、本気で牛山を殺そうとしています。
このへん、牛山はあくまで武術家であって、殺人者ではないんですね。
月島がタフだからまだ動いてるけど、普通だったらとっくに戦闘不能状態のはず。

この間、土方と鯉登はずっと4両目で戦ってる。
鯉登と、土方・永倉との剣戟はずっと期待してましたけどね!
鯉登、身が軽い……チャンバラでそれってアリ!?
正面の突きを身を逸らせて躱して、真っ向上から切り下ろされるのを、後ろ上方に跳んで避けて座席の背に着地するとか、どういう軽業ですか。
ぎりぎり現実味のあるアクションなのが見事。*5
決意を固める鯉登の襟章がアップに。
彼も27聯隊の将校なのですね。

鯉登が負傷。
この作品全体、うっすらと、「傷はトラウマの象徴」*6みたいな法則を感じるのですが。とするなら、この鯉登の傷は、部下たちを守り切ろうとする決意かも知れない。
恐らく土方は鯉登の顔、眼を狙ったのですね。犬童戦のときも目潰しを狙ってたし。
左眼ぎりぎり、でも鯉登は躱そうとしてない。眼に当たらなかったのはただ運の良さ。
鯉登の上段からの打ち込みを土方が上で受ける……片足上げてるから受けにくそう。

そして土方。若輩者にはひたすら優しい……そうか、「死人」か。
土方や月島は捨て身で戦ってる。
牛山は自分に自信があるので、自分は負けないと思ってるし。手投弾すら受け止めちゃうんだから。
杉元すら、もう、黄金だの梅ちゃんのことだのどうでもよくて、今はただひたすら目の前の敵を減らすことを考えてるっていう。アシパさんのために。
サバイバルがエゴイズムだとしたら、「誰かのために戦う」というのは利他的な「愛」だ。
この時点で、「自分のために」行動してるのって、尾形だけだ……しかも権威や秩序を否定したいって、まったくの自己満足でしかない、究極のエゴイズム。

そういう意味では、自分の命に恋々としなかった勇作さんは「迷い」のない「死人」そのものだったのですね。彼は部下たちのためのアイドルであろうとした。
しかしそれって彼の決死の覚悟、などとカッコイイことではなくて、恵まれすぎたゆえに自分のアイデンティティ、自我へのコダワリを持たないで済んだ故かも知れない。

第306話 特攻

「〝生きる〟とは〝戦い〟だ。」
*7

この作品は勧善懲悪ではないんだなあと。
メインキャラどうしが命懸けの殺し合いをしてる。
すべての死はサバイバルの結果の敗北であって、彼らが犯した罪悪への懲罰ではない。

鯉登が捨て身で命懸けなのかと思うと、土方のほうも余裕なかったようす。
土方が鯉登に「下りろ」といったり、298話の永倉が「未熟なり!」と言ったりってのは、実は、自分たちが鯉登を避けたかったのかも。
彼ら老練の武士だから鯉登がヤベエと見抜いた。自顕流のパワープレイと、凄まじい運動能力と、年による体力の差は歴然としてるし、まともに打合うとヤバい、でも若造ゆえにメンタルがまだまだ弱いので、言葉で退けようとしたのかもですよ。
ジジイたち、喰えんわ……
そういえば鶴見も、鯉登との初対面で剣術は誉めてたっけ。

新撰組、幕末期にしては実用本位の剛剣を採用してたんでしたっけ。鯉登の剣もへし折ってしまう。
だけど顔を切り刻まれても、剣が折れてもそのまま打ち込み続ける鯉登を止められない。
さすがに脳にくらって土方、ヤバい。
……でもトドメ刺さないで離脱しちゃうあたりが、鯉登、未熟なんですよ。

いっぽうで牛山×月島。
月島、そこで思い浮かべるのが奉天でのイケメンの鶴見だなんて。
そのときの鶴見の顔も言葉も信用出来ないものだとわかってるのに。
教会で一度は鶴見を疑ってたのに。
結局、月島は、自己評価が徹底して低い、自分の命に価値を感じてないから、鶴見の欺瞞のために捨てたところで構わないと思ってる。
だけど鯉登との絆は捨てられない。
鯉登を巻き込むことはできないという。
組織の上官と部下の関係ではなくて。
対等の個人同士の友愛、ブラザーフッドというのか。

月島「来るなッ」
の月島の顔は珍しい。
「最終章」に入って、どのキャラも、今まで見せたことのないような表情になってるのがちょっと意外で。
そういえば、「目が光る」描写、前はよくあったのだけど、最近は見掛けなくなりましたね。

アシパさんを身を挺してかばう牛山。
欺瞞に満ちた鶴見を庇おうと“特攻”する月島に対して、アシパさんを守ろうとする牛山の行動は単純で純粋。
というか牛山、自分に自信があるから、もしかすると死すら自分には敵わないと思ってるかも。
死を怖れることもなく。
チンポ先生は綺麗事で生きる人ではない。
死や生を美化することもなく。
欲望を剥き出しにしたナマの人間。

結果として、鯉登の行動は月島を救ってる。
ゴールデンカムイ』全体のテーマとして、“堕落論”があると思うのだけど。綺麗事や正義ではなく、相手を殺して喰ってでも生き延びるっていう。エゴイズムこそが人間だと。そのエゴイズムの究極としてサバイバルがある。
だから、忠誠に殉じようとする月島を、鯉登が生きた人間の世界に引き戻す、その絆になってるのが鯉登と月島の間のブラザーフッドなんですね*8
家族の絆の薄い月島と、兄への思慕の強い鯉登の、二人の繋がり。
鶴見の“愛の理論”は所詮、罪悪感を打消して人殺しのタブーを犯させるためのものでしかなくて、共感に根ざした互いへの慈愛には勝てない。

第307話 ちんぽ先生

この内容で、このサブタイトル。

さすがに牛山でも、手投弾には敵わない。
少女を守って死ぬことが彼の生き方の「完璧」だった。家永の問は自らに架される老いと衰えを踏まえてのものだったけど、牛山にとっては生き様であると。
アシパさんを守ったことで、彼は死んでも「不敗」を貫いた。そしてもう二度と負けることはない。
アシパさんが目を逸らさない、白石も彼女を遮らないのがイイ。
彼女のために死んでく者たちの死から目を背けない、それが彼女なりの責任の取り方なのでしょう。

白石、キレイにまとめてんじゃねえよ。

アシパさん、矢筒を奪われたことで、権利書も、最強の武器も失ってしまった。
その二つが戦いの理由と手段。
それが二つとも鶴見の手に。

一方で鶴見-月島-鯉登。なにこれ、完全に「ファウスト」じゃん。
メフィスト鶴見に誘惑されて大義に殉じようとする月島ファウストを、鯉登のグレートヒェンが救おうとする。
鯉登は月島の解放を訴える。
なぜ月島を行かせまいとするのか曖昧だったのが、単行本での加筆で、もう月島が死にかけてる、HP1くらいになってると気付いたことが明確に。
私のため、とかでなくて、あくまで上官の無茶振りから部下を救おうとする、部下である月島を救うのは鯉登の上官としての責務。
3人の間に立場の差がなかったとしても、鯉登は月島を救おうとしたでしょうか? 鯉登が月島を救えるのは、鯉登も同じ原罪を背負ったから?

土方、まだ死なない……トドメささなかったあたりが、鯉登がまだまだ未熟な所以。
脳損傷して意識障害起こしてるらしい土方、いわゆるゾンビ状態で思い浮かべるのが京都時代なんですね。
まさに「この世に恨みを残した悪霊」(by鶴見)*9

新撰組の夜回りのとき、先頭に立つ者を「死番」と言うんだそうで。いわゆる斬込みとか、暴走族のトッコーってポジションみたいなものだな……後ろにいるのは近藤勇沖田総司斎藤一らしい。*10

第308話 似たもの同士

今回、尾形と鶴見があっさり復縁したのが意外。
304話の後、鶴見は尾形の提案を受容れたんですかね? 受容れたフリをしただけ? あるいは、さらにまた別の案で双方が合意したの?
鶴見の部下で名前の付いた者たち、鯉登と月島には逃げられたし、宇佐美や菊田や二階堂は既に死んでるし、もはや、尾形しかいないせい?
おそらくモブの兵士一人一人にも、鶴見との、1対1の思い出――忠誠があるんでしょうけどね。

鶴見「杉元たちがくるぞ」
あああああ!
本誌連載時にあったエモい台詞が! 削られてしまった……*11
何気ないセリフに垣間見える二人の関係性がたまらなく好きだったんですけどねー💧
金神308話「似た者同士」感想 ゴールデンカムイ - day * day

土方の死。
彼はいままで死すべき時を告げる「死の天使」のように振る舞ってきた、用一郎、犬童、関谷、彼らは満足しきって土方に斬られたんですよね。
なのに、土方本人は、全然、今死ぬことにちっとも納得していないって、皮肉。
箱館戦争のあと40年も監獄に幽閉されてたので、気分的には30代のままなのかもですね。 兼定を杉元に継がせる。

土方「義に命をかける似たもの同士」
杉元、そもそも黄金探しは、寅次への信義のためだった。梅ちゃんのことを思ってるなら、見込みの低い黄金探しより、梅ちゃんと結婚すればよかったのに。彼女の親が許さないっても、駆け落ちするなり、手はあるだろうに。寅次に砂金採りに誘われたから、黄金に拘ってたわけでしょう。
そして今はアシパさんのために命を掛けてる。
一方で、杉元は、勇作さんのような綺麗事では生きていけない、と、身に染みてる。忠義心と堕落論を共に抱えている。

杉元の、帽子は菊田さんの弟の形見、小銃は尾形が持ってたもの、長靴は上官のものだし、それは彼らからなにかを受け継いでるの……?
そして元は尾形のものだった銃剣で尾形が刺される、って皮肉。

第309話 血濡れ事

そういえば、この二人が顔を合せるの、13巻128話「新月の夜に」以来なんですよね。

間宮海峡のときは尾形、意識なくしてたし。
亜港から逃亡するときも顔合わせてないし。
4年半ぶりに顔合わせていきなり殺し合いとか
作者氏、尾形のファンがなにを見たいかよくわかってる!!
尾形と杉元の絡み合いとか、いったい何を描いてるのかと。*12
殺し合いが性行為に擬えられるのもこの作品ではよくあること。
とりわけ今回はハードな描写。
絡み合ってゴロゴロとか、こめかみに血管浮立たせてにらみ合うあたりはまだ通常のバトルに見えるけど、ただの格闘シーンならそこで両腕で抱き付く必要ある? 胴を密着させて足までガッチリ絡め合ってるし、あげくに二人の唇をつなぐ唾液にも見える血の糸などと。
さらに単行本でまで追加されてるし!*13
にらみ合いまで別の意味を思い浮かべてしまう。P128の1コマ目、二人の視線はきっちり合ってる。古語で性行為のことを「目交《まぐ》わう」というのだし。
そしてサブタイが「血濡れ事」。
とっさに「ちまみれごと」と読んでしまったけど、「ちぬれごと」か。
血塗れになりながら濡れ事にいそしむ二人。

というか、連載時より更に絡み合いのコマが増えてるんですけど!?
尾形が殴られる回数も増えてる……

尾形って、恋愛のエピソードがいっさいないのに、死、特に殺害行為にまつわる場面で性的な要素が描かれる。
彼にとって「愛」とは、曖昧なものか、鶴見のいうような他者を操るためのカラクリに過ぎない、真実の愛は殺し合いの中にあると。
エロスではなくタナトスの性愛。

尾形、あんまり白兵が得意には描かれてないけど、上等兵になるくらいなので、兵士としてどの分野でも優秀なはずなんですよね。上位1割に入る程度には。
背後から刺されて、即座に銃剣外して回避するのもさすが。
2丁の銃、2本の刃物でのバトル。
尾形がここまで感情的になるのも珍しい。
杉元、尾形の左手の薬指と小指を掴んで、斬ろうとしてる??
義眼を兼定がこじるとか、こういうゾクゾクするようなカットに痺れます。

尾形が、軍組織の権威を否定するために出世したい、というひたすら自己満足な目的を挙げるのはすごーく「らしい」し、もっと建設的だったり利他的だったりするような目的があるよりずっとマシ。
でも今までその伏線がなかったんですよね。出世したいってのも、月島のセリフに一度出てきただけ。ずっと尾形の目的は謎のまま。
だから、中央のスパイ説も含めて、取って付けたような気さえしてしまうのだけど。
どうせもう後はないし、とでもいうような。

乱入するアシパさん。(とヒグマ)
アシパさんが尾形の殺害を選んだのは杉元への愛なんだけど、そこに性的な要素はない。共に生きる相棒としての友愛、親愛。
相棒のために彼女は地獄へ堕ちる覚悟を決める。
これは彼女の堕落論でもある。

213話の、連載時と単行本での違いがすごく大きなものに感じるのですよ。

213話の連載時にこう書いたんだけど。

杉元「アシパさんの人を殺したくない信念が絶対に変わらない」 ……とはいうものの。 しかし彼女のために、周囲の人は殺し合うことになる。 187話の尾形の台詞「清い人間なんてこの世にいるはずがない」「お前達のような奴らがいて良いはずがない」はそれも含めてるように思える。 ヴァシリは殺人を気にしないほうの人間だろうし、杉元もアシパさんのためならいくらでも手を汚すことは出来る、白石だっていざとなれば人も殺せるだろけど、アシパさんもいつか、その欺瞞、我がままに気付くだろうか。

金神213「樺太脱出」感想 ゴールデンカムイ - day * day

初めは、アシパさんは、杉元にとってのアイドル、マジカルマイノリティ*14でしかなかった。
和人の成人男性である主人公杉元に対して、アシパさんは少数民族の少女って、マイノリティ中のマイノリティ。人生に絶望して道を見失いかけていた杉元の命を救い、新たな知恵、生きる目的を与えて魂まで救う。でもそれだけの役割だった。
それが、樺太篇より後、アシパさんが主体になった。
アシパさんが自分のために、重大な決断をする。そのとき杉元は傍観者になるしかない。
2022/3/3 213話の連載時と単行本の違いについて。 - min.t (ミント)
22巻の感想。 ゴールデンカムイ - day * day

とはいえ。
アシパさんのために何人も死んでるので、彼女はとっくに無垢ではない。自ら手を下さなくても彼女は人を殺してる、殺させてる。

最初に杉元と相棒を組んだとき、「父の仇討ち」と言い出した杉元に対して、アシリパさんは、肯定もしてないけど、否定もしてないんですよね。
消極的ではあっても、父親の殺害犯だと思っていたのっぺら坊の死を望んでた。彼が死刑囚として殺されることを。その時点で彼女は無垢であることを捨てていた。
本人がそれに気付いていなかった。

その後も、杉元やその他の仲間によって人が殺されることについて鈍感……目の前で杉元が尾形を殺そうとしたとき、あるいはレタラが谷垣を殺そうとしたときには止めようとした。それは単純に人が死ぬところを見たくないというだけに思えます。偽アイヌのコタン篇にしても、杉元が自分のために大殺戮をしたことを怖れているけど、杉元を抜きにして偽アイヌたちが死んだことへの感傷は見せない。
彼女は、「人を殺すこと」の意味をまだ実感してない、杉元と出会う以前には、殺し合いの場面に生身で遭遇したこともない。理念的に「悪いこと」だとわかってるけど。だから彼女の「不殺の誓い」は確固たる信念があるわけでもない。
無責任に、人の死に自分が関わりたくない、というだけのこと。*15
間宮海峡での対話で、尾形は、そういうアシパさんの欺瞞、偽善を暴いたに過ぎない。それがサタンに擬えられる尾形の与えた知恵の実。
アシパさんは楽園を自ら放棄し、堕落することを選ぶ。
あああ彼女の目が真っ黒だ。
対して、尾形が第4話で登場して以来、7年半経って初めて彼の瞳孔が描かれてる。

尾形「楽しかったぜ 不死身の杉元」
尾形「心臓を撃っても不死身なのか試してやる」

これは単行本で追加された台詞。このへんの改訂、かなり意味が変わったように思うのです。

本誌連載時は、尾形は杉元に当てずに一発撃ってる、これがかなり謎だったんですよね。
そこで杉元を殺しても、尾形や鶴見にとっては問題なかったのに。ただしここで杉元が死んだら、アシリパさんと、この作品自体に重大な問題が発生するのですけども!

単行本での改訂で、尾形は本気で杉元を殺そうとしたことになった。それをアシリパさんが止めるカタチに。
302話で、尾形が、連載時は機関士たちを殺してたのに、30巻では殺さなくなったのがちょっと不思議だったんですけども。
ちょっと尾形のキャラ変わった? 無辜の民間人でもヘーキで殺すキャラじゃなくなった?

尾形 いや……まだ死ねない
連載時には声に出してた台詞が、単行本では独白に。杉元たちに聞かせる言葉ではない。もはや彼は杉元たちは対話の相手ではない。
尾形にとって、他人どころか自分の命すら大して価値がないようにも思えます。
彼はただ、やはり出世って野望を果たして軍組織の権威を壊すために生き延びたいのですかね。

序盤の鶴見の独白……彼はポーカーフェイスなので心情がわかりにくいけど、実は内心、かなり焦ってる様子。304話の尾形との会話にしても、鶴見がそこまで余裕なかったのがちょっと意外。いや確かに状況を見ればそうなんだけど、彼のことだからまだまだ奥の手があるのかと思ってたのですが。

矢尻を抉るために……尾形、腹を切る。まるで、父親の死を追うみたい。
あのときは、花沢将軍の自裁を偽装して、彼を偽りの軍神に仕立てた。
今度の尾形は、生き延びるために、腹を切ろうとしてる。

第310話 祝福

尾形ァァァァァ

とうとうこの日が来てしまった。
彼のようなキャラの死はいつものことで、このタイプのキャラばかりが好きな私としてはこいつもか、って。

尾形百之助の死は悲しいし残念だ。
あらゆる秩序を否定して、自分も否定して堕落しきって底についたのか。
メタに見れば、彼は罪科の懲罰を受けたのかもだけど、自分自身とのサバイバルに負けたというか、逆に勝ったというか。
彼が作品世界から排除されたことが悔しいよ。この世界に彼の存在は許されないのだと言われてしまった気がして。
誰が許さないのかといったら、作者氏ではあるんだけど、どうせ作品自体がそろそろ終わるのだしね。
「欠けた人間」と言うのは、「完璧な人間」の存在を大前提にしてるけど、そもそもそんな人間はどこにもいない、だから「欠けた人間」も存在しないのだけど、彼は自分をそう定義して、それらしい生き方をした、と。

勇作さんの出現については充分に予想できた。



私に予想つくくらいに在り来たりな展開なんだよな、で、それをどう回避してくれるかと期待してたんですけどね。

この勇作さんはつくづく美形だけど、あくまで尾形の中で理想化、美化された勇作さんだ。なんだか杉元に似てるのが気になるが、菊田さんが替え玉にしようとするくらいには似てるのか。

尾形の死が悔しいし残念なんだけど、いちいち神に属するものを否定し殺してきた彼が、自分のすべてを、愛も、罪悪感も、それを否定してきた自分自身も、なにもかも否定して終わるのが、やはり、「らしい」。
罪を悔いて贖罪するわけでもなく、読者以外の誰にも理解や許しや救済を請うわけでもなく。完全に自己満足でしかない。
8頁に渡って畳みかける独白は圧巻。
何度も誌面の手前、読者に向かって語る。*16
自分と、それに読者を納得させるためだろう。
あの長い独白をマンガにするなら回想の絵で描くしかない。時間としてはごく短いから。今回1ページから尾形のリタイアまで、ほんの数分間の出来事だ。
おそらくは彼の死は5巻で予定され、11巻で決定したのだろう。あるいは初っ端の4話から。300話以上かけて、彼の末期が用意されたのかも知れない。

彼の罪悪感について、私はずっと否定してきた。
彼の非情さがとても魅力的に思えたから。
彼は過酷な過去を負ってたけど非情さ故にタフで耐えていたと。
彼は純粋な悪、サタンの末裔だと。
「この世で最もタチの悪い毒は罪悪感」て言葉もあった。*17
今回、尾形が末期に見た罪悪感――いやこれ自体はずっと勇作さんの姿を纏って彼の前に現れてたのだ。樺太でも。札幌でも。ただ彼は自分の心と向き合えなかったので勇作さんという他者として見ていたのだけど。――それが彼の魅力を減じはしない。
彼は最後まで自分の罪悪感を否定し続ける。
彼がいままで散々見せてきた冷酷さ、すべての犠牲者に対して罪悪感があるわけでもない。
尾形「駄目だ!! それでは!! すべてが間違いだったことになるッ!!」
彼を支えているのはプライドだ。

Twitterで『ゴールデンカムイ』とドストエフスキーとの類似が話題になってたのだけど。尾形って、「カラマーゾフの兄弟」のスメルジャコフだよね。心の底では存在を知ってるけど死んでも神を認めたくない無神論者。そして杉元はイワン・カラマーゾフなんだ。出来れば神を信じたい不可知論者。ウイルクはフョードルでしょ……傍迷惑なくらいに愛の人。

勇作さんだけが愛してくれた、と言うけど、母だって愛情はあったし、祖父母だってそう。鶴見の打算的な愛もあるし、アシパさんだって顔を歪める程度には親愛を持ってた。ただそれらは尾形には届かない。勇作さんと母親だけ。
勇作さん(と母)の愛だけが届いたのは、彼らだけが無償の純愛だったからだろうか? なんの期待もなく、ただ肉親というだけで愛した。
冷徹な兄を否定したゆえに愛情を呼び起こした。

「罪悪感とは愛に対する責任感」とも。尾形は、愛への感受性が低いだけで、それを感じた相手には罪悪感を抱くのだ。
愛とは相互の共感だろう。自分が相手を自分の一部のように感じ、相手もまた自分に同じようにそう感じている、それを感じること。
例えば杉元は動物たちに対しても共感するから屠ることに罪悪感を持つ、アシパさんは尾形や房太郎のような自分に害意のあった人間の死をも悼み罪悪感を感じるけれど動物は平気で屠る。尾形は共感する相手が人間の中でも非常に限定されているのだろう。
勇作さんは手放しの愛を注いでくる。尾形もそれを感じていたのだと。
尾形の母がそれほどひどい毒母とか虐待親には思えない。ネグレクトってほどでもないし。あんこう鍋に椎茸入れない配慮はしてる。ただ百ちゃんのほうが愛への感受性が低かった。それでも母に対して多少なりとも罪悪感あったから、顔をなかなか思い出せなかった。

過去の彼の姿をしたイドが罪悪感で彼自身を追い詰め、現実の彼のエゴはどんどん崩壊していく。
最後まで強がり言って自分の心を認めない。そして自分自身と戦って、自身に祝福される。
尾形「嬉しいか?」「ああ…でも良かったなぁ」
彼を祝福出来るのは彼自身しかいなかった。
勇作「兄さまは祝福されて生まれた子供です」
そもそも彼は最初から祝福されていた。それを彼は自分で否定していた。

尾形「アシパは俺に光を与えて俺は殺される」
アシパさんが尾形に「光」を与えるというのは13巻の全裸バトルのあたりで思ったんだけど。

あれれ、アシパさんの灯す光で尾形が目標を見つけるって下り、この二人の関係を暗示してるとみるのは、穿ちすぎですかね?

金神13巻の感想 ゴールデンカムイ - day * day

そして、北極星
103話と今回310話、百之助少年が夕暮に見つめているのは北極星だと思う。*18
北極星の指標である北斗七星は、アイヌ語で、クノチウ(弓の星)、アイノウチウ(矢の星)というそうな。*19
アシパさんの弓矢で射たれた彼が、矢の毒にうなされて、光を見つけるって、寓意的だ。

その光を拒んで彼は自分の目を撃ち抜く。
永遠の闇の中へ。
勇作さんが大笑しながら連れ去り、尾形本人も満ち足りた笑顔になってる。
尾形をガッチリ抱きかかえて連れ去る勇作さんが禍々しい。
尾形が望んだのは祝福=全肯定であって救済ではない。彼は光を拒否して引き金を引いた。引き金を引かせたのは勇作さんの姿をしたサタンであろうよ。
最後の獲物はゼロ距離で撃つ。土方が杉元に託した刀が使われるという、成り行きの妙。
彼の死はほんと悔しいけど、それが避けられないのだとしたら、最高の最期にも思える。
彼は、醜悪で、圧倒的で、魅力的だった。

この『ゴールデンカムイ』って作品、一番最初は、杉元は200円、アシパさんは父の仇討ち、って、ごく個人的な目的の冒険譚だった。
それが1巻4話の尾形の登場で、第七師団の関与が明らかにされた。鶴見の背負う大きな物語が提示される先駆けとして尾形が登場した。
8巻冒頭の土方組の座談会で、大陸のパルチザンだのの存在も明らかになる。その場にも尾形がいる。
尾形が、ありとあらゆる陣営を渡り歩いてて、鶴見も土方もソフィアもキロランケも、そもそも杉元の「惚れた女のため」って目的も最初から知ってるし、ついでに彼らの大きな物語とは全く独立したヴァシリの存在と目的も気付いてた。彼は往々にして第四の壁に抵触して、全体をウエメセで眺めていた。
それが、ソフィアや土方も死んで、彼らの大きな物語が潰えていく、尾形の死はそれを象徴してるようにも思える。
尾形の退場と共に、ストーリーは杉元とアシパさんの個人的な物語に立帰った。
とするなら、尾形は、大きな物語の始まりと終幕を告げるために最初から用意されたのかも知れない。狂言回しが彼の「天から与えられた役目」だと。
彼が最後に口にする目的が、軍組織の権威の否定、つまりは大きな秩序の破壊だというのも象徴的だし、それを鶴見に理解されたことで彼の真意は大願成就してしまったのでは?
ならば彼の死は、オキニのキャラの死としては悔しいのだけど、納得するのではあるよ。
8巻の表紙が尾形であるのは、狂言回しであることの暗喩かも知れない。*20
彼があらゆる秩序を否定しようとするサタンのようでもあるし、世界の初めに作られて終末を告げるリバイアサンのようでもある。*21

尾形の過去や、他のキャラとの関わりが、連載時よりも更にボカされたことで、彼の存在自体が杉元たちの物語とは切り離されていったように感じる。
彼にしろ、中央にしろ、物語を大きく転換させるためのマクガフィンのようになっていった……


作者氏が前々、尾形の女性人気がわからない、と仰るのだけど。*22
私含めて多くの女性、或いは男性でも彼のファンの多くは、彼を恋人とかパートナーとして憧れてるのではなく、自分自身の理想像として見ているのではないだろか?
尾形は、一応は卓越した戦士とはいえ、肉弾戦はさして強くもない、ただ、超絶的な狙撃の技巧と、冷血ってタフな精神力で、腕力による秩序に抗っているとも言える。
それに、土方やソフィアやアシリパさんまでもがいう、「自分ではない誰かのため」みたいなのは、正直、まったく心に響いてこない。現実、多くの女性や男性が、家族なんぞの「自分ではない誰かのため」の生き方を強いられている、しかもそれが家族だのと「愛」を騙っているのだから、フィクションの中で、冷徹で自己中心的、とことん自己満足に撤するキャラに憧れるのも道理ではなかろか?
しかも作中の杉元たちは、あくまで自由意志の元で選択してる。献身といえば聞こえはいいけど、ヒロイズムに陶酔してるとも言える。
30巻でウイルクとソフィアの会話を思い出す。ソフィアにとって革命運動は所詮は貴族の御令嬢の道楽だった。ウイルクやキロランケにとっては自分たちの民族の将来のかかった戦いなんだけど。

細かいところ、彼が最後に使った銃は三〇年式。5巻で尾形が病院から脱走したときに持ち出して、谷垣も三島も前山さん、その他鶴見の部下たち何人も仕留めて、10巻で杉元の三八式と交換して、その後はずっと杉元が使ってた個体。網走でも樺太でも北海道帰って来てビール工場でも五稜郭でも函館行きの車内でも。
先週の杉元との絡み合いの最中、いつのまにか三八式は消えて、三〇年式が尾形の手に戻ってきた。
そして最後には尾形が自身を仕留めるのに使われる。

回想シーン、尾形と勇作さんの背後にいる菊田さん……笑ってる?
彼は弟の死の責任を感じているから、尾形と勇作さんの兄弟を微笑ましく見ていたのだろう。
じゃあ、宇佐美に、勇作さんの死の真相を聞かされたときにどう思ったのだろうね。

ヒグマを斃したあとのアシパさんが辛そうな顔をするんだ。
彼女とて尾形の死を心底願ってたわけではなくて。
夕張から亜港まで、半年以上は共に旅をした仲間ではあるのだし。

鶴見が尾形の死を目にして、彼の名を呼ぶ。
これも単行本での追加シーン。
鶴見にとって、部下たちは使い捨てに出来るコマではなく……

第311話 アシパの決意

むしろ選択迫られてるのは杉元のほう。

正直、杉元とアシパさんのラブには興味ないので。*23

目を黒くしながら、杉元に詫び入れるアシパさんが、なんだか必死と戸惑いと決意とその他諸々のごった煮になっててカワイイ。
アシパさんの申出を了承するなら、杉元は梅ちゃんよりアシパさんを選ぶ事になる。
そもそも梅ちゃんとは、家に放火して村を飛び出してから一度も口利いてない。28巻によれば1899年*24のことだし、劇中リアルタイムが1908年なので、9年くらい没交渉なんだ……
梅ちゃんが今でも自分を待ってくれてるなんて思うのも図々しい。*25
結局、黄金のためにどれだけ人が死のうと杉元や白石はどうでもいいんだよね。

アシパさんが思い浮かべる……有古が生きてることは知らないんだっけ。
谷垣も、恐らく生きてると思うけどなー。じゃなかったらマッちゃん不憫だ。

鶴見、もはや彼を取巻く者たちはいないし。
今回の鶴見はいっさい言葉を発しなくて、まるで怪物のよう。
だけど、もし鶴見がウェンカムイだとしたら、アシパさんが目を黒くしてる必要はない。
アシパさんは、長谷川さん=鶴見の悲劇を知ってしまった。
その逸話は、鶴見がアシパさんの憐憫の情を掻立てるために教えたのだとしても。まるで毒矢のように効いてきそうな……
「この世でもっともタチの悪い毒は罪悪感だ」とも。

正直、尾形ロスが大きくて、彼のいなくなった物語世界への没入感が薄れたのも確か。
後は鶴見の最期を見守ることか……

第312話 分け前

7年前の東京の件、杉元も鶴見も互いの関係を知らないんでしたっけ。
唯一、菊田さんだけが知ってた。

仇討ちとか簡単に考えちゃう夏太郎はまだまだ青いですわ。
夏太郎は土方に憧れていた。それを奪われた悔しさを「敵」にぶつけたいだけ。
土方と共にいようとした永倉の心情とは違う。

近接にしろ銃撃にしろ弁舌にしろ、ありとあらゆる手段に長けてる鶴見、さすがです。
鶴見、杉元の頬肉、ちょっぴり囓ってませかっ
ボルト抜きの技、もしかして、鶴見が尾形に教えたんですかっ?
わざわざ相手に見せ付けるポーズまで含めて。

鶴見の提案……この鶴見の言葉に嘘はないでしょう。もう一人の部下もいなくなった。
彼が最後に会話した部下が尾形というのは、ひどく象徴的。

彼が機関車を切り離したのは、部下たちへの最後の「愛」として彼らを解放したわけですね。自分一人なら満洲に渡って再起を図れる、もうこれ以上、部下たちを付き合わせて犠牲にする道理はないと。
ウラジオストクで妻子を逃がそうとして出来なかった。それはフィーナさんが幸一を本気で愛してたから。
フィーナさんの互恵的共感的な愛が長谷川一家の惨劇を招いたのだとしたら、鶴見にとってそのような愛はむしろ不幸でしかない。
だから、部下達とは、欺瞞的、打算的な「愛」、いざというときは一方的に切捨てられるような絆を結ぼうとしたのかも知れない。
尾形みたいに恋情をこじらせていろいろやらかすやつもいるので! だとしたら、宇佐美の搾取的で加害的ではあるけど忠誠の「愛」のほうがマシだった。少なくとも宇佐美は幸せの絶頂で死んだのですしね。

どうせ白石がポケットに砂金を隠してるだろうと思ってたけど、杉元もだったかっ*26
これは土方が犬童にしかけた手のリフレイン……土方の兼定をふるうのも同じ。
「ドシュッッ」とか、イイ音してますね……どこを斬ったのか。

第313話 終着

鶴見がウイルクに向ける憎しみは、実は自分自身への、というか、長谷川さんの鶴見への憎しみではないのかという気もするのですが。
顔を失ったウイルクが無慈悲な神だとしたら、半分だけ顔のない鶴見は真の神に嫉妬する半神。
ウイルクは鶴見の妻子の死に関わった上に、自分自身は北海道で妻子を持ってる。
長谷川一家の悲劇に負い目を感じて、家庭を持つことを断念したソフィアさんのほうがまだ誠実。
だから鶴見は、ソフィアさんのことは「許した」という。

鶴見「全部お前の責任だぞウイルク!!」
鶴見はそもそもが日本軍による大陸侵攻の先兵として、ウラジオストクに潜入していて、ウイルクらと出会ったんですよね。
彼の計画は日露戦争以前から始まってるし、長谷川写真館にウイルクらが来てなくてもいずれ一家団欒の場に秘密警察が踏み込んできて、そうしたら鶴見は自分の手で妻子を殺すことになったろう*27
29巻の加筆分で鶴見が打った演説が本心ならば、彼の真の目的というのは大陸への領土拡大――要は侵略戦争ということでしょう。
それはロシアの南下政策に対抗し、国力を付けて世界の一等国になるため、という遠望かも知れない。
つまり彼は、坂の上の雲を掴もうとした多くの近代日本の壮士の一人に過ぎないのでは。

最後の最後で妻子の遺骨より、権利書を選ぶ鶴見。過去よりも未来を選んだ。
今の鶴見の素顔が露わになるのも初めて。
ズルムケになってる割に、繊細な目蓋の組織、特に二重瞼もそのまま残ってるのも意外。

杉元「俺は不死身の杉元だ…」
「俺は不死身の杉元だ」というのが杉元の口癖のようだけど、313話現在、意外と彼がこのセリフを叫ぶシーンは少なくて、(「俺は不死身だ」を合わせても)20回あるかないか。しかも他人に向かって言ったのはほとんどない。*28
今まで、杉元は自分に向かって「俺は不死身の杉元だ」と叫ぶことで自分を鼓舞していたのだよね。ほんとうの自分はそんな超人ではない、ただ生きるために死に抗ってきただけだった。
今回セリフが最小限で、これが最後のセリフ。
今回のセリフはアシパさんに向けたもの。もう叫ぶ力もない。

杉元も鶴見も互いに胸の真ん中貫通してるな……
目を真っ黒にして歯を鳴らせてる鶴見は死神。杉元との相対死にを覚悟して。互いに互いの死神になる。
宿命のライバル同士が抱き合って落下してく、なんて、定番のクライマックスだけど。*29
とうとう杉元が(帽子を)脱いだ! 今まで1巻の風呂屋とか、ごく僅かな場面を除いて絶対に取らなかったのに。*30

最後のページ、谷垣も白石も怪我してる、アシパさん、ものすごく暴れたのね……

第314話 大団円

まさに大団円。
各キャラのハッピーなその後が描かれ、今回は誰も死んでない。*31
よく言えば大団円だけど意外性もない、予定調和的でなんだか物足りない……

と思うと、山猫。ここでも不意打ちくらいましたよ。
どうせヴァシリ、まだ生きてるだろと思ってたら。
1コマに籠められた情報量が多すぎる。
この二人の関係性も面白くて。互いに互いを「人」ではなく獲物としか見てないのに、ある意味相思相愛……狙撃手として共感し合い、銃弾で対話する。
ヴァシリ、悔しかったでしょうね、線路脇で尾形の死体を見て。とうとう仕留め損なった。二度も撃ち負けた。恐らくこれ以降、軍を抜けて画業に進んだのだろう。
死体を見たのなら、死の状況もわかるはず。超遠距離狙撃も可能な山猫がゼロ距離で自分を撃つ。彼の狙撃手としての死をも意味する。
ヴァシリは辛うじて「オガタ」の名を知った。そのぶん微かに同じ人間としての共感がある。だから絵を描いた。尾形は最後までヴァシリの名を知らない=言葉を交わす人間ではない。銃弾でのみ対話する。尾形は、撃った相手の死も確認せず、撃ち返してこないことで仕留めたことを知る。
もしヴァシリが尾形を自分の手で仕留めていたのなら、絵の題は「男の死」などになったはず。自分がとうとう仕留められなかった、自分の狙撃手としての死をも意味してる。
二人の狙撃手の死を絵に塗り込めて、その値が3億円。
最後まで孤独で孤高を貫いた尾形を、いまさら皆でその死を悼んで愁嘆場になったら醜悪だけど、ただ、銃弾と死を介してのみで対話しあったヴァシリが自分の死までその面影を抱く。自分と同じ山猫として。
このタイトルも驚きで。〝山猫〟といってスナイパーになるのは日本の映画ファンだけに通じるスラング。だから、尾形もヴァシリも、その他、作中の誰も、〝山猫〟をスナイパーとは認識しないはず。あくまで作品の外での渾名だと思ってた。尾形を指して「山猫」って書かれるようになったの、本誌連載で58話の扉が最初だと思う。あるいは単行本6巻の人物紹介。それが、169話で、尾形の渾名、それも悪い意味で、〝山猫〟が出てきたのでかなり驚いたものだった。*32
なぜにヴァシリが尾形の兵営での蔑称を知ってるのか、兵士の生き残りから聞いたとか、後に尾形のことを徹底して調べ上げたとか、合理的に説明する試みもあるにしても、尾形が神殺しらしくしばし第四の壁に抵触してることを考えるに、ヴァシリもまた第四の壁を越えて現実から作品世界に、スナイパー=山猫という渾名を持ち込んだのではないか? 尾形が、読者には絶大な人気のある一方で、作中ではとことん孤高で孤独を貫き通したので、彼を偲ぶのに作品のストーリーとは乖離したメタな視点が出てくることには納得できる。杉元の物語の中だけで完結して欲しくなかった。
三億円の下りは、安田生命の「ひまわり」が元ネタなのかも知れない。(→安田火災がゴッホの「ひまわり」を58億円で落札【1987(昭和62)年3月30日】 | トウシル 楽天証券の投資情報メディア
ヴァシリ、尾形と同い年とされてるので恐らく1882年生だから、21世紀まで生きてるとは思えない。生誕100年で1982年、とするとオークションにかけられたのは80年代~90年代か。
80年代~バブル崩壊までは企業が企業メセナといって文化芸術活動に熱心だったけど。その当時「日本のIT企業」でアート買うところはどれだけあったか……そもそも「IT企業」って言い方自体、その当時はしなかった気も。
「著名な画家」の小品(1.4:1ほどの比率なのでP10号かな?)なら3億円は妥当かも知れない。*33
この「山猫の死」、30年もネタを温めてたのか、もしかすると何作もバージョンがあるのかも。これは1940年に描いたもの。最終版か、または最高傑作か。あるいは「山猫」シリーズで何作もあって、山猫が躍ってる絵もあるかもよ? その完結編としての「死」。
ところで。これ、耳の先の房毛からしてオオヤマネコっぽいけど、尻尾が長い、謎。*34
ヴァシリの下の名前もようやく明らかに。ヴァシリの元ネタは「スターリングラード」なんかで有名な英雄的狙撃手ヴァシリ・ザイツェフ*35でしょうけど「パヴリチェンコ」のネームは同じくソ連の、というかウクライナ地方出身のリュドミラ・パヴリチェンコからであるらしい(→リュドミラ・パヴリチェンコ - Wikipedia

梅ちゃんの嫁ぎ先の花屋のモデルは、江戸東京たてもの園の花市生花店だそうな。
園内マップ│江戸東京たてもの園
東ゾーン|復元建造物の紹介│江戸東京たてもの園
ちなみに隣にある三省堂書店は、16巻155話の扉に描かれてる。*36
実際には昭和初期の建造物であるらしい。

榎本武揚は1908年10月26日に死んでるから、冒頭のシーンは遅くとも08年11月中、12月に入るかどうかというところ。
……危なかった……死ぬ前に会えた……
伊藤博文は1909年10月16日にハルピンで暗殺されてるし。
とすると、暴走列車のシーケンスは5月なの??

杉元「役目を果たすため頑張った今の自分」
やっと杉元は自分を肯定することが出来た。
もしかすると。彼の「役目」は同時に罪悪感も負わせてたのかも知れない。
それが、役目を終えて、今度こそ自分のために生きることが出来るようになって、罪悪感からも解放された。
たった一包(でもちょっとした財産だけど)の砂金と金貨を渡すために、杉元は作中で1年半頑張った。おそらく梅ちゃんに会うのは1889年以来9年ぶりってことに。

二人と別れた白石が向かったのは、吉原っていうwww
さすが裏切らないぜ白石は……

鯉登と月島の縁はずっと続くようだ。
月島、生きるために仕える誰かを必要とするってのも寂しいけど。
鯉登が中将になるころには月島はとっくに退役してるはずなので、多分それ以降はプライベートでの右腕ということらしい。

そして権利書。
黄金が土地に変わったところで、それを巡って殺し合いになるのは変わらない、土地以外にももっとマシな残し方はあるんじゃないかなーと思ってたので。
文化の継承と研究についてハッキリ書かれたのはよかった。
民族、文化とはなにかって。単にアンタッチャブル国定公園だの過去の遺物としてなんかじゃなくって、生きた人間の生活の中にこそ文化って継承されてくものでしょう。

ふと。エゾオオカミの群が描かれている……現実には、この作品の時代には既にエゾオオカミは絶滅しているんですよね。
つまりこれは、「実現しなかった希望」の絵でしかない。

最後のシーンは決まってたというので。
白石が脱獄王から本物の王になるのが、最初からの予定だったのでしょうね。

マッカーサー元帥と写真。

いきなり単行本で追加された後日談。
最初、マッカーサーの隣に立つ人物、白石かと思ってしまった……けど米軍の将校かな。
むしろ背後にしっかり映り込んでる鶴見!
生きてた!!!
鶴見、1866年くらいの生まれとされてるから、1945年の終戦のときに78才。
「マダラ模様の金貨」、ウイルクたちが作ったのは7枚、うち1枚ウイルクが持っていたものは房太郎が拾い上げて、なんやかんやで梅子ちゃんの手に。
そしてここに描かれてるのは鶴見が、アイヌ殺害事件現場で回収した6枚ってことですね。
鶴見もまた、日本を守るために暗躍してるみたい。
なんだか「M資金」思い出させるけど。→M資金 - Wikipedia*37

本編終了後、参考文献なんかの後に、ちょろっとエピソード付け足すの、私もよくやるけど(笑)、ハリウッドのコメディ映画でよく見掛ける手法ですね~ 元々、映画館で終幕後に出口に客が殺到するのを防ぐよう、客足を散けさせるために、エンディングやスタッフロール長くしたりNG集付け足したりした。あるいは、舞台のカーテンコールの名残かも知れない。

その他、連載時との違い。

記事分けました。

faomao.hateblo.jp

連載時の記事。

*1:この総選挙、最後まで杉元と尾形が競り合ってたので、もし尾形が1位だったら作者氏、どんなコメントになってたのか、非常に気になるところ。

*2:勇作さんとの一件にしても。綺麗事で自らを殺す勇作さんに対してエゴこそが生きた人間だって、堕落論

*3:'80年代の子供とオタクにとっては「うる星やつら」は必須だったんだ……おそらく1978年生の作者氏もかなりその世代ではなかろか?
……と思ってたら、ヤングジャンプの巻末の質問コーナーでこんなこと答えてるしね?

*4:以前のまとめ→サタンの末裔たち。 - min.t (ミント)

*5:さすがに娯楽作品ではオヤクソクの、「相手の刀身の上に乗る」なんてのはやらない……剣術も、彼の覚悟も嘘くさくなるしね。

*6:ヒゲは人生経験、髪は気質。

*7:

*8:例えば、杉元は食に執着があるから美食で勇作さんをアイドルから生きた人間に引き戻そうとしたし、尾形は性欲と殺人で勇作さんを人間の世界に堕落させようとした。

*9:

*10:ゴールデンカムイのこの時期、実は斎藤一はまだ存命だったりする。

*11:

*12:公式でコレなので二次やりにくいよう。

*13:取敢えず3つ見つけた。

*14:この言葉は解説が要るかも。元々はハリウッド映画によくある、「白人の主人公にとって都合のいい黒人キャラ」を批判して「マジカルニグロ」と言われたのです(→マジカル・ニグロ - Wikipedia)。よくよく見ればそんなキャラはハリウッド映画の中の黒人だけでなく、ネイティブだのオタクだの少女だの、マイノリティ属性を持ったサブキャラが出てくるけど、主体はあくまでマジョリティである主人公であって、マイノリティは主体性のないサブキャラい過ぎない。例えば「レオン」のマチルダとか。念為、作品そのもののデキへの評価や個々の観客の好き嫌い、それらとこういうポリティカル・コレクトネスな観点とは全く別の話。

*15:だから杉元は、尾形にこういうのだ……

*16:今回のページ構成、なにか映画で見たような気がしてならない。回想の絵でカメラ目線で独白する。大林版「時をかける少女」のエンディングもだけどさ、フィルムノワールかなんかでなかったっけか。

*17:ドラマ『エレメンタリー』に出てくるセリフ。

*18:あんこう鍋の季節は冬なので、日の入りは北極星に対して鈍角になる→

*19:

Wikipediaの画像を加工しました)

*20:

*21:(そして終末の後に屠られて人々に二次創作の糧を与える)

*22:虫ん坊 2018年6月号(195):TezukaOsamu.net(JP)

*23:というか自分がアシパさんと同じくらいの年、中学生だったころをつい思い出してしまったよ。カッコよくて面白い新任の先生がいて数人でファンクラブとか作ってきゃあきゃあ騒いでたりしたものだ。今思うと、ちょうど、杉元はあの先生と同じくらいの年なので、思春期前の優等生的なアシパさんの杉元に向ける感情をあの頃の自分に置き換えるとなあ……

*24:

*25:前にこんなこと思ってた→杉元と梅ちゃん、と寅次 - day * day

*26:ちな砂金、500mlPETボトルいっぱいに詰めて10kgある……重さが暴力。

*27:当時の秘密警察の拷問は苛烈を極めたという――ボリス・アクーニンの「堕天使殺人事件」、すごく面白かったんだけど、主人公がその帝政ロシア下の体制側のノンポリ青年なんで全く同情できないのが狡猾だw むしろ「敵」の堕天使たちを応援したくなる。

*28:アニメ第2期のラスト、原作にはないオリジナルのシーン(作者氏が脚本書いた)で、アシパさんの夢の中で杉元が「俺は不死身の杉元だ」と叫ぶ。

*29:逆襲のシャア」とか「ジョジョ」の第一部」とかさああああ

*30:いや樺太とかで変装のために着替えてたりするけどさ。回想シーンとかもね。

*31:メインキャラで最後に死んだのは尾形なんだよな……

*32:「山猫スナイパー」 - min.t (ミント)

*33:1996年に宇都宮美術館がマグリットの「大家族」を6億円で買ったときはだいぶ物議醸したものだけど。なんでも所有者がかなり渋ったのを言い値で無理やりに買ったとのウワサもあるしね? この絵、知名度あるし壮大な構図からすると、意外と小さい。約50×60cm、12号くらい。→【作品解説】ルネ・マグリット「大家族」 - Artpedia アートペディア/ 近現代美術の百科事典・データベース

*34:オオヤマネコは尻尾短い→オオヤマネコ属 - Wikipedia

*35:ヴァシリ・ザイツェフ - Wikipedia

*36:

*37:マッカーサーと黄金といえば、浅田次郎の「日輪の遺産」って小説もある。堺雅人主演で映画化もされた。