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日々是々

金神304話「歴史」感想 ゴールデンカムイ

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今回は完全に鶴尾の妄想モードです。*1

従前、尾形と鶴見の仲が特別なことは示されてたのだけど。

作中の時間軸で二人の会話が描かれるのは、師団長殺しの後の馬車の中が最後。
尾形が他人と会話するシーンも243話の土方が最後なので。
(描かれてない部分で会話してるだろうけど、絵として描かれるのは)
で1年以上ぶりに鶴見と再会したと思ったら、いきなり痴話喧嘩になるっていうね。
車内で死闘を繰り広げる皆の頭上で二人っきりでなにやってんだ。
車内の激闘が鶴見劇場の舞台だとしたら、屋根の上はキャットウォーク。

尾形の目的は軍組織内での出世だったと。それは月島も指摘してる通りに。
最初に鶴見がそれを持ちかけて百之助少年をスカウトしたのかもだ。

尾形「キョロキョロよそ見ばかりしているからでしょうが!!」
この台詞には笑ってしまう。完全に痴話喧嘩じゃん。

なんだかこの台詞、「ラムのラブソング」思わせるんだよね(笑)*2
23巻227話の鶴見の「愛です」の台詞を合わせるとナオサラ。

あなたはいつでもキョロキョロ よそ見をするのはやめてよ
   (中略)
ああ男の人って いくつも愛を持っているのね
LISP ラムのラブソング 歌詞

尾形の台詞のなかに宇佐美が入ってるってことは、尾形は宇佐美より先に鶴見に出会ってたのかも知れない。
まさかフィーナさんより先ってことはないだろうけど。
ウラジオストクが入ってるのは、ウラジオストク含めた極東地域への侵攻作戦ってことかな。
鶴見、尾形を師団長にしてやるって約束したのに、キョロキョロよそ見ばかりでずっと放置してるんだとしたら、そりゃ、ラムでなくても怒るよね。
尾形が宇佐美より前に鶴見に出会ってるとしたら、それはローティーンのころだ。鶴見、尾形を陸士送り込んでも良かったのに。母も立派な将校になれって言ってるし。
陸士に行けない理由があったのだろうか? 祖父母が猛反対したとかね? 将軍の庶子というのが拙いんかな?
1901年の段階でも陸士入るチャンスはあったんだけどね。
とすると、当初は、父を殺すことが尾形の目的だったのかもね。
勇作さんを取り込むことが鶴見の計画に入ってたけどそれが頓挫したので、尾形を師団長にするよう方針転換した、と。
それも鶴見の「真の目的」の一部だった、鶴見の「真の目的」って、大陸侵攻とか、満洲国(のようなもの)の樹立かと思ってたけど、え、それすら「よそ見」なの??

でも。
尾形が師団長とか、軍組織内での出世だとか、組織の権威などありがたがるとは意外、と思うと、実は尾形、権威なんか全く信じてなくて、権威を否定するために、偽りの手段での出世を目論んでるっていう。
師団長って偶像を破壊したい。
父-神-権威を殺すって意味で尾形は首尾一貫してる。
彼はサタンの末裔なんだ……*3

今から尾形が師団長目指すとすると、長期計画になる。
師団長って中将だし、例えば歴代の第七師団長見ても50代で師団長になってる。
今から陸士入るとすると1912年24期卒くらいか。WW2敗戦時の第七師団長の鯉登行一がちょうど24期なのでそういう世代。
年齢は誤魔化せるとして、隻眼だと欠格条項にあたらないっけ……
鶴見がなかなか尾形師団長計画進めてくれない間に片目失って欠格になってしまったんならナオサラ、怒るなw
陸士出てから30年前後で師団長までなるとすると、尾形、鶴見に対して、それまでずっと陰で自分を支えてくれって言ってる。
これってプロポーズだ。
鶴見が工作員として大陸で謀略起こして、尾形が将校として解決してスピード出世するなら10年以下に短縮出来るのかも知れないけど。
軍の上層部なんて武人ってより官僚だから、出世のルートってだいたい決まってる。これから30年は日本は本格的な戦争には加わらないので戦場で手柄を立てるには、大陸で事変起こすのが手っ取り早いってことになる。(→満州事変 - Wikipedia

尾形、結局、中央を信じてない。中央が自分を取り立ててくれるとは限らないしね。
中央か鶴見か、で、鶴見を選んでしまう。中央より鶴見がマシっていう、そこに深い根拠があるわけでもないのだけど。
鶴見(や月島)は、尾形が中央のスパイだと知ってたし、鶴見は知ってて好きにさせてた。尾形は二重スパイだったのかもだし。離叛後は機会があれば尾形を殺そうとしたけど。
この場でも鶴見、尾形をすぐに殺そうとしなかったのは、鶴見の側にも未練がある?
尾形の目的が師団長だとして、鶴見がそれに協力する見返りはなんなのだ。
まだ語られていない鶴見の「真の目的」があったとしてそれに尾形が必要ってことなのか?
もしかすると、お互いの利己心、合理性では片付かない感情の交感があるのかも知れないが。

鶴見「欲しくても手に入らなかったものは価値など無かったと確かめてやりたいのだ」
それって、母親の関心もそこに含まれちゃう? だから母親も殺したの?
この作品全体、母親の存在感がひたすら希薄なのに、ここまで母なる者に強く執着するキャラは希有だ。

でもさ、鶴見に図星を突かれて、深々と溜息ついて、
尾形「そのとおりです!!」
尾形「やっぱり全部わかってくれてたんですねぇ 鶴見中尉殿は」

って言っちゃう。
晴れ晴れとした心底の笑顔を見せる。
こんな尾形の顔が描かれるのも初めてだ。
私、あなた、百之助、って呼び交わすのもイイ。
尾形が「私」ですってよ。
もしかして、尾形の、ホントのホントの目的は、誰かに理解されることかもよ?
だから、鶴見って最大の理解者を実感して、尾形の大願は成就されてしまったのかもね?
それであの会心の笑み。

これって特大の死亡フラグじゃんよ……

これから、百之助少年と鶴見の出会いが描かれるのかもなー
今回守勢だった鶴見が、なにかをきっかけに反転攻勢するのかもね。
そのたぶん、ヒグマか月島。
月島、尾形のこと見つけたよね。

*1:今までずっとニオわされながら放置されてきたのが、尾形の本命が鶴見だと明かされて、金神二次鶴尾の民、歓喜ですよ?

*2:'80年代の子供とオタクにとっては「うる星やつら」は必須だったんだ……作者氏は恐らく'78年生れだからうる星の世代よりはちょっと後だと思うけど。

*3:以前のまとめ→サタンの末裔たち。 - min.t (ミント)