day * day

日々是々

金神159「ウイルタ民族」感想 ゴールデンカムイ

巻頭カラー!

尾形=冷徹、白石=脱糞、土方=情熱、キロランケ=革命、鯉登=崇拝、月島=尽忠、谷垣=誠実、鶴見=闘争、アシリパさん=純粋、杉元=勇気

それぞれのキャッチフレーズ、なるほど。
尾形は冷徹か。
キロが瞳をキラッキラさせてるのは、革命の情熱を信じてるからなのか。
鯉登が崇拝なら、宇佐美は熱狂だよね。*1
白石ィ……
(だけど、惹句に反して、この作品に正義を声高に叫ぶやつはいないよねえ)

「不身のハラキリショー」って、まだ引っ張る……

本文。

前回ラストに引き続き、久々の尾形(というか、アシリパさん)一行ですよ。

白石が頭巾被ってる、やっぱ寒いんだな……

樺太の民族も面白い。
天葬……ああやってミイラ化するのかな。
キロランケ「ただその文化も消えつつある…」 の背後にあるのは、ロシア正教式の墓標(→八端十字架 - Wikipedia
ロッコの土地も、ロシア帝国の版図に侵食されてる。

ちなみにアイヌの葬儀は火葬だそうだ。

宗谷海峡隔てて、シカ(ニホンジカエゾシカ)と、トナカイの生息域が分かれてるのが面白い。*2
トナカイ、雄は夏に角が生えて冬には落ちる、牝は冬に角が生えて夏に落ちるっていうけど*3、この時期、まだ冬の始まりで、雄も角が落ちてないかも。
集落の見開きのトナカイの群れ、よく見ると小さな角の生えた個体がいるので、あれが角が伸び始めの牝かな。

首輪、キロとアシリパさんに付き合ってしっかりボケてみせる白石、サービス精神旺盛だww
しょっちゅう遊廓へ行っちゃうのね……資金はどこから……
冷めた目で見てる尾形……あー猫がよくこう人のこと見てる……

失敗に気づいて、尾形が無言で髪をなでてるのも、猫の毛繕いっぽい。
軽く緊張してるのだね。
みんな優しいw
そういや、尾形、この一行の男性では、一番、若輩なんでした。

樺太篇の尾形、ずっと無表情なんだ。
網走篇まで、杉元や谷垣といたときは、もうちょっと表情があったんだけどな。

キロランケ、ウイルタ語も出来るんだ。
キロランケの出自も謎で、ウイルクと同じ青い目の一族だから、血縁関係はあるんだろけど。
キロ「あいつが住んでいた」って言い方からして、出身地は違う場所かもと匂わせてるが。彼は自分の出自は一切語ろうとしない。
「若い頃は樺太各地放浪してた」っていうしね。
樺太アイヌですらないのかもだし。
8巻の土方一味の座談会からすると、当時は尾形とキロは組んでなかったようにも思えるし、あるいは、尾形とキロ、戦時中から実は組んでたのかも知れないし。(13巻の土方の台詞の連載時からの変更からして、尾形とキロが戦中から知合いだったことを示唆してるようにも思えるんだよなあ)

尾形はほんとに読めんっ
ただでさえ信用の出来ない、期待するような情動を示さない人物だから。
なにか隠された深遠な目的があるのか、あるいはなにも考えずにその場その場で動いてるのか。
まあ彼が目を細めてるのは、ロクでもないこと考えてるよね。*4
この尾形はまるで139話で傷心のアシリパさんに声掛けるコマのリフレインのようだ。
彼はしかしけして、キロや杉元のようにはアシリパさんを見てないわけで、彼がこんな顔をするたびに、アシリパさんのことが不安になるのだよ。
それは単に彼が不器用なだけなのか、それとも隠した意図があるのか。
*5

アシリパさんはなんにも疑ってない。
信じるっていうのも、ある意味、強さ、勇気だよねえ。

尾形「そこは人間と同じか」 人間がたとえに出て来るあたりがイカニモ。
彼の主な獲物は人間なんだw
近代までの軍隊は、将校や指揮官は派手な軍服だったんだけども、銃の性能がアップして、それこそ数百メートル先からピンポイントで指揮官を狙撃されるようになったので、兵卒と同じに地味な軍服になった。
現代で迷彩服が主流になったのもそうだし、明治日本陸軍の洒落た濃紺の軍服が、ダサい黄土色になったのも黄砂の大地で目立たないようにするため。
つまりは、尾形のようなスナイパーが登場したために、軍服の歴史が一大転換したわけ。
*6

一行が国境越えるには、やっぱり、地元民に化けるのが手っ取り早いんだろうなあ。
ロシア領には、どうせ密入国になるんだし。
もしかして、トナカイ同様に囮作戦使って国境越えるつもりだったりする~?

ところで今週のヤンジャンフィンランドの伝説的スナイパー、シモ・ヘイヘの話が載っててちょっと興味深かった。
シモ・ヘイヘが尾形のモデルの一人ではあるんだよな。
「裸眼で300mのヘッドショット」てのもシモ・ヘイヘの逸話。

*1:鯉登は「鶴見中尉殿はトイレに行かない!」って言い張る、宇佐美は嬉々として鶴見のウンコ食うタイプだ。

*2:f:id:faomao:20180525000328j:plain

*3:「真っ赤なお鼻のトナカイさん」はルドルフって名前なのに牝ってことになる。

*4:念為、そういうロクでもない尾形が大好きなのだ、私は。彼が斜め上の冷酷さを見せたりとかすると、もお、可愛くて可愛くて、抱き締めてなで回して振り回したくなる。ちょうどオッサン猫が酷いイタズラやらかしたときのように。

*5:149話のラストの鶴見のコマのようでもある。徹底して信用できないんだ、この二人とも。なんだかんだで言動が似通ってて、だからこそ反目し合うのかもだ。孤高に二人は居られない。

*6:半藤一利(→日露戦争史 1 (平凡社ライブラリー))によれば、05年の奉天会戦の前あたりに乃木希典が上申して夏服も冬服も黄土色に全面刷新させたというが、それよりずっと前、日清戦争のころから、変更する案はあったとも。日清戦で懲りたのかも知れない。でも三八式で制定されるまでは冬服は濃紺だったので、金神では鯉登の服だけ黄土色になってる。