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日々是々

金神171「樺太アイヌの刑罰」感想 ゴールデンカムイ

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初っ端、暗号解読のネタが……
orz
目下、鶴見の元には12枚、全体で24枚ってことになってるので、これで半分。

ナナシのチンピラの刺青の「迂」の字、初めて出てきた。
肩口に書かれてて今までハッキリ見えなかったんだよね。

アニメが「原作と暗号のパターンが微妙に違う」「親分カットされちゃうの!?」なんて衝撃の展開で、「もしかしてあの暗号に意味はないんじゃないか説」が湧いて来たので、それへの回答かな?

ひさびさに鶴見が将校らしい正統派のカッコヨサですよ。
宇佐美もなんか顔変った。
月島や鯉登が樺太行ってしまったので、鶴見の部下では宇佐美が一番の側近ってことになってる?

鶴見「娘のアシリパが」……キロランケじゃないんだ。
鶴見は、のっぺらぼうの「仲間」はアシリパさんだと読んでる。
ウイルクとキロランケが袂を分つことを予想してた模様。
鶴見はいつからアシリパさんの存在を知ってたのか。キロの前歴も知ってるんだから、のっぺらぼうの正体がウイルクだというのも早々に知ってた。

そういや、「アシリパさん日本語どこで習ったの問題」、先の授賞式の対談のときに出てきた話だ。
アシリパさんは漢字読めないようだ。かなは読めるかもだけど。
(当時の一般向けの印刷物は総ルビが普通なので、かなが読めれば新聞雑誌小説なんかは読めた)

もしかすると。
(北海道の)アイヌは、人や動物の形の人形や像を作る文化はない、カタチを作ると、それ自体がカムイになってしまうから、だそうで。*1 そういえばアイヌのデザインってみんな抽象的だ。
とすると、象形文字である漢字も同じ理由で馴染まないのかもだ。(白川静によるなら)漢字はマジナイのためのルーン文字であり、それ自体がカムイともいえるわけで。

アシリパ「漢字なんて知らなくても生きていける」って、なんでアシリパさんがそんなこというのか、ちょっと不思議だ。
「新しいアイヌの女」って自負してるのに! アシリパさん!
この時期、もうどんどんアイヌの人々が和人の社会に呑み込まれてく過渡期なので、文字を読めないということが、日本人として生きていく上での大きなハンデにされてしまう。
差別を正当化する根拠にされちゃうわけですよ。
当時アイヌの子供達のためのアイヌ学校もあったけど、和人の小学校よりいくつか科目が減らされてたりしてるし。
和人だって、元々文字を持たなかったけど、統一王朝が成立して社会の規模が大きくなるに従って、大陸から文字を輸入せざるを得なかった。
*2

ウイルクは読み書き出来るはずだしなあ。ロシア語かもだけど。
キロランケだって、前回、手紙書いてたし。たぶんロシア語で。
爆弾造りには、高度な知能と知識が要るから、彼は専門書読めるくらいにはインテリ。(キロランケ、日本語・アイヌ語・ウイルタ語・ロシア語・タタール語まで出来るはず)

鯉登「馬鹿だから」
鯉登www
こいつも尾形と似たところあるwww
クソ鯉登。
樺太篇以降、どんどん、鯉登がオバカになってる……
でも鶴見のクソコラつくってるヤツに言われたくねえな!

いや、杉元を見下してるんじゃなくて、ある意味、甘えてるのかな?
月島や谷垣に対しては上官って立場があるけど、杉元は対等に付き合うというかド突合える相手なわけで。遠慮無くマウンティング出来る。

集落の騒動。

チカパシえらい!

そして、杉元。

杉元「離れてろアシリパさん!!」
あ”――
ついここでこんな台詞が。*3
結局、杉元のココロの中には、アシリパさんしかいない。
もう2ヶ月も会ってないので禁断症状が出てるのかもだ。

エノノカちゃんの「><」な顔w
以前、鯉登もこんな顔してたっけ。

樺太アイヌの刑罰について。
生き埋め刑wwww 
人間が直接は手を下さない、神判の一種なんだろうけど、確実に・時間を掛けて死ぬわけで、かなり「惨酷な」刑罰に当るんじゃなかろか。

アイヌに死刑が無いのは、元々は、集落が小さくて誰もが知合いだから自分の手で殺したくないって、本能的な罪悪感に由来してるんだよね。
人を殺してしまったという罪悪感こそが、この世の地獄。
だから、不確実な刑罰で、罪人の生命を神の手に委ねる。神明裁判、神判ってやつ。(11巻で谷垣が殺されそうになったのは、外部の和人だからだろう……)

月島「彼らにとって殺人は不浄で忌み嫌うもの」
ってもね。
軍人達だって、もうかなり殺人に慣れっこになってるつもりなんだろうけど、人間である以上、ほとんどの人は罪悪感からは逃れられないから*4、正義とか忠誠心とか被害者意識とか感情論とかで紛らわせようとするじゃん~

私にとって、死刑は、猟奇犯罪と同じくらいに興味深い分野なのです。他にも戦争犯罪とか医科学の黒歴史とか、とにかく、「人が人を殺そうとする」案件に強い興味がある。
洋の東西を問わず、規模の小さい社会は概ね、神判を採る。
それが、近世以降、都市化して社会の規模が大きくなるに連れて、死刑制度が確立されてく。
日本の江戸時代、死刑は原則、斬首刑で、それは「確実に・長く苦しめずに」死に至らしめる、って、人道的な理由――これはヨーロッパでギロチンが採用されたのと同じ。当時は絞首刑は不確実な手段だった。
死刑制度は、人の運命を神の手から人の手に取り返す、って近代化の通過点であるらしい。
……なんだけど、本来は、国家権力の執行者である公僕が処刑すべきなのに、やっぱり自分で人を殺すのを嫌がって外部委托したがるのも洋の東西を問わず。日本では山田朝右衛門家。西洋でもサンソン家筆頭に各都市毎にそういう専門職の家が置かれてる。
ちなみにフランスやドイツでは、20世紀半ばに死刑が廃止されるまで、死刑はギロチンによる斬首刑。フランスの「最後のギロチン刑」の動画が残ってるくらいで。

そしてお久しぶりの土方一味。4月5日発売号の154話以来だから、5ヶ月ぶり。

なんでw
キラウシいるのwww
土方に雇われたん? 尾形に逃げられちゃったし家永捕まっちゃったし。
夏太郎は都丹の介護してるのかなあ。

おおっと土方さん、*はこのなかにいる*
一体なにがあったのっ!?
牛山はどうしたのだ。
蚕なんて、これも繭に封じ込められた生命って意味では、拘束されてるのと似てる……

また来週は休載ですってよ……
次の回は、15巻の発売翌日じゃないですか。

って。
6日の早々、北海道で大きな地震が。
ゴールデンカムイは100年ちょっと前の話だけど、一気に現代の北海道に引き戻される。
早く回復するといいけど。

*1:樺太アイヌはそうでもない。ニポポ人形樺太アイヌの子守の人形で、研究者が日本に持帰って土産物として普及させたのだと。→

*2:文字の読み書きも人間の本能であるらしい。前頭葉に書字中枢って部分がちゃんとある。文盲ということが本人にも大きな劣等感になったり、「誤字や当字が多い、テニオハの誤り」などは失書症ってな病気で、前頭葉の障害とされるんだそうな。……病気扱いかよ。

*3:子供の頃に読んだ「スケバン刑事」にちょうどこんなシーンがあってちょっとトラウマなんだ……

*4:尾形みたいなのは例外