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日々是々

金神302話「車内暴力」感想 ゴールデンカムイ

さすが尾形、無辜の民間人殺すのにも躊躇しねえし。

それでこそ尾形って気がするんだけどね。

土方が銃を捨てたのは弾切れか。
杉元も兵士の弾を拾ってるが……
あれ、杉元の銃って三十年式小銃じゃん、兵士らが持ってるのは三八式。三八式は三十年式の後方互換なので、三八式で三十年式弾薬(弾頭が丸い)は使えるけど、三十年式で三八式弾薬(尖頭弾)は使えないそうな(サイズが合わないのか炸薬のエネルギーに耐えられないのか、理由は不明) 兵士たち、弾薬も三八式が支給されてるはずだけどな。*1

土方「いや…武士道だよ」
武士道というのも使い勝手のいい都合のいい言葉で、そこに一貫した哲学はない。*2
これはあくまで土方の解釈。

杉元「自分のためだけならとっくに諦めてる」
あ――……結局、「梅ちゃんの手術のため」って言ってたのも、故郷に帰らないための言い訳だったのか……
とうとう白状しちゃった。
いろいろ後ろめたくて梅ちゃんと顔合わせられない。
金塊探しも、故郷に帰らないための言い訳に過ぎなかった。

父親は「自分の幸せを考えろ」って言い残したのにね。
父親に祝福されたのにそれに反して利他主義に徹して自らを傷付ける杉元。
ちょうど、父親に呪われたのにとことん利己的・自由気ままに振る舞ってる(ように見える)尾形と正反対なんだよね。だけどこの二人のエゴはごく近い。

で、尾形の乱入。
この「ふう!!」はなにかの覚悟に違いないよ。
しかし、ますますわからなくなった……
尾形、機関車暴走させてどうするんだ。
このまま暴走したら、函館の海へドボンしそうだけど、それで確実に皆が死ぬ、というか、権利書も失われるとは限らない。
中央の目的が権利書の破棄で尾形がその命令に忠実なのかどうか。
機関士が死んだとわかれば、みんな、必死で脱出しようとするだろし。
……いや、石炭の供給止まれば機関車も止まるか……(自動給炭機はまだないしね)

尾形が機関車の暴走を目したなら、自殺行為とも思えるけど、彼が命がけで中央の命令に従うような忠誠心があるとは思えない、一方で彼がそもそも死を恐れるような人物ではないようにも思える。*3

*1:
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これは宇佐美が支給されてた銃。

*2:ちなみに新渡戸稲造の「武士道」はあくまで、西洋人に日本人の精神性を卑下させないために、西洋の騎士道をベースに書いた本なので、日本の伝統ではない。むしろ戦国時代までは即物的・ビジネスライクで、武家は自分の家を最重視して一族郎党を保証してくれる主君に仕えたし、力量や信頼のない主君はすぐに裏切った。泰平の世になって戦闘が非日常になってから、精神論が流行りだしたわけで。

*3:サイコパスの特質の一つに、他者を平気で傷付けるが、自分への危機にも無頓着、てのがあるんだよね。イカニモって感じだ。