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日々是々

金神246話「アイヌの偶像」感想 ゴールデンカムイ

房太郎だって猛獣なんだけどね。

ナニゲに、房太郎、牛山と同じかそれ以上に背が高いのか……
でもあっさり投げられちゃう。
水棲動物だから陸上では分が悪そう。 牛山に対して「さん」付なのがちょっと意外。
テーブルぶち抜くほどの衝撃受けてもピンピンしてる牛山スゲエけど。

尾形の名前を耳にして正気に返る杉元もだけど。

ヴァシリが可愛すぎるだろ……!
尾形の存在に気付いて慌てふためくとか、どう見ても、獲物を狙うハンターというよりは、推しのアイドル前にしたティーンエイジャー。前回の牛山に再会したアシリパさんよりも興奮してる。
北海道来てからハードな体験の連続で、すっかり忘れてたのか。
頬まで染めてるし!
2年前の、戦友も囮にする冷徹な狙撃手はどこ行ったんだ。
こうやってクールになりきれないのが、国境でヴァシリが尾形に負けた由縁。

そのひたすら冷酷な尾形……こいつの目的はホントーにわからんっ。
尾形「これ…やったら」
そういうこと言わない! この性悪猫*1
大混乱になったあとのこと、考えてないだろ……『ゴールデンカムイ』って作品自体、終わっちゃう!
マジで引っ掻き回して、面白がってるだけなんでは。
(連載的に)撃たないでヨカッタ、と思う一方で、撃ちたくなる尾形の心情も、ワカルー
ついやってみたくなるよねっ

撃ちたくてたまらないけど、口に出してみることで客観的になってみせる。
その背後に立つ長靴……これは勇作さんしかアリエナイ。
幽霊とかって超自然現象ではなく、あくまで、尾形の脳が自身に見せてるんだろうな。

17巻の感想でこんなこと書いた。

だけど今後、穢れた勇作さんを見ることはない。 勇作さんは、清い姿だけを尾形の記憶に遺して死んだ。 彼の脳内に、良心として取り憑いてしまった。

金神17巻の感想 上 ゴールデンカムイ - day * day

こういうことじゃないのかなあ、と。
良心と言えるのかは謎だけども、それまでの彼になかったなにかが生じたのだろう。
それを、宇佐美も「モヤモヤしてる」って評してる。(→243話)

杉元を庇って銃口の前に立つアシリパさんも剛胆だ。杉元たちに殺し合いをさせないために、自分の無垢な魂を殺す覚悟を決めちゃった。
土方は土方で、戦士としては意に介さない小娘でも、政治家として対等に交渉相するあたり、真摯だ。
少なくとも、彼女幽閉しようとした鶴見よりよほど信頼に値する。

土方「女子供の兵士は必要ない」
このへんは、新撰組なんて武士集団率いてた土方らしい。
一方でウイルクは、ソフィアも同志だったから、女性戦士に抵抗がない。
非正規とはいえ幕府公認の新撰組隊士と、ゲリラ戦士の違いかもね?
アシリパさん、アイヌ名と和名、他に、もしかしてカソリックの洗礼名も持ってるんじゃ?って気がするんだけど?
土方「北海道の森林資源はこのままでは枯渇する」
アシリパさんより、土方のほうが、経済も社会の仕組みも知ってる。
アイヌなどの少数民族が、伝統的な生活を続けられるのは、少数民族だから、なわけで。
狩漁採収+交易主体では、近代以降の肥大した人口を支えられない。*2
地下資源を基幹産業にっていうのは鶴見の構想とも同じだし、というか、近代以降、ロシアもまさにサハリンや北方領土の地下資源開発を進めてるんだし。

房太郎は自分の国を造るとか言ってたけど、土方の共和国に納得するんだろうか。
こいつは遠大な計画があったわけでもなく、ヤンキー的なオオボラをフカしてたのかもね? 「全国制覇!夜露死苦!」みたいな。

アシリパさんはまたしばらく、土方と組むことになるのかな?
めまぐるしく組み合わせが変わるのも、この作品の醍醐味。
ついさっきまで仲良く酒飲んだりしてたのが一転殺し合いになって、かと思うと手を結んだり。

土方組のアジト、小樽と札幌の間あたりにあるはず。
尾形、土方組に戻ってくるのかなー……
ソロで頑張るのか、菊田たち中央のスパイと組むのか、鶴見隊に戻るのか、ヴァシリともどもソフィアと合流するのか。

あれ、尾形はヴァシリが同行してること知らないかな。
杉元たちに狙撃手がついてることは気付いてる、それが自分と対決したやつだと推測してるかな?
ヴァシリにトドメさしてないから、彼が生きてることは充分予測できる。

アシリパ ホロケウオシコニじゃない…!?
うーん。
土方が持ってるオリジナルの刺青人皮は、関谷・用一郎・茨戸の3枚だけ。
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他に江渡貝くぅんの偽物6枚と、コピー6枚(家永、牛山、土方、鈴川、白石、都丹)。

アシリパさんの足元に広げられてるのは人皮4枚+写し3枚。
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5は関谷で確定(208話)で、1は茨戸、4は用一郎*3
2の「狸」は偽物。*4
ワザと土方が偽物を混ぜてアシリパさんに見せたんではなかろか? ホントにアシリパさんが暗号を解く鍵を知ってるのか確かめるために。偽物が混じってたらわからないはずだから。
アシリパさんは、2、まさに偽物を見て戸惑ってるし。
コピーの6の「雨」はたぶん土方か都丹。
文字が複数人で重複してるケースがあるようだ……「里」も、1と5にあるように見える。

もう一つ、「ホケウオコニ」について疑問があるんだけど。
ウイルクもアシリパさんも、日本語ネイティブじゃないし、日本語の仮名漢字の読み書き出来たか怪しい。アイヌ語のホケウオコニを表記するなら「horkew oskoni」ってローマ字(ポーランド語)か、あるいはロシア語の表記になるはずなんだよね。
日本語のカナ書きだと8文字だけど、アシリパさんの脳内では5拍の単語なんじゃないのかな。

*1:猫が棚の上に乗って、花瓶落とそうか視詰めてる、的な。……そういう性悪なとこも含めて大好きなんだけど。

*2:まあ石炭の採掘ってのも、再生不可能な天然資源の収奪って意味では同じだけど、石炭を直に食べるわけじゃなくて、それをエネルギー源として工業を興したり、あるいは石炭自体を交易品として他所から食料等を買うことが出来る。そういう高度な社会経済を構築するには、自給自足に近い少数民族の人口密度では無理。

*3:
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*4:
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