day * day

日々是々

金神28巻の感想。 ゴールデンカムイ

追記2022年1月19日。

二階堂浩平!
そういや彼もかなり初期からのキャラなのに、表紙は初めてでした。
彼の義足の仕込銃のトリガーが具体的に描かれたのも初めて。
彼が失ったのは右手・右足・両耳、それに双子の洋平。
たまに左右が混乱してる絵があるけど、この靴底のパターンからして、はっきりと右足ですね。
彼の義手、中指に箸が仕込んであるから、拳骨握ろうとすると、中指だけ立てることになるはず……
🖕
……ユニコードにある……(U+1F595)

今巻、「前号までのおさらい」に紙幅を大きく割いてて、過去の経緯が一気にまとまってる。
キムシプの弟氏、「リヤプイペ」の名前も初出。
年が明記されるようになったし。

本文

第272話 イポプテ

熱い男。*1

有古の父の思い出は単行本で大幅加筆。
有古シロマクル、前巻から引続き出番増えたし。
有古イポプテは、元はあんまり民族へのこだわりもないノンポリだったけど、父とマキリを同時に失った。 *2

月について。

この月は新月の直前、旧暦30日、晦日の月。 奉天会戦の最中で旧晦日なら、塹壕のシーンは、1905年3月5日(日)(旧1月30日)(→旧暦カレンダー(1905年3月)| アラクネ)ということになる。
晦日新月の前夜の月は、日の出よりちょっと前、早朝に昇る。 だから、「一晩中月を見ていた」のではなく、月が見えたことで、朝が近い、一晩生き延びたことを知った。

金神21巻の感想 ゴールデンカムイ - day * day

菊田が、実は中央のスパイだとすると、晦日の月のすぐ後に昇る旭日=日本の中央政府を待ち兼ねていた、ということを暗示してるのかも?

鶴見、感情が高ぶると脳汁が出るけど、オーバークロックのときは出ないらしい。
このブーストモードを表わすのに、眼球の高速移動っていうのが面白い。
というか、なんか懐かしいな、“人間コンピュータ”。*3
一種のトランス状態かもね。

鶴見「お前の選ぶ道はそれで良いんだな」
鶴見は老獪だ……恐らくこれは鎌を掛けたのだろう。
有古の本心に確証がない、というか、暗号解読のために脳を使ってるから、有古の態度を判断する余力がない。
それで、曖昧な言葉で彼の行動を促した。
ということは、鶴見は、月島と鯉登がすぐ側にいることを知っていた。
後で盗み聞きを咎められることを怖れずに、即座に闖入する鯉登と月島。この判断はさすが。

なぜか、菊田さんとのことになると、子供っぽい顔付きになる杉元。

今回の序盤で立った見え見えの死亡フラグ、そんな安い展開しないと思ったのになあ。
このところ、過去話→死亡、って流れが多くて、ナンダカ。
家永も房太郎も上エ地も……

この月島の澄みきった表情。これも死亡フラグじゃん……
もう思い残すことなくなっちゃった。
過去は全て吹っ切れたし、鶴見に殉じる決心をしてしまった。

躊躇なく有古を射殺する月島、戸惑う菊田。
鶴見は、裏切り者を絶対に許さないってわかってるのに。
菊田さんは冷徹になりきれない。

アシリパさんが、キーワードを鶴見に明かしても、やっぱり人は死ぬ。
もうキーワードは鶴見に渡ったのだから、アシリパさんは解放されてもいいはずなのに。

ソフィアさん、いつまでウイルクの面を被ってるんだ……これなんかの伏線?

第273話 鶴見劇場

久々の尾形!
描かれるのは267話以来、作中のリアルタイムだと261話以来ですよ。
他のみんなが暗号の解読やらアシリパさんの奪還やらに躍起になってるのに、尾形とヴァシリは、黄金とは全く関係なく二人だけの世界にいるっていう。
尾形、ヴァシリの名前も知らない。顔も遠くから見ただけ。尾形にとっては何度か撃たれた――全部外してる――射手ってだけ。
ヴァシリも相当に変なヤツで、戦場では戦友も囮にするような冷血漢だけど、一方で一度対決しただけの相手のために、軍も祖国も捨てて一途に追ってくる情熱家。

ヴァシリが常にどこかで監視してると知ってて、消防士に紛れて脱出図る。
ヴァシリ、二度も尾形のデコイに引っかかったことがトラウマになってるようだ。
そんな彼の逡巡などまるで知らないのに、完全にヴァシリを読み切ってる尾形。

尾形「茨戸の土方歳三のマネだぜ」
その台詞余計な気がする。
板塀の下をくぐる様はまさに猫。

一方でアシリパさん。

アシリパ 私は杉元佐一と一緒に地獄へ落ちる覚悟だ
――『ゴールデンカムイ』22巻

なんて言ってはみたものの。
現実に、知り合いの死に様を目の当たりにしたら、覚悟の甘さを思い知る。
アシリパさん。動物はいくらでも殺すし、何度も脱獄囚と対峙してきたものの、実際に人間の死体にはほとんど触れてない。
今まで杉元が、彼女が直に人死にに触れないように守ってきたから。
杉元のパターナリズムもあるんだよね。
それが、今回は倒れかかる彼女を支えるって形に。
二人の関係性の変化を表してるようにも思える。
杉元は、彼女を忌まわしいものから守るというより、側で支えてる。

同時に、白石が車のハンドルとってサポートしてる!
3人の連帯感。

有古、生きてた!
えwww だって。至近距離で三八式で撃たれたのに。
ヴァシリのモシンナガンは、結構な距離で尾形の三八式のボルト、破壊してたじゃん。
マキリの構造詳しくわからないけど、鋼のブレード+木製の外装、三八式で貫通しないのっ!?

それはともかく、有古イポプテのマキリ、どこかに実物あるのなら拝見したいところ。*4
なにはともあれ、生きててよかった。
ここで死んでたら、父の死の真相も、アイヌの将来も、なにも知らずに死んでいくなんて、無念過ぎる。

鯉登、また薩摩弁に戻っちゃった。
なんでw 二階堂の耳、そっちなの??
ホントの耳の穴のほうは、耳介なくて音が聞き取りづらいんだろうけども。
……でも顎には聴覚神経ないと思う……いやもしかして二階堂、あるの……?

中尉殿しゅごい、て憧れ新たにして、しかし、月島のこと思いやって戦慄するなんて。
鯉登が月島のことおもんばかるなんて! 成長してるねえ……
すっかり鯉登のほうがお兄さんのようじゃん。
なんだかんだで鯉登はボンボンだから。月島ほどは鶴見に全てを捧げるというわけでもない。
鯉登は、鶴見が、得体の知れない怪人であることを希望してるの??
全ては鶴見劇場の演目だと信じたい?
実は鶴見の楽屋裏には妻子がいて幸せな家庭を送っていたこともあるとは、信じたくないの??

鶴見はビールのにおいで鯉登や月島がそこにいることを知ってた、と、鯉登は気付いた。
それまで、鶴見の語る大義が、あくまでアシリパさん落とすための方便だと思ってたのが、自分たちにも向けた台詞だと気付いた。
自分たちは鶴見劇場の観客のつもりでいたけど、実は舞台上に上げられていたと。
月島はすっかり乗せられてしまった。

なぜに鯉登は、月島のように素直に鶴見の掲げた大義を信じることが出来ないのだろう。
閉じられる扉は象徴的で意味深だ。
鯉登は、鶴見の舞台上から降りるつもりなのか?

第274話 こだわり

今回は妙に死者の出番が多い……
江渡貝くん、熊岸、キロランケ、房太郎、それに勇作さん。
谷垣はなんとしてでも描きたかったんですね、先生。*5

久々の江渡貝くん、すごーくイイ顔してる!
彼がこういう晴れ晴れとした顔をするのも珍しい。
周り、死体だけど。
彼は真性のネクロフィリアなんだなあ……とつくづく。*6

熊岸の台詞は。*7
8巻、9巻と引きずってきた話。

ジタバタしてる鶴見は、脳がビジー状態の様子。
そうかー鶴見、論理的思考するときはジタバタするのかー……

男「不潔そうだから」
明治時代の兵士やその他の文章でも、下層民や、大陸の現地住民や、アイヌなどの異民族に対して、そんな記述がたまに出てくる。
相手を卑下するときに、不潔だとか臭いだとかいうのは常套句。
野蛮さ、未開というレッテルであるらしい。
明治維新のころでも、江戸の町はかなり臭かったという話(生ゴミとか下肥とか、長屋の隅に集積場作って回収に来るまで放置だし)。それで西洋人にバカにされるってんで都市の整備が進んだと。
当時の西洋の大都市、ロンドンやパリの下町も似たようなもんだけど、そもそも日本に来る西洋人は皆、中流以上の階級なので、地元の下町には足を踏み入れない。当時の欧州、わざわざ上流階級が貧民窟を見物する観光ツアーがあったというくらいには上下の階級差が大きい。

アシリパさんの暗号解読のシーケンスは、本誌連載時にはもっとあとの279話に描かれてた分。鶴見陣営と同期取るためにここに持ってきたのかな。

土方「漢字に詳しくないであろう娘にウイルクはあえて漢字の暗号を与えた」
あー今頃になってこの話が。

前々からずっと疑問だったんだけど!

ふとした疑問。のっぺらぼう、なんで漢字、しかも明朝体で刺青彫ったんだろ? アイヌにしろ大陸のパルチザンにしろ、普段は漢字使わないだろうし、もしかすると、暗号の漢字には漢字としての意味はないのかも?

金神8巻 感想 ゴールデンカムイ - day * day

ウイルク、樺太アイヌ語ポーランド語ネイティブで、ロシア語→日本語→北海道アイヌ語って学んでることになる。アイヌ語を表記するなら、まず、(ポーランド語の)ローマ字アルファベットか、キリル文字のはず。 何故、わざわざ日本語の発音にこだわったんだろう? 漢字使う機会もなかったろうに。 アシリパさん、北海道アイヌ語と日本語は話せるけど、ポーランド語やロシア語は出来ないかな……仮名文字は読めるだろうけど、漢字はアヤシイ。*5 日本語ネイティブじゃないウイルクが、漢字読めないアシリパさんに向けて、日本語ネイティブの人達から隠す暗号を、日本語の漢字で書いてるって、謎。

金神183「狼に追いつく」感想 #ゴールデンカムイ - day * day

……とかね。8巻のころから気になってたんだ……

土方「あくまで和人と協力して金塊を見つけろ」
白石「アイヌのために和人を利用してやれ」

……両論併記?

アシリパ「想定していたことではなかったはず」
アシリパさんはあくまで父親の無垢を信じたいのだね。

土方「わたしに会いに来るのは最初から予定にあったのかもな」
このへんの土方の言い回しが微妙で。
2ページ前の「なんで漢字」への回答にしても、土方は自分に都合よく相手に思わせようとしているんだよね。
まあ後々の展開で、土方の推測が正しいとわかるんだけど。
どうも土方も完全には信用しきれない。

そして。

最後の一文で全て吹き飛んだ。
なんでw そこにw
花沢勇作

忘れろと念を押すほどには、菊田と杉元、深い仲であるらしい。
菊田「俺は地獄行きの特等席だ」
というくらいに強烈な罪悪感。

尾形、宇佐美、それに杉元と、各人の記憶に残る勇作さん。
物語開始時点で死んでるのに。

第275話 東京愛物語

冒頭まるまる3ページが単行本の加筆分っていう、大盤振る舞い。
特に3頁目。
杉元、2年の漂泊の間にいろいろ苦労したんだねえ……
彼のルート、最初は3度も神奈川に戻ってるのが未練がましいけど、でも結局あちこち流れ歩いて京都に。

今回の台風の目、京都のスズメ焼きの男。家に電話器があるのでかなりのお大尽のはず。
杉元、飯と衣服と宿の引き換えに身体売ったんだろなー*8
ハッキリとは書かれないけど、特に否定材料ないし。
というか、一昔前の、あまりお上品ではないサブカルだと、よく、男色家がこういう青々としたヒゲで描かれること多かった。*9
ホモフォビアが横行してた時代はギャグかトラウマにされてたけど、杉元はそこまで忌避感はない模様。

そして東京。
1901年のことだそうですよ。
20世紀の始まりの年。
第2ミレニアムの最後の1世紀の始まり。

街灯で遊んでる絵は「雨に唄えば」→Singin' in the Rain (1952)

勇作さん!

杉元が、13巻128話で尾形を睨んでたのは*10、過去の因縁もあってのことなのか。
1901年の時点で、花沢将軍、第七師団長なのですね。

勇作さんの母、花沢ヒロさん。名前や台詞のあるキャラの母親に名前がついてるのは、この作品では少ないほう。

勇作さんはおそらく陸軍士官学校の14期卒(日露戦争開戦時の旗手は14期卒っぽい)。
実在の、同じく14期卒の人の経歴参考にすると*11、1900年に士官候補生(陸士入校)、1902年11月卒業、1903年6月任官(少尉)らしい。

菊田「聯隊旗手の暗黙の要件として「童貞」というのがある」
旗手、任官したての少尉から選ばれるんだそうで、1年後には中尉になってお役御免という。
……さすがに1年間も童貞守り続けるとは信用出来ないんだろうな……

なんか。
勇作さん、尾形目線ばかりだったせいか、どうにも優男なイメージなんだけど。しかも、いつも口を開けてるせいか*12、口許が緩くて、なおさらおバカなボンボンに見えてしまう。
20キロ以上の聯隊旗振りまわす旗手務めるくらいだから、かなりマッチョなはず。
ムチムチの軍服で、股間押さえてるポーズが悩ましくて、乙女心にヒットします。

金子花枝子さんコワイっっっ

華族女学校、今の学習院女子大学ですね。(→開学前史 1877~1948|大学紹介|学習院女子大学
当時の女学校って、エリート官僚や政治家、高級将校や華族なんかの嫁の養成所なので。*13
「結婚して退学」は名誉除隊なのですね。「卒業」のほうが不名誉っていう。某学校の芸能科(芸能の仕事が単位に組み込まれる)で、出席率高いほうが仕事がヒマ=芸能人として売れてない=不名誉なのと同じような。

勇作さん、すっかり弄られキャラになってる……
兄にも母親にも童貞を狙われる、弟君。
しかし、そこで童貞捨ててれば、死なないで済んだのに。

ついつい勇作さんにばかり注目してしまうけど、今回の主役はあくまで、杉元と菊田さん。
長髪がサラサラな杉元はだいぶ新鮮。
と思うとあっという間に短髪に。

杉元「俺になにして欲しいんすか」
聡い杉元。無償の善意なんか信じない。
冒頭の京都のエピソードがここの伏線になってる。

軍曹と言えば。
「刺し箸 空箸 迷い箸♪」
って、きっと、「フルメタルジャケット」……→【台詞・言葉】訓練歌(Running Cadence) : KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
一般には、ミリタリーケイデンスとか、ランニングケイデンスとかいうようで。→ミリタリーケイデンス - Wikipedia
ちなみに、刺し箸空箸迷い箸寄せ箸ねぶり箸立て箸はすべて箸のマナー違反。
……杉元、そこからか……

帝国ホテルといって。
明治村にある、フランク・ロイド・ライトの設計で有名な「中央玄関」*14は、1923年の建築なので、1901年時点では旧建物*15――1919年に焼失だそうな。*16

結局、誰も、勇作さん自身の意志は気にしてないというか、勇作さん本人も自己主張しなさすぎるんだ。
父に命じられるまま、アイドルになりきってた。
無神論者で偶像破壊者である尾形に殺されるのも宜なるかな……

第276話 エビフライ

そういや、『ゴールデンカムイ』で恋バナ自体、珍しい。
なんか、花枝子様、可愛く思えてきたぞ……
彼女もまた、主体的に彼氏を選ぶ、新しい時代の女かも知れぬ。

杉元の懊悩を、要は自惚れだと看破して叱り飛ばす菊田さん。

実はこの下り、連載時はかなりニュアンスが違った。 (詳しくは後述)

金子花枝子「あんなクリクリのくせっ毛の田舎娘…」
え、春見ちよ(旧姓)ことイゴ草ちゃん!?
なんだーやっぱり生きてたんじゃんー

(これも前々から言ってるけどぉ)なんかさー、イゴ草ちゃん、後々、ひょっこり出てきそうな気がする…… 東京で上流階級の奥様になって、子供三人くらい連れて、ふくよかになっててさ……

金神231「出産」感想 ゴールデンカムイ - day * day

しかしこれで鶴見が正直な善人であるとは限らなくて、たまたま、かも知れないしね? 鶴見は本質的には目的のために手段を選ばないマキャベリストだけど、しかし彼の目的、大義は、もうちょっと信じてもいい気がする。

杉元の宿のシーンも2ページ、増加分。
菊田さんの収集癖の理由が明らかに。

菊田「とくに戦場じゃ心の「よすが」ってのが何より必要なんだよ」

これが勇作さんの台詞と対応してる。

勇作「私が最前線で戦う兵士たちの心の「よすが」となれたら…」

つまり勇作さんは偶像=モノであると。本人もそう思っているようだ。
だから、彼の目は描かれない。

追記。
菊田さんの収集癖の理由が明かされたところで――つまり、勇作さんも、ヒトでなくモノ、魂のない偶像ってことらしい。魂というのか、主体性とか人間性とか自我とか。
勇作さんはあまりに純粋すぎて、水清くて魚棲まず、みたいな、なにか大事なものの欠如を思わせる。澄みすぎた瞳に魂は宿らない。
尾形は、自分が「なにか欠けた」といい、父にも出来損ないって言われちゃってるけど、勇作さんのほうこそもっと大きなものを欠いてる……皆の偶像であり、無垢のシンボルであり、人殺しの罪悪感で傷付いた兵士らを癒やすために、彼は無自覚に自らを殺した、というか最初から生きた人間ではなかった。
とすると、彼の直接の殺害犯が尾形であること自体には、あまり意味はないのかも知れない。旗手なんてどうせすぐ死ぬ、そもそも最初から生きてなかった。
25巻、二百三高地での尾形と宇佐美の会話、連載時に比べて、尾形の動機がなんだか軽くなってたのが意外だったけど、勇作さんが生きた人間でないなら、尾形にも強い動機は要らない。
勇作さんが、杉元と尾形の、それぞれの誘惑を拒んだのも快楽に感応する心がない故……杉元がエビフライって美食、尾形がセックスと殺人で勇作さんに魂を取り戻させようとしたのが、それぞれ「らしい」。
杉元はとにかく食が最上の生きる意味だし、尾形に性行為はともかく(男性一般の嗜好として遊郭かね)、殺人が彼には強い快楽であるらしいよ(相談相手がまた同好の士の宇佐美だし)
尾形って杉元のエゴイズムを抽出したキャラクタだと思ってるけど、二人とも、「かっこつけた」「清い」偶像なんかでなく、欲望や快楽の追求、エゴこそが人間性だと。そも、生きること、サバイバルって、極限でのエゴイズムだし、この作品全体、そう共通したテーマにも思える。(だから、作者氏、自画像に辺見ちゃんを使用してるのか……勇作さんと正反対の人間だし)
つまり、これって、「堕落論」か。*17
勇作さん、164、165話の本誌連載で初めて読んだときの印象は、ひたすら、愚かだと思った。今巻、更にオバカになってる……*18
それに、勇作さん、どのコマでも口を開けてて、なんだか口許ばかりかアタマも緩く見えてしまう――まるで魂が抜け出してるみたいな――でも彼、尾形の前でだけは口を閉じてるんだな。
あらゆる人間性否定した勇作さんが、兄様への思慕だけは残ってるんだとしたら、乙女心がトキメクんだけどっ!? だとしたらファンブックにあった「ズボンを借りた」って逸話ももしかして深い意味がっ!? だから死後も尾形の前に現れるのっ!? 勇作さん、死んでからは尾形の守護神になって、同時に、アシリパさんも救う事で物語全体も救ってる。
杉元にしろ尾形にしろ、一旦は勇作さんを人として生かそうと、魂を取り戻させようとしてる。
それに対して、将軍である父は息子を死地に遣ろうとする。この「死神である父親」って、この物語によく出てくるな。花沢や鯉登の将軍は言うまでもなく。関谷や鶴見、ウイルク、上エ地の父も。母親たちは皆、名も台詞もなく、只、子の無事を願ってるのとは対照的な。中で杉元の父親が、「自分の幸せを探せ」なんて言い残す、最も良い父親として描かれてるのに、佐一本人は自ら死地に飛び込んで傷付いてく……きっと父は言葉とは反対に、ひたすら利他的に生きて息子にその姿、見せてたのだろうなあ、と。

尾形と同様に、杉元もまた、勇作さんとアシリパさんに通じるものを気付いた。

勇作さんが、偶像である故に意味を見いだしてたのは鶴見も同じだ。
花枝子様はちゃんと勇作さん――実際は杉元のニセ勇作さんだけど――本人の人柄と容姿に価値を見てる。

勇作「それは日清戦争で病死した弟さんの帽子だよ」
ああ案の定。

そして、まったく思いがけなく杉元が遭遇する、鶴見と部下たち。
まだこの時は互いのことを知らない。
この艶笑喜劇からどうやって地獄行きの特等席、なんて状況になるんだか、と思ってたら案の定、鶴見らの乱入ですよ。

第277話 花沢勇作童貞防衛作戦

勇作さんが大きく動いたり、杉元が今回3/4は全裸だったり。

尾形らとの(ほぼ)初対面がいきなり全裸な杉元ってナニコレ。

勇作童貞防衛作戦てよりか、杉元の童貞防衛戦に……あれ、待てよ、杉元は童貞なのか? 童貞だよね?? 少なくとも女性については。
花枝子さま、要は勇作さん(中身は杉元)を手籠めにしようとしてるんだけど、女から男に、ってなるとどうにも艶笑喜劇になってしまうのは、ある意味マチズモなわけで、だからかなり際どいエピソードではある。

杉元「本人が決めることだ 勇作の人生だから」
っては言うけど。
その決定が果たして妥当なのか、完全な情報に基づいてるなら自己責任と言えるけど。でも実際にその時になるまで、自分がどんな場所にいるのかわかりようがない。
現に勇作さん、戦場の現実で人が壊れて死んでいく様を目の当たりにしてビビってたりするじゃん。

それは、25巻の回想シーンで負傷した寅次を見て絶句する杉元*19や、273話のアシリパさんにも繰り返される。

所詮、杉元からしたら花沢勇作なんてアカの他人だから、彼の生死なんかどうでもよくて、自己責任って突き放せる。
母親や、花枝子さまほどには、勇作さんを大事に想うわけではない。*20
彼女らが守りたいのは、単に勇作さんという個人ではなくて、彼を想う自分の心の一部分。
……っても花枝子さまは、目の前の杉元を、勇作さんだと思ってるんだけど、それでもとにかく目の前の人物を、肩書とは関係なく、心を寄せている。

にしても、花沢ヒロさん、菊田の回想では冷たい容貌に描かれてるけど、実はすご――く善い人なのでは。
慈善活動はノブレスオブリージュとして当然としても、妾とその子である尾形母子について、勇作さんにちっとも悪口を吹き込んだりしてないっていう。

部下達以外の前では、ダンディでスマートにキメてる鶴見。
鶴見「あ~~~~くだらん…」
って毒吐いてるときと大違いだ。
鶴見の傍にずっと尾形が侍ってる図やら、上等兵sの会話やら、こういうシーンは大好きで、つい、にやけてしまう。
宇佐美「ねえ百之助」
って声を掛ける宇佐美はなんだか婀娜っぽい。
いよいよ弟に会えると緊張してる尾形、その心情を慮って更にえぐる宇佐美、って関係性がイイ。この二人、一番に親しい、唯一戦友って言える仲だったんだろうなーと、ずっと思ってる。それでも、255-256話のあの結末は、二人の関係性が壊れたんでなくって、そもそもがそういうエキセントリックな二人だから。
そして全裸の勇作さん(中身は杉元)に対面して、つい尾形までニヤけちゃった。

鶴見がいきなり拳銃(26年式拳銃ですかね)出してるけど、これ、どこに装備してたんだろ。 弾薬装填して1kg越えそうだから、ポケットに入れておくわけにいかないだろし、ズボンのベルトに吊ってたのか……

第278話 花枝子お嬢様と ふりちんノラ坊

……なんてヒドいサブタイだ……

宇佐美と月島相手に(全裸で)バトってる杉元はさすが。宇佐美も月島もかなりの猛者なんだけど。
そういや、宇佐美、金的攻撃しないのね。

杉元と花枝子様の関係は、なんだか、後のアシリパさんを髣髴とさせる。
アシリパさんも、杉元に仄かな恋愛感情があるのは確かだけど、杉元はやはりアシリパさんの感情も逸らすんだろな……
後の花枝子様の隣にいるのはどうみても大河ドラマっぽい御仁。

鶴見が珍しく、完全に舞台に上がって白々しい台詞を吐いてるのに。
みんなが必死なのに、尾形だけ笑って傍観してる、って、イカニモ彼らしい。
彼はすっかり読者目線で第4の壁のこっちがわにいる。
本誌連載の255話で宇佐美が「銃が使えなきゃお前は何にも出来ない!!」って台詞*21、こういう場面が何回もあったんだろなー……尾形、銃ないときはなにもしないんだ……出来ないってよりかは……

尾形、宇佐美とのコマでは童顔なのに、杉元のコマだと一気に年齢上がるんだよな。
網走行で杉元たちとパーティ組んでたときもおっさんくさかったのに。

ところで、276話では尾形と宇佐美、帯革(ベルト)締めてるんだけど、277話以降はしてない。*22
軍服の構造がよくわからないけど、この帯革って、弾薬盒などを装着する役目なんだよね? つまり小銃の装備の一つ。
さすがに東京市内の街中で小銃を抱えて歩くわけにはいかない(彼らは北海道から出張してきてるんだし)から、銃は最初から持ってきてないのか、宿泊所に置いてるのか。
だったら帯革も要らない。
そして勇作さんも帯革してるけど、これ、本来は軍刀吊すためだよね。
杉元の着てる菊田さんの制服の帯革と、金具が違うのは、これも私物でオーダーメイドなんだろか。

満を持して登場する勇作さん……なんで鶴見たちより後に来てるの……やっぱり電車乗り間違えたりとかしたんじゃないの……
この勇作さん、無駄にカッコよくて。帯革の高さが他の人と違うw

その後、勇作さんが尾形に敬礼してるのは、兄だと知ってるのか。
これが初対面のはず。
尾形の目がコワイ。
やっぱり、尾形、勇作さん個人に対して妬み嫉みがあるんじゃないの?
勇作さんて。愚かだったり邪悪だったりって、一般的に殺されるような理由は一切ないはず。だからこそ尾形に殺された。

この後、菊田さんは鶴見の配下に入って、(この話が1901年だから)1年後の音之進拉致監禁事件の陰謀にも関わるくらいの仲になる。

第279話 俺の手柄

……相変わらず下半身裸だけど。

杉元、菊田さんには、「自分を許せ」って言えるのは、所詮は他人事だからだよね。
これから7年後に、同じ事を樺太で岩息舞治に言われてしまう。

菊田「日清戦争では戦死よりも病死が多かった」
19世紀までの戦争はだいたいそう。大量破壊兵器も、医療技術も未発達だったから。
日清戦争は日本側では戦死1:病死10くらい。(清の側は記録がハッキリしないらしい)
日露戦争は日本の戦死5万5千に対し病死2万7千てある。→日露戦争 - Wikipedia
ロシア側も似たような数字。
第一次世界大戦では戦死者総計1700万人だけど、同時期に通称スペイン風邪パンデミックで世界で1億人以上死んでる。*23

ちなみに、第二次世界大戦で日本軍の死者(民間人除く)の6割は餓死・病死っていう。*24
ガダルカナルあたりになると、8割が餓死・病死。

尾形がこの時点で中央のスパイだったと。
25巻の宇佐美や8巻の月島の台詞からして、鶴見たちは07年の時点では尾形の離叛に気付いてる。
しかしその後の尾形の行動は、鶴見の金塊探しを妨害してるわけだし、中央すら裏切ってるのではなかろか?

二〇三高地
杉元もまた勇作さんへの強烈な罪悪感。
だから、今まで、彼の顔を思い出せなかったらしい。尾形と同じ。
と思うと背景に尾形が立ってる。
勇作さんがあまりにピュアすぎて、尾形も杉元も、彼への悪意が罪悪感となって跳ね返ってくる。

杉元はアシリパさんに出会ったことで勇作さんの思い出の記憶がゴッチャになってるのかも知れない。
それも尾形と同じ。
尾形と杉元が、妙に共通点があるのは、尾形が杉元の利己的な合理主義、エゴを象徴してるからじゃないかって思うんだけど。対して、道徳的な理性はアシリパさん、衝動は白石がそれぞれ担当してる。*25
だから、杉元が罪悪感に苛まされるのは、尾形と同じ行動をしてるとき。

花沢勇作童貞防衛作戦、勇作さんの人気に応えて無理やり作ったエピソードかと思ったけど、意外とシリアスで、杉元の懊悩って本質に繋がってるのかも。*26

あーあ。
菊田さんここで退場か……
慢心したり、過去を思い出して微笑む、なんて、あからさまな死亡フラグ
一連の花沢(中略)作戦で、意外と彼は軽薄な人物に思えた……先が長くなさそうな。
そして、ノラ坊=杉元だと知るのは杉元だけ、しかし杉元は、あの時にホテルでバトったのが鶴見たちだと、気付いたろうか?

キャラの死が続いて、なんだか閉店大売り出しみたいな状況に。
個別のキャラのファンには戦々恐々。
いったい最後まで生き残るのは誰か。
史実から、土方も鶴見も中央も、目的を達しないことはわかってるし。
なんで影が四角の集合で描かれてるのか気になるんだよねえ。

第280話 決意の号砲

函館といったら。

土方にも鯉登にも宿縁の地。
網走に来たときには黄金を隠匿する作業は全て終わってて変更出来ないから、土方終焉の地が、ウイルクの重要拠点なのは偶然。
鶴見たちにしても、音之進拉致監禁事件の舞台が函館なのは、たまたま鯉登パパの赴任地が函館だったから。
音之進拉致監禁事件の後に、ウイルクは黄金を隠して鶴見と再会した。

……あれ、なんで五稜郭??
「北海道全域から集められた砂金」と言っても。函館って蝦夷地の一番端だ……北海道の地理にぜんぜん詳しくないけど、支笏湖ともかなり離れてるんでは。
噴火湾を船で渡ったのかな?

<有っても無くてもいい!!>
……と言ってるけど、実は彼が最重要ピースだったことが後々。
というか、網走の囚人らの集団脱獄事件が成功したあとに、門倉は追加パッチとしてリリースされてるわけじゃん。

んー
中央、とりあえず鶴見に、黄金を手に入れさせたいのだよね……
といっても鶴見たちの状況を逐一監視してるわけじゃなくて、菊田に定期的に報告させていただけ。
菊田からの連絡がなくなったら、黄金のことはさて措いて、いよいよ鶴見を制圧に来る。
とにかく、黄金を手に入れる最短の手段は、網走でアシリパさんとウイルク=のっぺら坊を引き合わせることだったんだし……それなら暗号を解く必要も、刺青人皮を集める必要もなかったんだ。
杉元も土方も鶴見もそれを目的にしてた。
それを妨害したのがキロランケ・尾形たち。キロランケはソフィアを脱獄させる必要があった、そのために樺太に行く、その間に黄金を誰も手に入れられないように、アシリパさんをさらって樺太に同行させた……としか思えない。

作者氏、菊田さんの顔が難しいと仰るけど、7頁目の彼、晴れ晴れとイイ顔してる!
菊田さんが後を託すのは杉元。
菊田にとって杉元は弟の身代わりなのだしね。
菊田は、なんだかんだ言って、性善なる人で、鶴見には付き合いきれなかった。かといって中央に固く忠誠を誓ってたかもかなり怪しい。

その菊田さんを撃ち殺す月島。
晴れ晴れとした菊田に比べて、彼の表情は暗い。
彼も紆余曲折あっても、鶴見への忠誠心に帰ってきた。でももはや、鯉登は一緒にはいない。もしこれから鯉登が明確に鶴見から離叛しようとしたら、月島が鯉登を殺すことになるのかも知れないね。
でもさ、月島は、宇佐美とは違うから、自己の倫理と、鶴見への忠誠との乖離を抱えてるのは確か。鶴見への忠誠心を維持するために、月島には、鶴見の唱える日本のためという大義が必要なんだ。

予告

ゴールデンカムイ展ですってよ!!!

連載時からの変更

全体、ヨゴレや服のシワなどが細かく追加されてます。
※ Pxfxx……xページxxコマ目、の意味で。ページ数は単行本目次に準拠。

□ 第272話 イポプテ

  • P7 扉追加。元は次ページの1コマ目だったものを1ページ分に加筆と拡大。
  • P8f1 年・場所の囲み、菊田さん追加。よく見ると背景は前ページの扉の絵の拡大コピー。
  • P8f3 「日本に」→「故郷に」 微妙な違いだけど。
  • P9f4-5 コマと台詞、追加。父の思い出が長く。
  • P10f1 台詞とコマ追加。マキリについて詳しく。
  • P10f4 元は次ページの1コマ目。
  • P11f1 コマ拡大。ここまでで1ページ分の増量で、奇数ページに戻る。
  • P11f2 マキリ、吊されてたのが蓙の上に置かれる。
  • P12f2-3 追加。
  • P12f4 拡大。
  • P13f1-4 前ページから追い出される。
  • P13f5 1908年登別でのシーケンス(21巻の絵)追加。
  • P14 引続き1908年のシーケンス追加。
  • P21f4-7 扉の塞がれる下り追加。
  • P22f1-3 前ページから追い出されてきた。
  • P22f2 車の音が変更。
  • P22f4 コマ追加。……にしてもスゲエうるさい車だなコレ……排気筒ないから電気自動車??
  • P23f4 「ダアン」の描き文字が白抜きに。目立たせる意味かな?
  • P24f1 月島の銃の構えが変更、というか、1発撃った後なのでボルト操作してる。
  • P24f2 描込みが細かく。銃弾増えた。
  • P24f3 コマ拡大、アシリパさんの台詞増量。
  • P25f1 前ページから後送。
  • P25f2-3 コマ、台詞、銃撃追加。月島、撃ちまくりだ。

□ 第273話 鶴見劇場

全体、消防隊の服が、白だったのがダークトーンに。

  • P45f3 鯉登のアップのコマ追加。兵士の台詞は次のコマから。
  • P45 コマ数変わってないけど最後の台詞が次ページに後送。
  • P46f1 前ページの最後のコマだったのが拡大、以下半ページ後送り。
  • P47 半ページ分の3コマを1ページに拡大。
  • P49 左端にあった、扉を閉めるコマ、削除。鯉登、完全な訣別ではなく、まだ迷ってるようだ。*27
  • P50 まるまる追加。

□ 第274話 こだわり

  • P58 刺青人皮、文字がそれぞれに追加。
  • P62f3 「暗号解読~」の囲み追加。時間の流れを明記。
  • P67f2~P69 大幅追加、というかこの解読のシーケンス、2ページ半ほど279話から引っ越してきた。
  • P70 ページと台詞、まるまる追加。というか土方、できるだけ自分に都合の良い方に誘導しようとしてるんだけど……(しかし後々のエピソードからして土方の予測はほぼ当たっていたことになる)

□ 第275話 東京愛物語

  • P73f1 海辺の風景追加。
  • P74-76 まるまる追加。杉元、様々な経験積んだのだねえ……
  • P85f3 コマの拡大と追加。1ページ分を2ページに。
  • P89f1 風景のコマ追加。以下、1/3ページほど後送。
  • P90f1 コマと台詞追加。以下、士官学校について詳しく。
  • P92f2 菊田弟君に涙追加。
  • P93f4 「刺し箸」→「立て箸」
  • P94f1 帝国ホテル、正面図に。
  • P94f1-2 「ドンッ」がなぜかより強調。

□ 第276話 エビフライ

  • P103f2 故郷の思い出追加。
  • P104f4 追加。
  • P104f5 菊田さんの台詞が変更。連載時にはなんだか女性蔑視入ってて、菊田さん意外とダメ男っぽかったけど、むしろ杉元への苛立ちに向いた。
  • P105f2 「ニコッ」追加。
  • P109-110 2ページ追加。菊田さんの収集癖の理由。
  • P112 まるまる追加。陸士の制度が詳しく。
  • P115-117 追加。ひぃ。勇作さんがどんどんオバカで軽い人物になっていく……
  • P118f1 勇作さんの顔に汗。
  • P119f1 勇作さんの顔に汗。
  • P120f2 杉元が顔を隠すように。他の軍人たちに顔見せるな、て菊田さんに言われたからね。
  • P120f3 追加。

□ 第277話 花沢勇作童貞防衛作戦

  • P124f3 鶴見の鼻息がコマからはみ出した。
  • P136f4 「勇作さん」→「勇作くん」……鶴見のほうが階級上だもんな。

□ 第278話 花枝子お嬢様と ふりちんノラ坊

  • P153f3 帝国ホテル、全景に。
  • P154 尾形、いつのまにか帽子脱いでる。P145で確かに帽子落としてるけど、手に持ってないし。

□ 第279話 俺の手柄

  • P158f1 そういや菊田弟、目の下の線が斜めになってる。
  • P166f3 勇作さんの顔が暗く、目が目立つように。
  • P167f1 アシリパさんのコマ追加。
  • P167f2 目覚めるコマ、全面描き換え。
  • P168-169 見開き1枚追加。
  • P170f3-4 土方のコマと台詞追加。その前の杉元のコマの後に解読のシーケンスが2ページ入ってたのがP67~へ引っ越した。
  • P172f2 「鶴見陣営~」の囲み追加。

□ 第280話 決意の号砲

  • P183f4 「アシリパ方陣営~」の囲み追加。
  • P189 五稜郭に木が追加。
  • P191f1 上エ地の絵が追加。
  • P192f1 門倉のパターン変更。実は最重要ピースだった……
    本誌連載時→

  • P192f3 五角星のライン追加。連載時には描き込めなかったのね。

連載時に書いた記事。

これらの記事を元に書きました。

*1:

*2:念為。アイヌは、良い製鋼技術がないから、マキリなどの刃物のブレードは交易で手に入れてた。だから主眼は柄や鞘の精緻な彫刻にある。

*3:パタリロとか。昔のマンガとかでよくあった気がする。目がカシャカシャ動いたり、耳がくるくる回ったり。

*4:

*5:いや死んでないけど。

*6:彼の元ネタのエド・ゲインは、あくまで中年女性(の死体)にこだわってたので、死体というより女性への執着がコジれたんだろうな……対して江渡貝くんは死体そのものが好きであるらしい。

*7:

*8:そもそも服を交換するってかなり性的なニュアンスだしね?

*9:保毛尾田保毛男とか、魔夜峰夫の諸作とかねー

*10:

*11:西尾寿造 - Wikipedia

*12:見返すと、尾形の前でしか、口を閉じてる絵がないんだよな💧

*13:津田塾(女子英学塾)みたいに、職業婦人を育てる女性高等教育機関もあることはあった。いわゆる大学に女性の入学が認められるのは第二次大戦後。

*14:帝国ホテル中央玄関|エリア別建造物|文化財|村内の楽しみ方|博物館明治村

*15:帝国ホテル - Wikipedia

*16:エピソード5→大成建設 | 140周年記念サイト | 大倉喜八郎 | 時代を拓く
MEIJI TAISHO 1868-1926: Showcase - 帝国ホテル 初代――このへんの絵とも微妙に建物の形が違うのは、後から車寄せ部分が増築されたのかな?

*17:図書カード:堕落論

*18:そも鶴見たちより先に陸士を出たはずなのにかなり遅れて帝国ホテルに着いてるのは途中で道を間違えたんでは、と、疑ってる。

*19:これは単行本の追加分。

*20:そういや、母の日の起源の1つには、アメリカで南北戦争当時に、息子を戦場に送らないって母親たちの政治運動があるのだそうで。(→母の日 - Wikipedia) ちょうどこの時期だし、勇作さん(中略)作戦は、母の日にちなんだエピソードなのかも知れない。

*21:この台詞好きだったけど単行本で改訂されてしまった。

*22:

*23:パンデミックの原因は世界大戦だし、パンデミックが起きたので戦争が終結したとも。

*24:飢餓で抵抗力落ちて感染症ってコンボが。飢餓、自殺強要、私的制裁--戦闘どころではなかった旧日本軍:日経ビジネス電子版

*25:アイヌ文化でいう「トゥレンペ(憑き神)」って、なんだか、フロイトのあげるスーパーエゴっぽい。ゴールデンカムイでの解説だと守護神みたいな言い方だけど、中川裕氏の本だと、もっと、外挿的な道徳のようでもあり、スーパーエゴみたいだ。

*26:

*27: