day * day

日々是々

金神279「俺の手柄」感想 ゴールデンカムイ

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……相変わらず下半身裸だけど。

杉元、菊田さんには、「自分を許せ」って言えるのは、所詮は他人事だからだよね。
これから7年後に、同じ事を樺太で岩息舞治に言われてしまう。

菊田「日清戦争では戦死よりも病死が多かった」
19世紀までの戦争はだいたいそう。大量破壊兵器も、医療技術も未発達だったから。
日清戦争は日本側では戦死1:病死10くらい。(清の側は記録がハッキリしないらしい)
日露戦争は日本の戦死5万5千に対し病死2万7千てある。→日露戦争 - Wikipedia
ロシア側も似たような数字。
第一次世界大戦では戦死者総計1700万人だけど、同時期に通称スペイン風邪パンデミックで世界で1億人以上死んでる。*1

ちなみに、第二次世界大戦で日本軍の死者(民間人除く)の6割は餓死・病死*2っていう。*3
ガダルカナルあたりになると、8割が餓死・病死。

尾形がこの時点で中央のスパイだったと。
25巻の宇佐美や8巻の月島の台詞からして、鶴見たちは07年の時点では尾形の離叛に気付いてる。
しかしその後の尾形の行動は、鶴見の金塊探しを妨害してるわけだし、中央すら裏切ってるのではなかろか?(忠誠心のカケラもないあたりが、いかにもサイコパスっぽい)

二〇三高地
やっと勇作さんの目が!
杉元もまた勇作さんへの強烈な罪悪感。
だから、今まで、彼の顔を思い出せなかったらしい。尾形と同じ。
と思うと背景に尾形が立ってる。
勇作さんがあまりにピュアすぎて、尾形も杉元も、彼への悪意が罪悪感となって跳ね返ってくる。

この勇作さんの目は、ウイルクやアシリパさんと同じだ。
もしかすると杉元は、彼ら親子に勇作さんを重ねてるのかも知れないし、あるいはアシリパさんに出会ったことで勇作さんの思い出の記憶がアシリパさんとゴッチャになってるのかも知れない。
それも尾形と同じ。
尾形と杉元が、妙に共通点があるのは、尾形が杉元の利己的な合理主義、エゴを象徴してるからじゃないかって思うんだけど。対して、道徳的な理性はアシリパさん、衝動は白石がそれぞれ担当してる。*4
だから、杉元が罪悪感に苛まされるのは、尾形と同じ行動をしてるとき。

花沢勇作童貞防衛作戦、勇作さんの人気に応えて無理やり作ったエピソードかと思ったけど、意外とシリアスで、杉元の懊悩って本質に繋がってるのかも。*5

土方「漢字に詳しくないであろう娘にウイルクはあえて漢字の暗号を与えた」
あー今頃になってこの話が。

前々からずっと疑問だったんだけど!

ふとした疑問。のっぺらぼう、なんで漢字、しかも明朝体で刺青彫ったんだろ?

金神8巻 感想 ゴールデンカムイ - day * day

記したのっぺらぼうは、おそらく大陸のコーカサス少数民族の出身で、正体隠せるくらいにアイヌ語や日本語に堪能だけど漢字についてどこまで使い慣れてるか疑問(アイヌも漢字は日常使わないよね)。 アイヌアシリパさんだけにわかるような特別な記号でなくて漢字を使ったのがまず一つの謎。

金神102「稲妻強盗と蝮のお銀」 ゴールデンカムイ - day * day

のっぺらぼうが、アシリパさんの父にしても、あるいはインカラマッの言うとおりのパルチザンの第三者にしても、日本語ネイティブじゃないし、漢字は慣れてないはず。 のっぺらぼうが情報を隠したい相手は一番には和人の官憲や軍人のはずなので、わざわざ自分やパルチザンの仲間が使い慣れない漢字を使うってことは、漢字には字としての意味は持たせてないと予測。

金神116話「青い目」感想 #ゴールデンカムイ - day * day

ウイルク、のっぺら坊として、日本の官憲ごまかせるくらいには、日本語出来たはずなんだよな。刺青の漢字はどこから? アシリパさんの日本語はウイルクに習ったんだろうか? でも読み書きは怪しい。仮名はともかく、アシリパさん、漢字苦手だよね?*3

金神177「長谷川写真館」感想 ゴールデンカムイ - day * day

ウイルク、樺太アイヌ語ポーランド語ネイティブで、ロシア語→日本語→北海道アイヌ語って学んでることになる。アイヌ語を表記するなら、まず、(ポーランド語の)ローマ字アルファベットか、キリル文字のはず。 何故、わざわざ日本語の発音にこだわったんだろう? 漢字使う機会もなかったろうに。 アシリパさん、北海道アイヌ語と日本語は話せるけど、ポーランド語やロシア語は出来ないかな……仮名文字は読めるだろうけど、漢字はアヤシイ。*5 日本語ネイティブじゃないウイルクが、漢字読めないアシリパさんに向けて、日本語ネイティブの人達から隠す暗号を、日本語の漢字で書いてるって、謎。

金神183「狼に追いつく」感想 #ゴールデンカムイ - day * day

土方「あくまで和人と協力して金塊を見つけろ」
白石「アイヌのために和人を利用してやれ」

……両論併記?

あーあ。
菊田さんここで退場か……
慢心したり、過去を思い出して微笑む、なんて、あからさまな死亡フラグ
一連の花沢(中略)作戦で、意外と彼は軽薄な人物に思えた……先が長くなさそうな。
そして、ノラ坊=杉元だと知るのは杉元だけ、しかし杉元は、あの時にホテルでバトったのが鶴見たちだと、気付いたろうか?

キャラの死が続いて、なんだか閉店大売り出しみたいな状況に。
個別のキャラのファンには戦々恐々。
いったい最後まで生き残るのは誰か。
史実から、土方も鶴見も中央も、目的を達しないことはわかってるし。
なんで影が四角の集合で描かれてるのか気になるんだよねえ。

ヤングジャンプ巻末の今週の質問、「学生時代に出会いたかった作品」。
私は、やっぱり、『ゴールデンカムイ』だなあ。情報科学科から美術科に転向したのだけど。当時『ゴールデンカムイ』に出会ってたら、言語学科に行ってたかも。
もともと親が数学から言語学に転向したクチで、しかも金田一京助のゼミ生だったので、多少なりともアイヌ文化に縁があったし。

*1:パンデミックの原因は世界大戦だし、パンデミックが起きたので戦争が終結したとも。

*2:飢餓で抵抗力落ちて感染症ってコンボが。

*3:飢餓、自殺強要、私的制裁--戦闘どころではなかった旧日本軍:日経ビジネス電子版

*4:アイヌ文化でいう「トゥレンペ(憑き神)」って、なんだか、フロイトのあげるスーパーエゴっぽい。ゴールデンカムイでの解説だと守護神みたいな言い方だけど、中川裕氏の本だと、もっと、外挿的な道徳のようでもあり、スーパーエゴみたいだ。

*5: