ようやく、ウイルクの物語が語られ出した。
キロランケ、なんか、変わったな――
こんなヤバイ奴だっけ?
アイドルに一方的に入れあげて、裏切られた!っていって殺すストーカー殺人のパターンだ。
何故に彼は、そこまでウイルクに執着していたのだろう?
10代で彼らが出会ったとき、なにか、強烈な体験をしたのだろうか?
キロランケは、ウイルクが変わってしまったというけど、実はウイルクは変わってないのでは?
キロランケのほうが変わり続けてるようにも思えるしね?
アシリパさんは、ウイルクの真意を知らずに、一番の過激分子のキロランケに教育されたから……
鶴見とウイルクが再会して……ウイルク、一目で長谷川さんだと気付いた。
そこでウイルクは全てを悟った。
鶴見が自分に対してなにを思ってるか、過去をアイヌにバラしてグループを内ゲバに追いやったのも鶴見だと。
ウイルク、あの場から逃げ出したら、どこへ行くつもりだったのか? キロランケと合流する?
最初から網走監獄なりに逃げ込むつもりだったのか。
え、ウイルク、結局、司法の手には渡ってなかった、死刑囚ですらなくて、犬童の私的な虜囚だったのか。
じゃあ、のっぺら坊が網走監獄にいることは、どこから漏れたんだろう。
中央はいつから金塊の話を知ってたのか?
(これで八甲田山の雪中行軍訓練事件にも関わってきたら面白いんだけどなー)
菊田さんは結局は、性善なる人であるらしい。
アイヌ殺害事件は日露戦争前だから、この頃から有古イポプテには目を掛けていたようだ。
結果的にはアイヌらを内ゲバに導いた鶴見に納得出来ない様子。
しかしそれがアイヌへの同情心だとすると、菊田が密かに日本政府に与するというのも納得いかない……
ところで尾形は――?
そろそろ重要な役回りで、過去パートに関わってくるんじゃないかなー関わってくるとイイナー
というか。
尾形と菊田は、なにやら秘密の仲間であるらしい。
尾形が、いつキロランケと組んだのか、もしかすると戦前、この時から知り合ってたのかも知れない。
有古とキロランケは関わりあるのか。
そして菊田と杉元の旧知の関係とか。
菊田さんハブにした人間関係がありそうな。
キロランケ「引きこもって守ろうなんて弱腰の戦い方では帝政ロシアにも明治政府にも勝てない」
鶴見 うんうん
ここで鶴見が頷いてるってことは、え、鶴見も、「弱腰の戦い方」ではない手法をとるつもりか。
北海道を独立させて引き籠もるんではなく、もっと、中央政府に対して、クーデターまで考えてるのか……?
旧帝国だと、とにかく天皇の権力が絶大だから、クーデター成功させるには、天皇か皇族を巻き込むしかないんだけどな……
(全軍は天皇直属なので、たとえ第七師団を鶴見が掌握したとしても、天皇が号令一つで残りの師団を動かせるから。天皇以外だと、継承権のある皇族を巻き込んで、天皇を脅迫して禅譲を強いるとかね?)*1
中央に対してクーデターよりかは、海外領土に独立国つくるほうが現実味があるんだけどね。*2
実は独立国はどうでもよくて、単に、妻子の復讐を、中央政府に果たしたいだけだとしたら、残念過ぎるんだけどなあ。
鶴見(土方もだけど)、国を造るって目標掲げる割には、自分が道半ばで死んだあとに事業を託す後継者がいないんだよね……
キロランケがウイルクを殺した――殺させた――のは私怨だったと。
網走であのまま何ごともなければ、ウイルクも、おそらくアシリパさんも、鶴見が確保してただろう。
だとしたら、ウイルクは、鶴見に黄金の在処を話しただろうか?
アシリパさんをダシに脅迫されたら、民族運動か、娘か、って、ウイルクは究極の選択を迫られることになる。
民族運動についてアシリパさんはまだなにも知らなかった。
とすると、あの場でウイルクは殺されたことが、ベストだったとも言える。
アシリパさんに刺青の暗号を託した時点で、ウイルクの「役目」は終わってしまったんだよな。