day * day

日々是々

金神138「喪失」 ゴールデンカムイ

金神14巻の感想 ゴールデンカムイ - day * day

今週の扉、そういや、日露戦争の新聞報道で「乱射乱撃雨霰《らんしゃらんげきあめあられ》」って言い回しが流行って、それをモジって「感謝感激雨霰」って言葉が出来た、って説を思い出した。

初っ端から閑話休題

すっかり取り乱すアシリパさん。
こうなると誰も信用出来なくなってくる。
なんか白石まで挙動不審だ。

杉元にトドメ差しにかかる尾形。
いいぞお、こういう冷酷さ。

ウイルク越しに撃ったら地面に当たってる。

腕撃ち抜かれたのに懸命に二人を救助する谷垣。
杉元なんとか助けて、ウイルクも引きずって、ってスゲエよ、谷垣。
インカラマッ「キロランケがどこかに合図していました」
この(インカラマッのいう中の)キロランケ、前々のコマからして、監獄の外、正門に向かって右後方を向いてるのだよね。
尾形の位置と符合する……
f:id:faomao:20181129234051p:plain

単行本で彼等の位置関係ハッキリしたけど。 杉元とのっぺら坊が出会ったのは、正門の真ん前でした。

後段の展開からして、尾形とキロランケが組んでるんだとすると、キロランケ「ダメだ!! 二人を撃った奴が近くにいるッ」の台詞、尾形は「近く」にいるわけじゃないから、これもブラフなのかな。
ここらで尾形の動向は誰も知らないのだ。

鶴見隊に確保される谷垣達。
鶴見のすぐ後ろに、鯉登、宇佐美、月島がちゃんと揃ってる。

グループ編成が大きく変わった……

アシリパさんグループ。
白石、キロランケ、尾形、って、いちばん信用出来ない3人が。
白石はもっとも人間的なゆえに弱くて、だから、杉元やらツワモノ共みたいな強さの期待を負わせちゃ酷だ。
キロや尾形は真意が掴めん。
結局、杉元が読者の視点なのかなあ。

尾形「近づいて確認したが ふたりとも死んでいた」 って、でも、二人の死を確認してないじゃん。谷垣もろとも鶴見が確保してるのまで見てるのに。
アシリパさんに杉元のことを諦めさせるために、その場しのぎに嘘ついたんだろうけど。
狙撃のことは知らないフリなのね……谷垣や杉元は気付くと思うけどなー。他に動機がありそうで、しかも確実に当てるだけの腕のある奴いないじゃん。

え、この流れ、なんで樺太行くの?
キロランケが樺太に渡るのはわかるんだけども。
尾形の考えがほんとわからんっ
倒れるアシリパさんを受け止めてるのは白石。
尾形はそういう気遣い全くしない。

キロのマキリが無くなってるのに気付く白石。
でもなあ、これ、インカラマッが盗んで自分を刺したのかもだし、てかキロランケが刺したのならマキリ、抜いて持っていくんじゃ。

戦い済んだ網走監獄……ほんとに監獄側の生き残りゼロなの……
ちなみに、ホントに、1909(明治42)年、網走監獄は火事で全焼してるのだ。
監獄秘話 建物の歴史 | 博物館 網走監獄 *1

教誨堂を見つめる土方。
永倉や牛山、夏太郎は、生き残っているなら、土方組。
門倉さんはわからんなー。ボーパル宇佐美(恐らく宇佐美が「門倉の首を狙った」って元ネタはモンティパイソンの殺人兎)*2がトドメ差す余裕なさそうだったし。

夜が明けて。

案の定、杉元生きてるし。
カケトモってwww
鶴見はそもそも杉元を味方に引き入れたいんだった、強力な戦士だから。
うわああ……月島は淡々としてそうだけど、鯉登がなにしでかすか。
宇佐美とは初対面になるのね。
あ、二階堂、同じ病室にいたりしませんかね……?

杉元、谷垣、家永、インカラマッ、チカパシ、リュウは鶴見の傘下に。
家永「驚異的な回復力の杉元さんだから助かったのですけれど…」ってことは、ウイルクは助からなかったのかな。

月島、また、面倒くさい人の世話役ぅ? つくづく苦労人だ……
家永が初めて医者っぽいぞ。顔は妙齢の女性なのに首から下がすっかりおっさんになってるし。
家永カノ、本名は親延《チカノブ》って明かされてたけど*3、元ネタは、HHホームズと、ハンニバル“カンニバル”レクターだよな……*4
生姜醤油……美味いかなあ。

杉元、ホントに脳に被弾したんだ。
これなんかのフラグなのっ? なんか、頭蓋穿孔っていうと、トレパネーション思い出す。
余計なモノが見えるようになっちゃったりしませんかね……
死にかけてるインカラマッ、ってことは、キロランケに疑いを向けるために自分で刺したわけじゃなさそう(服の上からだし、女性だとそこまで力入らないよなあ)。
この時代、輸血もままならないし(血液型の理論はわかってるけど、血液の保存技術がない)、抗生物質ないから感染症であっさり人が死ぬんだよなあ。

舞台は樺太へ。
えええ、もしかして、これからいずれ満州に行ったりするんですかね……?
今後、世界史上では、辛亥革命ロシア革命第一次世界大戦~シベリア出兵ってイベントが連続してるんだよな。
満州にはもう関東総督府南満州鉄道社もあるし。

どうして、樺太へ渡るハナシになったんだろ?
キロランケはなにを提案したんだ?
刺青人皮や金塊はどーなったのよ? 樺太にヒントがあるんですかね?
そもそも、杉元や土方が持ってる刺青人皮はどうするん。

アシリパさんに声掛ける尾形……どーみても胡散臭い。
こいつが他人を思い遣る言葉を吐くなんて、心底からとは思えない*5
他人に手を差し延べるってことも絶対にしない。流れとしてはそうしても不自然じゃないのに、アシリパさんに手を差し出してない。
網走から退避するときも、倒れたアシリパさんを助けたのは白石だ。
尾形は、杉元みたいにアシリパさんを師匠であり同時に庇護すべき娘とか、自分と同じ一人の人間で、相互に思い遣る相手とは見てないんだよね。*6
行く手を指し示す星のように見てるのかも知れないけど。(→金神121話「暗中」金神11巻の感想 上(101~104話)

尾形が87話で捕まえようとした蝶*7は、小蝶辺明日子ことアシリパさんの寓意って考えるのが妥当なんだろか?
尾形が他人に関心を持つなんて希有だけど、ここにきて、なにか執着があるように思えてくる。
でもそれって、一般的な愛情ではないのだよね……だって彼女に手を差し伸べるとか、人同士の親愛の情を示すことは一切しないのだから。

尾形「行こう アシリパ…」のコマ、よく見ると尾形の瞳に光が入ってる。これって1巻のほとんど別人のとき以来だ。彼が人の心に気付き始めたってことなんですかね……逆に恐いけど! 今まで冷血故にある種の公平さを保ってたのに、人情で動くと余計に被害者多くなりそうで。
キロランケの目的もよくわからないが、ウイルクと共に独立運動からロシア革命目指してたのなら、尾形もそこに誘ったの?
てかキロランケ、小樽に妻子残してるのに。
まさか、戦時中から、尾形とキロが知り合いってことはないよな?

杉元は鶴見たちと共に、アシリパさん一行を追って樺太に行くのだね。
土方たちはどーすんのかなあ。尾形達に合流するん……?
尾形と土方が合流しないのなら、杉元やウイルク撃ったのは土方の作戦じゃなくて、尾形にはもっと別の目的があるってこと。

えっここで切れる??
なんか第一部・完みたいな。

尾形がこういう奴だとわかってはいるけど、三ヶ月前のこのへんのやり取り見ると、ちょっと泣けるね。→金神127話「本当のチタタプ」
(この漫画、立てたフラグ強引に折りに行くから)

樺太取材で3週間休みって、気をもたせるじゃないですか……

あれ、いつも18ページなのに今週は20ある。1割・2ページ増量だ。

*1:放射状舎房は1912年の再建時に作られた、という記述は見なかったことにする。

*2:私ゃ、 Wizardry てゲームの Vorpal Bunny のほうがオナジミ。

*3:

*4:うん……私、サイコサスペンス、中でも、トマス・ハリスマイケル・スレイドが大好きだったんだ……
映画『ハンニバル』のラスト、クラリスの上司の脳を喰う下り、マジで映像化するのかと思ったら、ちゃんと映像化してたねえ、リドリー・スコット。なんでも、作者のトマス・ハリスが、「羊たちの沈黙」で主演したジュディフォスターに入れあげて、彼女へのアテ書きで書いたそうだが、ジュディフォスターが嫌がって降りて、で、ジュリアンムーアの主演になったというハナシ。ジュディフォスターはつくづく変質者にウケるタイプっぽい。
レクター博士はしょっちゅう映像化されてるけど、『羊たちの沈黙ジョナサン・デミはやっぱり健全なんだよな。リドリー・スコットの『ハンニバル』は病気とルサンチマンの産物だし、ドラマの『ハンニバル』は病気ではなく個性だって肯定してるのが21世紀的だ。罪科とは本人の中にあるのだよ。そういや、最初の映像化の『刑事グラハム/レッドドラゴン』の主役やったウィリアム・ピーターゼンってドラマ『CSI』のグリッソム初代主任だし、彼と入れ違いでCSIに登板したローレンス・フィッシュバーンは、ドラマ『ハンニバル』のクロフォードだ。『レッドドラゴン』やドラマ『ハンニバル』のウィル・グレアムは、実は、レクターと同じサイコパスって言われてるし。

*5:念為。私は尾形が大好きなのだ。cool で coldblood で clever なクソ尾形が。好きなキャラだからこそいくらでも悪し様に言えるし、彼がむしろ人並みの人情を見せたりするほうが違和感を覚えて、真意を疑ってしまうのだ。

*6:121話でもアシリパさんのすぐそばの敵を撃ってる、よほど銃の腕に自信あるんだろうけど、ちょっと外れたら、或いは彼等が身動きしたらアシリパさんに当たってたかもだし。

*7:金神 9巻 感想 下