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日々是々

金神210「甘い嘘」感想 ゴールデンカムイ

会話多いっ

Лучше горькая правда, чем сладкая ложь.
(甘い嘘より苦い真実)

ってロシアの諺があるのね。*1
まあどこの文化にもありそうな言葉ではあるけども。

尾形本人は当分、登場しそうにないのに、なにかと話題になる男……
しかも描下ろしのカットまで込みで。
きっとファンサービスの一環なのね、と思うことにしよう。

「Барчонок」の後に続きがあったなんてっ。

ここでいきなり満鉄が出てくる~?
鶴見はなにを考えてるんだろう。
北海道独立、はいいとして、満州まで含めて一つの自治区ってちょっと地理的に無理がないか?

もしかして、環日本海経済圏の構想があるのかも?
樺太-北海道-新潟-朝鮮半島満州まで含めて。
当時、大陸から日本への交通路として、ウラジオストク敦賀が一番人気の径路だったというしね?*2
満鉄というと、甘粕正彦が真先に思い浮かぶんだけど、鶴見の元ネタの一人なんだろか?*3

8巻の冒頭、土方一味の座談会で、ふとこんな事を思ったのです。*4

もしかすると彼らの一部は満州にでも行くのかなあ、って気がヒソカにしてる。
金神8巻 感想 ゴールデンカムイ - day * day

ラストエンペラー愛新覚羅溥儀1906年生れなんだよね。このころは北京の紫禁城でコオロギと遊んでるかも知れない。
今後、世界史では、満州朝鮮半島をめぐって、日本・ロシア・中国が争奪戦を繰り広げることになる。

花沢幸次郎……ん、彼の死んだ時の肩書、結局、なんなんだろう。
ここでは第七師団長って言ってるけど。
日露戦争の時点で、参謀長って台詞の中にあったし、*5でも103話に出てくるのは旭川の、おそらく師団長官舎。*6
第3軍参謀長と、第七師団長兼任ってアリ?

とうとう真実を知った鯉登……待てよ、月島の語ったのが真実とは限らないな。
あくまで、月島が鯉登に喋っただけだ。
月島は、自分が知ってるのとは違うことを喋ったのかも知れないし、月島が知ってることが鶴見の本心とも限らないし。

音之進拉致監禁事件、黒帽子が月島なのかー。
じゃあ鳥打は菊田なんだ。

鯉登「鶴見中尉のコマの」
ここで「殿」が消えてるのが気になった。

月島「あなたたちは救われたじゃないですか」
といいつつ目が泳いでる月島。
……月島は救われなかったのか。
鯉登を言いくるめたいんだ。
12ページ目の月島の台詞はまるで信用できなくなる。

ちょっとこのへん、説明不足に感じる……

月島「尾形も満鉄と花沢閣下の関係まで知っていたとは」
むしろ、なんで知らないと思ってたんだろう? 単なる兵卒だから?
尾形もまた鶴見の工作員として暗躍してたんだし、単純に、鶴見は「父親を殺させてやる」だけで尾形を操れるとは考えてなかったろうし。

月島が語る、鶴見による花沢パパの謀殺の動機は満鉄の利権だと。
んー北海道と満州合せた自治領構想からすると、第七師団なんてどうでもよくね? なぜに第七師団にコダワル?
政権転覆といっても、鶴見は大日本帝国そのものをどうにかしようとは考えてないよね? 日露の間に自治領作りたいんじゃなくて?
……いや、帝政ロシアと組んで日本を占領しようとまで考えてるのかも知れないけど!?
あるいは、ロシアの革命組織や、ソフィアの一味とかね? 日本でも革命起こそうとしてるとか?(だったらキロランケと敵対する必要なかったよな)

鯉登はとことんお坊ちゃまで父上まぢリスペクトな人なので、父親殺しなんて思いもよらない。

月島は、真実を告げることで鯉登が離叛することを期待したんだろか?
自分に仕掛けられた謀略の裏を知っても、月島も鯉登も鶴見を裏切れない。
月島と鯉登は、でも、全く別だ。

鯉登「鶴見中尉スゴ~~イ!!」
大丈夫か鯉登。
無理してないか?
剥がれ落ちたのは、むしろ正気じゃないのか。
鶴見が忠誠に値しない人物だと認めたくなくて、何が何でも鶴見はスゴい、って、自分を納得させようとしてるようにも見える。

鯉登は、自尊心も自己肯定感も強いんだけど、彼の自己肯定感は鶴見によって与えられたので、自分が騙されてたことを知っても、肯定的に捉えようとする。
鯉登「そんなに必要とされていたなんて嬉しいッ」
……いや、鶴見のホントの狙いは鯉登パパの権勢なんだけど。それわかってるのに、自分が必要とされてると思い込もうとしてる。
しかし今後、尾形に植えつけられた鶴見への不信感が尾を引くのか、忠誠心が強化されて狂信者になる一方なのか、気になる。

月島は、実は自尊心は高いんだけど、自己肯定感が低いんだよね。
月島「私を救うのにどれだけ労力を費やしたか訴えるわけです」
自分の自尊心を肯定できないでいる。
鶴見劇場の観客として、自分を肯定するしかないと。
だから、イヤイヤながらも鶴見に付き従う。

ちなみに宇佐美は、自尊心低くて自己肯定感高い、自分を鶴見と同一視しちゃう。
鶴見のためなら命も投げ出すけど、ストーカーと化して鶴見を殺しかねない。
尾形は自尊心も肯定感も高いよね。その意味では鯉登と同じ。彼はまた特異なパーソナリティ故に自己完結してて、他者の承認なんか要らないし、無神論者故に自分を肯定するのに大義すら必要としないし。

ところで……
月島「新潟の第2師団の人間が」のコマ。
兵士の肩章「2」てあるけど、正しくは「16」だよね?
肩章は連隊番号で、新潟の新発田聯隊は、第2師団16聯隊だし? 第2聯隊は第1師団佐倉聯隊。
ちなみに、15巻のときは、肩章描かれてない。*7
わざわざ描き足したコマなのに。

*1:つい先日、シヴのほうでネタにしたばかりなので憶えてるのだ。→[R-18] 【ゴールデンカムイ】「箱」/「華猫」の小説 [pixiv]

*2:最近、対馬海峡トンネルとか、宗谷海峡トンネルの話題を耳にして。排外主義の強い日本だと反発も大きいけど、しかし、東京からロンドンまで鉄道路で繋がること考えると、歴史的にも経済的にも地理的にもスゴいと思う。シルクロードの未来版という感じで。

*3:新潟出身なので、北一輝説もある……が、北一輝ってあくまで扇動家で、自分で行動するタイプじゃなさそう。

*4:そういや、8巻の発売日は2016年8月19日、ほぼ3年前でした。

*5:f:id:faomao:20190829170520j:plain

*6:師団長は数年ごとの持ち回りなので、だいたい官舎住まいであるようだ。官舎ってもスゲエ豪華だけど!

*7:
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下辺、裁ち切り