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日々是々

金神265「鍵穴」感想 ゴールデンカムイ

鍵穴から覗いた写真館。

とうとう核心に!?
1話目から6年半引っ張った、『ゴールデンカムイ』最大の謎、尾形の目的アイヌ殺害事件の解答篇?
……もし1年くらいで連載打ち切りになってたらどういう決着になってたのか、未だに気になってるんだけど。

この作品、次々謎を出すけどなかなか回答されないから……

月島の不信感は強い。
いままで散々、他人に裏切られ続けてきた彼は、人情の機微に敏感であるらしい……悪い方に。
鯉登、自分でも気付いてなかった内心を指摘されて、虚を衝かれてしまった。
眉が、いつも黒ベタなのに、わざと塗り残しされてる。
周囲に飛んでる謎の点々、これ、少女漫画ではオナジミの表現だけど、青年漫画では珍しくない?

そして、月島、なにその顔。
月島、鶴見に妻子のことで嘘吐かれてたのね……
「結婚してたの隠してたなんて! よくも騙したわね! ヒドイ!」
――だろか?

いや、鶴見隊、妻帯者がいないのが気になってるんだけど。この時代、本人が結婚する気がなくても故郷に嫁が用意されてたりして、自分の結婚式にも出席しないこともあるくらいで。
だから、鶴見は意図的に独身者選んでて、部下たちに非婚を貫かせてたのかも知れないしね?
なのに、本人は既婚者だったなんて、裏切られたような気分かもね?

鶴見は、妻子のことは部下たちには絶対に秘密だったらしい。
ソフィアさんに対して正体を明かしたってことは、ソフィアは生かしておく気はないってこと。
そしてロシア語でなく日本語でソフィアに話してるのは、アシリパさんにも会話を聞かせたい、と。
しかしソフィアさん、好きでもない日本語、18年間、よく憶えてたな。

……18年? あれ?
作中のリアルタイム、1908年だと思ってるんだけど。
そしたらウラジオストクのパートは1890年になってしまう。
一方で、アレクサンドル2世暗殺事件は史実で1881年、そこから「10年以上」逃亡生活してたってあるから*1ウラジオストクのパートは1891年以降ではなかろか?
リアルタイム、1909年になってるん??
ファンブックによると、杉元とアシリパさんが出会ったのが1907年2月なんだけどね。それ以降、冬がまだ1回しか来てないし。
あるいは鶴見、単純に、計算間違いしたのか? 頭のケガのせいで。

これから鶴見たちが重要な話をするってときに、一方で月島は全く別の感情を持ち込んでる。
その場の皆がココロを一つにしない、ストーリーが常に複数、同時進行してるってのも、この作品の特徴かもね。

鯉登はあんまり驚いてない。
彼は鶴見個人をリスペクトしてただけで、鶴見のプロフィールはあまり知らなかったようだ。
宇佐美の死体、近くにあるはずなので、生き返って怒鳴り込んでくるかもだ。

舞台が教会というのが巧妙だ。
ここは神の家。
祭壇の前に坐る鶴見、なんだかエラそうだし。
従前、度々鶴見が聖母マリアに擬えられてることからして、なるほど相応しいかも知れない。
(どっちかっていうと、鶴見はむしろ、真の神になり損ねたデミウルゴスなんじゃないかって気がするけど)*2

でもここはプロテスタントの教会なんだけどね。(→日本基督教団札幌教会礼拝堂(旧札幌美以教会堂)/札幌市
(ちなみにこの建物は1904年建築なので、作中ではまだまだ新しいはず) 聖母信仰とかは、カソリックなんかの教義だし、プロテスタントではない。(そもそも、カソリック偶像崇拝なんかが間違ってると抗議(protest)して興ったのがプロテスタントだし)

サッポロビール工場全壊(コラボしたのに……)にしたのに続いて、今度はこの礼拝堂もぶち壊されるのか……?

*1:
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*2:グノーシス神話だと、ソフィア(非人格的な神の叡智)が創った真の世界に嫉妬して、偽りの創造主(デミウルゴスヤルダバオト・別名ヤハウェが、この現実世界を創ったという。ヤルダバオトは嫉妬深く残忍で狂った神なので、この世は狂気を含んで、辛く、悲惨であると。この世の他に、全てが完璧な「真の世界」が存在するって、浄土信仰みたいな。→グノーシス主義 - Wikipedia