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日々是々

金神25巻の感想 上 ゴールデンカムイ

デジタル版


紙本

この房太郎のポーズ、ダンスのスウィミングとかいうやつだっけ。クロールのように腕を回して身体の前で手を重ねるっていう。
あくまで水にこだわる房太郎らしい。
実際、あれくらいの長髪で結んだり帽子被ったりしないと、水の中では全体に1本1本広がって、ああいう風に房にはならないので……実は房太郎、髪ではなくて、触手なのか……?
裏表紙はチョウザメの群。

目次

本文

第241話 消えたカムイ

アイヌナチュラルガイドが詳細。
谷垣のいるページはまるまる単行本の追加分。*1

尾形が「個性的な美形」であるなら、房太郎は、典型的な美形キャラだ。涼やかな優男――あくまで外見は。
どんなシリアスでシンミリして性的な意味合いの全くないシーンですら、彼は妖艶に映る。
彼の特徴――魅力というか魔力――が、長い黒髪にあるのは確かだろう、少なくともワタシにとってはそうだ。
網走の脱獄囚で・強盗殺人その他前科数十の凶悪犯で・ダイナミックなバトルする武闘派、ってストーリー上の設定なのに、作中で一番の長髪。バンコランか貴様は。*2

白石に迫る房太郎、会話の中身とまったく関係なく、房太郎がセクシー通り越して化け物じみてコワイ。
髪が触手のようにまとわりついて攻め立てる、て、なんの拷問ですかコレ。
それに耐えてる白石も相当肝が据わってる。
房太郎と白石、網走でもかなり親しかったようだ。
というか、房太郎、誰とでも親しくなれるんだよな、誰の懐にでも入ってく。
なんだろなー房さんの「近さ」。
そのへんが、王様を目指すカリスマ性かも。

房太郎「第七師団や土方歳三みたいな危ない連中と」
なんて他人事みたいに言ってるけど、房さんだって、強盗殺人その他前科数十の凶悪犯だよ。
多分にじかに殺してる人数では作中でも上位なんじゃ。しかも戦場に行った兵士でなく、純然たる犯罪者だし。

白石「俺だってそこまで信用されてるわけじゃねえよ」
という白石、しかしその前のコマの杉元は、正直に話してる。
信用してないのは白石のほう。
杉元は白石をかなり信用してる――アシリパさんを託すくらいに。だけど白石はその信頼を、裏切ってる。

二人とも自分のことは棚に上げて、呑気なことであるよ。

オンコ、和名ではイチイ。
いろいろと特徴があるので、私もこの木が好き。たまに建物のエントランスなんかに植わってて深緑の常緑樹で季節によっては赤と黒の実がついてて、実を食べると美味しいけど、実の赤い部分以外、黒い種も含めて木全体が猛毒で死亡例もあるっていう。
ヨーロッパでも弓の材料として使われてた。*3

空に輝く巨大な男根。
……アシリパさん、なんでそれを想像したの……

星座の話。
「尾の長いクマ」って、実際に尾の長いクマはいないのに、アイヌにもギリシアにも、同じ図形がある不思議。 このシアラサルシカムイノカノチウが、今でいうおおぐま座なのかは不明だけど。*4
とすると、クノチウはカシオペア座のW字かな?
ちなみに、北極星は、チヌカルカムイ(私たちが見る星の神)だそう。

アシリパ「「消えてしまったカムイだ」って」
今後、恐らくは一世代の間に、アシリパさんたちのコタンは消滅する。
現実、小樽近郊にアイヌコタンの痕跡は見つかってないそうなので。
森林も切り拓かれ、コタンも消えていく。

コタンが消える、と言っても。
アシリパさんたちのコタンは、小樽の市街に呑込まれ、村人たちの子孫も和人と共に日本人として生きてるのかも知れないし。
アイヌという民族の誇りを保ちながら。

世界中で、黄金が貨幣として使われた理由は、適度な希少性*5と加工のし易さの他に、化学的に安定してて化合物を作りにくい=錆びて朽ちることがない、という点がある。
人々はそこに永遠の価値、神の祝福を見た。
形あるものは脆く儚い。
人は死に、国は滅びる。

アイヌにとって、「生物種の絶滅」とはどういうことなんだろ。
その種のカムイが、二度と地上に降りてこなくなる。
しかし彼らはカムイの国はいるのかな?
その名を憶えている人たちがいる限りは。
カムイの国というのは、それを伝える人々の心の中にあるのではなかろうか?

エゾオオカミが完全に滅びたのかどうか?
作者氏はこうおっしゃる。
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実はまだいるのかもね。*6

杉元「次の世代の子たちもホロケウカムイがどんな姿か見られるといいね」
この台詞、連載時はアシリパさんの台詞だった。
アシリパさんが、アイヌの未来について、独りで逡巡してるのを、杉元が黙って聞いてるシーケンスだったのが、二人の対話になった。
不安なアシリパさんに対して、杉元が無責任にポジティブに、彼女を励まそうとする。

この物語の主役が、杉元ではなく、アシリパさんになったということかも知れない。

アシリパさんの、杉元への感情はなんだろう。
誰も、アシリパさんを女性として見てないし、二人の間にあるのが恋愛感情には思えないんだけど。
金塊が見つかれば、杉元は去っていく。
今まで、父の遺志を継げば、更なる殺し合いになるっていう、大きな物語のジレンマが語られてきたけど、身の丈レベルのジレンマが出てきた。
金塊が見つかる→父の死の理由がわかる・遺志を継げる・戦争になる・杉元と別れる。
金塊を探し続ける→父の死は謎のまま・ちまちまと殺し合いが継続する・杉元と一緒にいられる。
金塊が永遠に見つからない→父の死は謎・戦争はどのみち起きる(史実では)・杉元はどうする?

実は杉元は、アシリパさんの仄かな気持ちに気付いてて、でも、寅次と梅ちゃんへの責任感にも囚われてるので、態度をハッキリさせられない。
だから、アシリパさんに問われたとき、誤魔化そうとした。*7

第242話 交互に

杉元が、「惚れた女のため」っていうのはなにかの言い訳のように思える。
ズタズタになった寅次を見て血相を変える杉元。
彼のこんな表情は初めてだ!
恐怖まで見てとれる。
第1話の、杉元の表情との差。

樺太行思い出して泣いてる白石に萌。
ヴァシリはアシリパさんを監視してるのね……

アシリパ「裕福に暮らそうとするのは」
アイヌと和人の社会の最大の違いは、人口密度だろう。
アイヌは狩漁採収+交易が経済基盤、和人は農業。
アイヌの食文化は、世界中の民族の中でも、動物性食品が多いほうなんだそうで(→「ヒトはなぜヒトを食べたか―生態人類学から見た文化の起源 (ハヤカワ文庫―ハヤカワ・ノンフィクション文庫)*8)、それだけ「リッチな」食生活と言える。

和人は農耕が主体で、穀物、炭水化物主流で蛋白質が少ない。そのぶん、女性がカロリーを脂肪の形で溜め込みやすく、出産回数が増え、人口が増える。(妊娠出産授乳するには大量のカロリーを必要とするので)
和人は、幕末期で全人口の8割が農民だったというから、それで3600万の人口を支えてた。
ちなみに1908(明治41)年には日本人の人口は4800万だってさ。→国勢調査以前の日本の人口統計 - Wikipedia

日本(というか世界中)の近代化は人口増加との戦いともいえる。
和人がアイヌの食生活だったら、あっという間に資源は枯渇する。
「裕福な暮らし」というよりかは、飢えや病気で死にたくない・子供を殺したくない・でもセックスはしたい、って、ごく本能的な欲望で人口が増えるのだし、それが環境破壊の主たる原因だった。*9
人口を増やすことこそが一番の贅沢かも知れない。

アシリパアイヌや極東の少数民族は団結すべきだと言った」
アシリパさんの「やるべきこと」ってなんなんだろう。
独立した(地上の)国を目指すっていうんじゃ、土方のいう多民族共和国の構想と同じで、土方と敵対する意味はなくなるし。
ウイルクになにがあったのか。なにをしたかったのか。
金のことも、民族運動のことも、なにも、娘に話さずに一人でなにか行動して、死んでしまった。
網走で一番近かったのは土方らしいけど、土方も、のっぺら坊からアシリパさんへの言伝があるわけではない。

第243話 上等兵たち

今巻の個人的ハイライト。
連載時から大きく改訂されててビックリ。

連載時からして、鶴見×尾形、上等兵s、尾形×勇作、なんて、私の好きなエピソードだけ詰め合わせという感じでお腹いっぱい。
青年誌だし男性作家だし登場人物ほとんど男性だしというか今回は女性が全く出てこないしなのに性的なニュアンスのある愛憎劇が延々と語られるってなんですかコレ私は一次でも二次でもキャラというより自分が読みたい物語を書きたいんですよどうせ原作では語られないだろうって油断して腐要素込みで補完するつもりで二次書くと原作で腐要素入れてそれ以上のドラマ綴るとか悔しいー特に尾形周辺103話でほんのり匂わされてから17巻までずっと放置だった鶴尾ってやっぱり公式だったのねとか尾勇にしても本誌掲載から単行本でだいぶ詳細にされてたし全然関係が語られないけど絶対この二人はなんかあるだろうと妄想してた上等兵sとかね?

総じて、作者氏のファンサービスには敬服仕り候。
尾形の物語描いとけば彼のファンが歓喜するだろうって、その通りなんだけどさ?

扉からいきなり怪しく不穏で妖艶で。なにこの三角関係。
サイコパスな尾形、マキャベリストな鶴見、ナルシシストな宇佐美、て、素敵な三人組の、性行為だか殺し合いだかわかんないような愛憎劇ときたら。そこに光の勇作さんまで絡んでくる。
病室にまで現れる勇作さん……でも尾形を責めるわけじゃない。

宇佐美が勇作さん殺しを唆したようにも見えるけど、でも、尾形の心の内はもう決まってて、同意してくれる相手だから宇佐美に相談したのかもね。

尾形と宇佐美が妙に親密で、今までこの二人の関係が出て来なかったけど、絶対、この二人、気が合いそうって思った。
二人して戦闘や殺人術について延々と語り合ってたりとか(で、そこに鶴見がやって来て、刃物で狙うなら心臓か腎臓だ、とか指導しそう)
とはいえ、類は類になる、であって、けっして友ではない。
まあ、他の兵たちよりかは、「戦友」と呼べる、深刻な陰謀*10も共謀する間柄ではあるのだけど、そこに友情なんてものはない。二人を結び付けてるのは鶴見への忠誠と暴力の嗜好だけ。

戦場で、おかしい二人がおかしな会話してるのが可笑しくて。
二人ともおかしいんだけど、おかしさの方向性が違ってて、共通してるのは剣呑なとこっていう。
尾形が宇佐美にいちいち相談してるけど、二人揃っておかしいので意味ないし。
私としては、彼らのような人物、現実で身近にいては欲しくないけどフィクションの中では大好きだし、むしろ応援したくなる。

尾形「まいったな」
尾形「やっぱり俺がおかしいのか? 愛の無い妾の子だからか?」
尾形、軽っ。
今まで勇作さんに対して抱えてた鬱々とした感情がなくなっちゃった。
尾形がよりドライでクールになった。

尾形、殺害の正当化をしようとしてる。
彼は、他者に共感出来ない、殺人に罪悪感もないという、自分の有り様がずっと不思議でならないようだ。
自分が、他人と違うこと――マイノリティであることを薄々自覚してるけどそれを認めたくないし、理由がわからない。*11

合理的に理詰めに、勇作さんの殺害を決心する尾形。
このへんも、いかにもサイコパス、なんだよな……*12

尾形は、悲惨な幼少期を送ったので性格がヒネくれた、のではなく、あれで真っ直ぐなんだ……ただマジョリティとは別の方向というだけで。
彼は、単に父というだけでなく、より高位の者からの祝福――神の愛を求めているようだ。でも、互恵性という意味での対人間の情愛を理解しないし、その情愛への責任感としての罪悪感もない。その人間性の欠如を、愛されてないせいだと仮定し、愛を確かめようとする――あるいは神そのものを否定しようと。

226話でわざわざ宇佐美の家庭環境が描かれたのが今になってわかる。二人の共通した特質は両親からの愛情の多寡とは関係ない。
でもその違いは、社交性、対人スキルの差に出てるようだ。ナルシシストな宇佐美はちっとも自分の存在に疑問持ってない。彼に取って家族や同胞からの愛は疑うまでもなくあって当たり前。自己肯定感強い。だから宇佐美は尾形を甘えん坊とかカワイイとか言っちゃう。マウンティングも含めて。

病室でのシーケンス。

もしかすると病室での件は性的暴行未遂のメタファかな? 銃剣で刺し殺す、なんて性的要素が濃厚な。でも尾形は付き合う気がなくてさっさと逃げた。

金神243話「上等兵たち」感想 ゴールデンカムイ - day * day

連載時、上記のように思ってたら、単行本の改訂、宇佐美が尾形の上に乗ってベッドでギシギシって! なんですかこれは!
一体なにを描かれるのかと!
未遂じゃなくなっちゃった。
尾形のことを思い浮かべながら自慰してるとかね?
……宇佐美ん、こんなんばっか……彼には暴力と快楽が常に一体なようだ。
彼は本格的な快楽殺人者、Lustmordな人であるらしいよ。

馬車のシーン、あの馭者が宇佐美だったというのは納得。陰謀に一番深く関わってる人物のはずだしね。
にしても鶴見も、馬車の中で何やってんだ……膝触るだけじゃなくて、わざわざ距離詰めて左手に変えて胸触ってるとか……え、その先までヤったの!? 尾形と鶴見、もしかして肉体関係まであったの?!などと期待妄想してしまうじゃないか。
だけど、鶴見のセクハラ目にしてるのに、宇佐美からするとそれは愛ではないと。

尾形の「最後にいろいろ話したかった」て台詞、額面通りに受け取るとして、腑に落ちる。103話のあの花沢パパとのシーンが、なんだか、告解に思えたしね。
最後に父が呪いを与えたのはむしろ尾形にとって救いとか解放だったんじゃ?って気がする。逆にあの場で「許す」とか「愛する」とか言われたりしたら、ずっと父やその代理の鶴見に捕らわれそうで。

鯉登や月島のことは眼中にない宇佐美が、尾形には殺意を抱くほど嫉妬するのが意外だったけど、単行本で説明が追加に。
宇佐美「本当の鶴見中尉殿を理解できていないからさ!」
宇佐美は、自分(尾形も)は「本当の鶴見」を理解してると思ってる。宇佐美は、鶴見に執着するあまりに、自分と鶴見を同化してるのでは?
だから、
鶴見「何の話だ?」
と鶴見の疑問も受け流してる。あくまで建前として彼はそういってるだけ。自分自身が鶴見なのだから彼の本心は自分と同じはず。

宇佐美「わきまえろよ!! 僕たちは鶴見中尉殿の「駒」なんだぞ」
「駒」を、宇佐美が言うのがオドロキ。
しかし、宇佐美が、自身を鶴見に同化して考えてるのだとすると、理解できる気もする。
「真の自分」は鶴見で、今の自分の肉体はあくまで「鶴見である自分」の手足、「駒」に過ぎないと思っているのではないか?

宇佐美「あの芝居でみんなメロメロですよ 隊の士気がうなぎ登り」
月島は、隊の士気を上げるための「駒」だと。
自分もそんな風に使われたい――でも宇佐美は皆に人望なさそうだよね。月島のようには部下たちに慕われなさそう。

尾形「宇佐美は「駒」でも農民出身の「一番安い駒」だな」
この台詞も意外。尾形、身分にこだわるようなやつには思えないけど、宇佐美のコンプレックスを突いたのか。
親の身分が低いことがコンプレックスであったらしい。
先の「駒」の台詞もそうだけど、宇佐美は、秩序や階級って共同幻想を重視するタイプだったのか。
だから、ハイソな鶴見への憧れもあったのかも知れない。*13
智春への殺意も、単に、将校になって鶴見に近付くことに嫉妬しただけかと思うと、家柄のコンプレックスもあったと。
尾形からすると、両親に愛されて健全な家庭で育った宇佐美のほうが、鯉登や勇作と同類で、羨むはずなのに、そうは見えない。
凡夫の父に愛された息子と、御立派な父に愛されなかった息子とが、同じようにエキセントリックな人物に育った、というのは、尾形には救い、気休めだったのかな。親の愛とは関係ないという証明だった。

宇佐美は、自分と尾形は、鶴見の飛車・角だと思っているらしい。
それが、尾形に、歩だと言われて一瞬、正気を失った。(きっと月島は香車で鯉登は桂馬、菊田さんは金か?)
尾形に煽られてつい、本気の殺意で銃剣抜いた。
「わきまえろよ!!」のときには怒りで鼻に皺寄せてるのに、銃剣を振りかざしたときもう感情が振り切って、目を見開いて、表情作ってる余裕ない。
連載時に微かにあった口角の周りの笑みも完全に消えた。*14
宇佐美の表情の変化が見事。
そして銃剣を振りかぶる。*15 宇佐美がきっと床に倒れたまま動けないでいるのは賢者タイム

「愛の反対は、憎しみではなく無関心だ」というので。尾形は、愛を求めても得られないのでせめて、憎しみを得ようとしてるのか。全方位に敵を作って憎まれっ子になる。
とすると、
宇佐美「鶴見中尉殿を困らせに!!」
という宇佐美は、ちゃんと尾形のことを読んでるということになる。

――しかしここまで、あくまで、宇佐美の回想なんだよね。上等兵sにホントはなにがあったのか、尾形の記憶ではまた別かもよ?

ようやく、今現在の尾形。
尾形の表情がこれだけ繊細に描かれるのも珍しい。
尾形「狙撃兵は「人間を撃ってこそ」だ」
この台詞!
妙に端正に描かれた尾形の顔といい。
これでこそ尾形だよなあ。
やっぱり尾形のこと大好きだ。

第244話 小樽上陸

軍人メンコに興じる鯉登と月島……こういう遊びは、鯉登より月島のが得意そう。先出のアレコレを経て、疑似家族になった二人は兄弟みたいだ。
あ、この世界、東郷平八郎も伊地知幸介もいるんだ?
花沢中将のメインのモデルは、日露戦争時の第七師団長・大迫尚敏だけど、「第三軍参謀」って記述もあるから、第三軍参謀長だった伊地知幸介もモデルの一人かもね、て思ってた。
でも伊地知は伊地知でちゃんと存在するらしい。
鯉登のメンコが上村や東郷って海軍、月島が伊地知って陸軍ってのはワザとだよね、きっと。
乃木将軍は存在するのか?

上エ地の刺青。
各地の伝統文化の入れ墨はどれも、「その人がどんな人か」を示すための、アイデンティティとして彫られる。*16

上エ地のはそれと正反対だ。
今の自分ではなく、より強い自分に変身したいっていう。

犬が殺されたエピソードが消えた!
むしろ上エ地の凄味が増した感じだ。
連載時の、なんかファンキーなキャラだったのが、もっと得体の知れない、真の怪物になった。*17
身体の内部から湧き上がる衝動を抑えきれずに殺人をするという。
……なんかリアルだ。
連載時だと、絞首具使ってたのが、素手になったのも、直に相手の肉体に触れるって、より嗜虐性増してる。

上エ地の父親は自殺したらしい。
彼もまた、父に対して鬱屈があると。
父源病とでもいうのかね。

第245話 再会の街

例の子供は無事だった模様。
デカ乳にあっさりつられるチンポ先生~
しかし、シメるなら投げるよりも組み討ちにして首の骨折る方が早くない?

上エ地「お前だけじゃつまんねえよッ」
……はなんだろう、他の見物客も欲しいんだろか?

6巻の洋食屋さん、まだ営業してた! 作中時間で1年ぶり。*18
……なんか、椅子に座ってクロスのかかったテーブルについてる食事風景なんて、『ゴールデンカムイ』では珍しすぎて……
房太郎、食事のときは髪をちゃんと結んでるんだね、
というか、あれくらいの長髪結ばないで、カレーだのラーメンだの食おうとすると、酷い目に遭うからな!(経験者)*19

ヴァシリの顎の傷、そんなに酷くないようでよかった、骨が砕けて流動食とかウォッカが食事代わりとかじゃないかと危惧してたけど。*20
右頬の射入孔より左頬の射出孔のほうが傷が大きいの、生々しい……
彼がオーバーコート脱いでるのも初めてだ。シャツ、左前なんだ?
スプーン使い慣れてるヴァシリと、慣れてないだろう房太郎の持ち方の違いも、細かい!
これだけの大騒動の中、平然とカレー食ってる房さん、さすが。

ちなみに、ヴァシリも房さんも、純粋にビジュアルが、私の好みなので、二人が並んでるのがダブルで眼福ですよ。

そして、顔合わせて即殺し合いになる、杉元と土方。
杉元が土方を恨むのはわかるけど、なんでww 土方のほうからwww
この爺さん、血の気多すぎるwwwww
年の差50近くあるはずだけど、若い杉元と互角に戦ってる土方、相変らずスゲエよ。
腕を銃剣が貫通してるんだけど! 年とると傷の治り遅いのに、って、ちょっと心配になる。

猛獣たちがいきなりガチバトル始めちゃったので、小動物たちはかわすのに必死。

アシリパ「いったん話し合え!!」
アシリパさんの目的が、民族運動だったなら、ウイルクの遺志を継いだはずの土方と敵対する必要はないんだし。
キロランケはソフィアと組もうとしてたけど、ソフィアとその一派、むしろロシア帝国自体をひっくり返そうって革命軍だよね?
ウイルクは、(現ロシア内のいくつかの自治州のように)民族自立が果せれば、帝国自体はどうでもよかった、キロランケやソフィアは国家体制ごと変えようとした、と。

杉元は、アシリパさんを、武力闘争に巻き込みたくなくて、土方と離叛したはずなんだけど、アシリパさんはその殺伐とした戦いに自ら加わることを、決意しちゃったっぽいし?
ただし、アシリパさんの目指すものがなにかは、まだ、明らかにされてない。

以下、下に続く。

faomao.hateblo.jp

*1:

*2:昔の――私の世代の――少女漫画では、美形っつーと長髪だったんであるよ。それに、洋の東西、伝統的に、長髪の男性=肉体労働をしない=上流階級=美男子の記号だ。王を目指す男だけに、浮世離れしてるのもむべならん。

*3:特に有名なのが、中世イングランドのロングボウ。よく「長弓」って訳してるけど、イングランドのロングボウっていうのが特別な意味を持つので、ロングボウって言って欲しい。100年戦争時に、イングランドのロングボウ部隊に手を焼いたフランス軍は、イングランドの弓兵を捕まえると、二度と矢を射れないように人差し指と中指を切り落とした。すると、イングランド兵は、戦場でフランス兵を挑発するのに人差し指と中指を突き出してみせつけた。それが、Vサインの由来って説。
こんな記事もあるしね。→中世の弓矢の殺傷力はえげつなかった。銃弾と同等の威力があった可能性(英研究) : カラパイア

*4:原始時代の日本列島にはレッサーパンダの大型種が棲息してたらしいから、もしかしてその伝説が残ってるのかも知れない。或いは、大陸との交易ルートを経て、ギリシャ神話が伝わってきた可能性も? 例えばコロボックルの伝説には、アリストテレスの影響が見られるともいうしね?

*5:鉄のように有触れすぎてはないし、プラチナほど稀少すぎると貨幣として使えない。

*6:アイヌ犬でいちばん有名なのは、ソフトバンクのCMのお父さん犬こと白戸次郎だ……北大路欣也の声で喋る真っ白な北海道犬アイヌ犬。

*7:ゴールデンカムイ』、基本は「レオン」だよね。武骨で無双の男と無垢な少女。少女は男に仄かに恋心を抱いてるけど彼はそれに答えられない。そして残忍で奇矯な悪役とか。「レオン」とは逆に、初めての出会いの場で、少女が男を助ける。

*8:

*9:昔は確度の高い避妊法なかったしねえ。人工妊娠中絶か、嬰児殺しが人口抑制の主な手法。

*10:陰謀conspiracyの語源は、「共にcon-」「息をするspirate」だという。互いの息が掛るほどの距離での密談であるらしい。

*11:ところで17巻の「そう振る舞っているだけでは?」の台詞、尾形のコマの次のコマだし、ずっと尾形の台詞だと思ってたけど、アニメを見て初めて、これが勇作さんの台詞だと知った。「みんな罪悪感はない」「だけどあるように振る舞っている」と尾形が言ったのだと思ってたけど、考えてみたら尾形が他人の心情を慮るわけもないのだった。正解は、勇作さんが、「みんな罪悪感のないふりをしてるだけでは」と。それは勇作さん自身が、旗手として戦場を駆けるときは無理やり自分を鼓舞してるから。
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*12:サイコパスの言葉はいろいろ面倒くさいけど、私としては、ジェームズ・ブレアの本に依拠する。全人口の1%ほどと言われる、生来のパーソナリティの一種で、遺伝性があって、冷淡で、他者に対して共感も怒りもない。反社会的な傾向はあっても、即、犯罪者というわけでもなく、穏当な市民として暮らしてる人がほとんどで、ただし周囲にはイヤな人物と思われてることだろう。逆に外面が良くて名声を得る人もいる。

*13:当時、ピアノは超高級品なので、それを弾けるというのはかなりのお大尽。

*14:
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*15:念為。刃物は斬り付けるより刺す方が、殺傷力高い。そして、「刺突」という行為は、レイプのメタファと見做される。

*16:


死体の文化史

死体の文化史


このへん。
偉業を成し遂げた英雄とか、呪術師とか。日本の倶利伽羅紋々も、もとは海で働く人たちが死んで土左衛門になったときに識別が出来るように身体に彫ったのが元という。
「その人がどんな人か」を示すって意味で、勲章や銅像と同じっていうのは、なんか、オカシイ。

*17:元ネタのジョン・ウェイン・ゲイシーよりも、アルバート・フィッシュみたいな……

*18:f:id:faomao:20200625184005j:plain

*19:たいていの女性は、20くらいまでに一度は、腰ぐらいまでの超ロングヘアに挑戦してみるものであるよ。そしてたいてい、一度で懲りる。

*20:
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